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ディスクレビューしてみた② Vaundy 「replica」

はぁ〜いこんにちは!
ディスクレビュー第2弾です!
今回紹介するのはVaundyの2ndフルアルバム「replica」
2枚組2時間を超える超大作となっているので、1枚ずつ長くなってしまうと思いますが僕なりのレビューを書いていきます。

DISC 1
1枚目は新曲が多数収録されていて、こちらが新作としてやりたいことを詰めた感じのアルバムになっているのかなと思います。現在とこれからのVaundyを楽しめるようなDISC 1ぜひお聴きください。

1.Audio 007〜2.ZERO
まず再生ボタンを押すと、映画のオープニングのよう。静かにそしてこれから様々な現象が起こっていきそうなワクワク感が印象に残った。
そのまま歓声が聞こえて「ZERO」へ。アルバムのリードトラックともいえるこの曲は、シングルでの配信を聴いた時驚いた「このメロディー、歌い方、曲の構成がまるでOasis!!」90〜00年代のUKロック好きにはたまらない1曲!これを冒頭に持ってくるのは納得できる。

3.美電球
洋楽的なアプローチから一転、Aメロからどこか歌謡の雰囲気を漂わせる。歌い方もセクシーな感じ。後ろでボンボンとなるベース音が好き。サビに向けてはJ-POPらしい展開だが、細かくブラックミュージック要素が垣間見えるのも面白い。

4.カーニバル
イントロでまたベース音がボンボン鳴ってる。ここもやっぱり洋楽っぽい。でも歌メロは邦楽的。この絶妙なバランスが身体をくすぐられる。

5.1リッター分の愛をこめて
この曲はラップソング。音数少なめでミニマルな印象。今っぽいんだけどJ-POPらしくない(世界基準のトレンド要素アリ?) サビで「感情的になりそうだよ」と歌うけど、雰囲気的にまったく感情的にならなそう 笑

6.常熱
Vaundyってイントロのギターフレーズとかで掴まれる!この曲は2000年代イギリスのガレージロックみたいでまたテンション上がった!全体的に明るい雰囲気で晴れた日の日曜日に聴きたい。1枚目の中でもお気に入りの中の一つ。

7.Audio 006〜8.宮
中間のインスト曲、何かから逃げている?ような足音、轟音とともに心音がドクドクドク、、
そして「宮」へ。僕と君、2つのそれぞれのリアルな愛を描く。優しさも感じられるけど、すれ違いも感じるような気がした。

9.黒子
歌い出しからダークな雰囲気。日本語歌詞を英語っぽく歌ってるような気がしておもしろい。サビでの音の広がりが開放的で大自然で手を広げて風を感じたくなる。Vaundyの音楽の幅広さもここで実感した。

10.逆光 -replica-
adoに楽曲提供し話題になったナンバーのセルフカバー。adoが歌っているバージョンはadoになるし、こっちもやっぱりVaundyの曲になってる。比べるとややこちらのほうがアグレッシブさ、トゲトゲしてる感じは抑え気味?に仕上がってるなと思った。かっこよくて好き。

11.NEO JAPAN
一転してゆるっとしたリラックスできるようなリズムとメロディーの「NEO JAPAN」ヒップホップとシティポップが合体したようなチルい楽曲に。これも休日のお昼に家でだらだらしながらコーヒーでも飲んで聴きたい 笑

12.呼吸のように
ここではギターではなくピアノの音が印象的で、やさしく囁くような歌声もグッとくるバラード曲。中盤から壮大な雰囲気に、、切ないメロディーと序盤とは別人のような力強い歌声に変わり泣きそうになる。本当に曲ごとに表情が変わるVaundyの表現力には驚かされる。

13.怪獣の花唄 -replica-
DISC1終盤にこれ持ってくるか!てかこの曲こっちに入るんだ!おそらくTVなどで披露する機会が多い「怪獣の花唄」が代表曲の一つだろう。音楽番組で披露する曲がこれだと正直「もっといい曲あるのにな」なんて思っていたが、アルバムの中に入るとやっぱり際立つし必聴ナンバーだよなと感じた。

14.Audio 008〜15.replica
1枚目もエンディング。ラストはアルバムタイトルにもなっている「replica」個人的に僕も大好きなイギリスのロックバンド、Manic Street Preaturesを彷彿とさせる美しいメロディーとサビでストリングスを使う壮大さ。最初と最後でVaundyの楽曲に影響を与えているUKを代表する2組のバンドへのリスペクトを感じた。


DISC 2
こちらはこれまでの楽曲を一気にまとめたベスト盤的な要素が強く、Vaundyを初めて聴くという方には最高の入門編。また、音楽性の振り幅の広さも1枚目より印象に残った。

1.Audio 003〜2.世界の秘密
2枚目のアルバムスタート!オープニングに相応しい心踊るインスト。そして2曲目「世界の秘密」へ、、2020年リリースのオシャレな楽曲。こういうリラックス感ある曲を作るのも得意としてるのがわかる。

3.融解sink
2021年第1弾シングルとしてリリース。「世界の秘密」に続き、ゆるっとした曲が並んでいる。一緒に歌っているのはMVにも出演していた南沙良さんなのだろうか?MVも要チェック!

4.しわあわせ
大好きなバラード曲!「幸せ」とかけた言葉と思うが、「君」と「僕」「しわ」と「しわ」を合わせる。お互いが繋がりあいながら思い出を作っていき時を重ねていくという様子を表しているのかもしれない。

5.benefits
このDISC2において個人的に特に好きな楽曲の1つ。しかしファンの間ではあまり評価されにくいというのもSNSで見られた。その特徴に挙げられるのは取っ付きにくさ?この曲、ジャンル的には90年代前後、オルタナ全盛期にNilvanaやPearl Jamを筆頭にアメリカで一大ムーブメントとなったグランジロック。終始ダークで気怠い、ローテンションなメロディーと声、そういうところが次に紹介する「花占い」とは真逆の印象なのがポイントなのかもしれない。個人的にはめちゃくちゃ大好き!

6.花占い
イントロから「怪獣の花唄」並の王道J-POPソングが流れ出す。ずーっと明るい!「benefits」の暗さとこの明るさ!大人数のパーティー中にBGMとして流したらルンルンで盛り上がりそうだ。Cメロから大サビに駆け上がっていく躍動感みたいなところもお気に入り。

7.Tokimeki
明るい雰囲気、流れそのままに、まさにトキメキを感じるような一曲。サビの「だぁーだだだだー」は口ずさみたくなるし、踊ってしまいたくなる。自分が魔法を使えるようになったみたいに楽しくなる。現実でもときめきたい。

8.泣き地蔵
これも特に好きな楽曲の1つに挙げられる。首を縦に振りたくなるようなリズムがロックしてて印象的。そして最後のサビの爆発と切ないメロディーがクセになる。この曲ももっと評価されていいはずなのにな。

9.踊り子
小松菜奈のミュージックビデオでお馴染みの曲。呟くようにボソボソっと歌うAメロが特徴的。どこかレトロな世界観があったり、音数が少ないミニマルな音作りだったり、、Vaundyの新しい世界観がどんどん生まれてくる。

10.裸の勇者
アニメのオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲。また、4曲入りEP「裸の勇者」に収録。力強い歌い出しが、これから悪に向かう勇者の姿を表しているかのよう。思わず歯を食いしばってしまう。全てを愛してしまったが故に、錆だらけになった剣は使えなくなってしまったという箇所から優しい世界を作ろうとしている勇者なのだろうと推測する。(アニメ見てないのでなんとも)

11.恋風邪にのせて
昭和歌謡でもない、平成初期くらいにあったようなイントロからAメロへと続く僕ら世代には懐かしさを感じる美しいメロディーと声。サビもわかりやすい展開で、カラオケで歌ったら絶対に気持ちいいというか歌ってみたら本当に気持ちがいい曲。「踊り子」「裸の勇者」そして「恋風邪にのせて」どれも歌い方が違っておもしろいし、一瞬全部Vaundyなのを忘れてしまうくらいの憑依ぶり。

12.走馬灯
歌詞の一部そしてMVから死後の世界の話だと思われる。現世ではないどこか知らない世界にいる模様。頭を駆け巡っていく思い出を感じながら、様々な後悔も誰のせいでもない。ただ未来が変わっただけとこれまでの自分を許しているように捉えられる。曲の後半に行くにつれて涙が溢れそうになる。

13.mabataki
淡々と響くストリングスと共に「もし何も 忘れられない世界で 出会い会ってしまったら 憎み合うのはやめるだろうか」とふと溢れたような言葉は曲と一緒に切実な思い、強いメッセージへと変わっていく様子が伝わってくる。その中には孤独感があって、でも常に世界中の誰かと繋がりがあればきっと難しいことだって変えられるんじゃないかと、そういう曲なのかもしれない。

14.CHAINSAW BLOOD
アニメ「チェンソーマン」EDテーマ。イントロのギターリフ、どこかで聴いたことあるようなフレーズだと思ったらマイケル・ジャクソンの「Beat It」だ。これはきっとオマージュとしてあえて似せているということにしておく。しかしこの弾むビート、リズムは語彙力がなくなるほどかっこいい。聴き入ってしまう。曲全体としてかなり攻めた姿勢で一瞬にして過ぎ去ってしまった。

15.瞳惚れ
冒頭からギターのカッティングとベースが軽やかに鳴り、ファンキーなビートがシティポップサウンドを彩るおしゃれな一曲。ロックな曲も切ないバラードも好みだが、Vaundyはこういったキャッチーなポップミュージックが似合うと個人的には思う。タイトルも遊び心があっていい。

16.忘れ物
力強く熱い歌唱とここでもストリングスが効いてくる。そのノスタルジック漂う雰囲気がエモい。自分の過去の経験の中で痛み、不満、後悔といった誰しもが抱えているものを振り返った時に心に残る未練を「忘れ物」と表現するワードセンスは素晴らしい。ただそういった現実を受け入れて向き合い、その忘れ物をぎゅっと掴んで最後は笑えるように生きようぜと自分に言い聞かせているように感じた。

17.置き手紙
アコースティックギターとドラムのリズムに乗せて歌っている。そこから疾走感溢れる流れへ展開していく。「今伝えたいことが 僕たちが僕たちを思い合えるような 魔法の言葉」というサビのフレーズが頭に残る。この曲のテーマとはズレるが、やはり今思うこと伝えたいことはどんな人に対しても言葉で伝えるべきだと改めて思った。

18.まぶた
この曲もまたレトロでファンキーなポップチューン。ジャッジャッジャっと鳴るギターのカッティングは「瞳惚れ」と同様本当に心が躍る。ホーン隊とコーラスも絶妙な仕事をしていてさらに奥行きを作り出している。

19.そんなbitterな話
VaundyのUKロック好きがここでも楽しむことができる。まさにブリットポップとJ-POPを足して2で割ったような楽曲になってる気がする。恋をしてる誰もが共感できるような甘くそしてほろ苦いリアルな恋愛模様を描いている。隙のない見事なアレンジがドラマティックさを増幅させているよう。

20.トドメの一撃 (feat. Cory Wong)
ラストを締めくくるのはアニメ「SPY×FAMILY season2」のエンディングを飾る一曲。冒頭のきらきらした始まり方はお気に入り。終始セクシーでスタイリッシュで大人な魅力がたっぷり感じられる歌声や様々な音色が、まるで夢の中で浮いているようなイメージを想像した。フェードアウトしていくアウトロは、アルバムのラストに相応しい終わり方。こんないい曲を最後の最後にもってくるのはまさにトドメの一撃と言えるだろう。


まとめ
アルバム2枚を通して感じたのは、各アーティストが持っているこういうのが○○っぽいよねというものがVaundyにはないほどジャンルレスで様々なスタイルの楽曲を生み出すことができるということ。音楽アーティストというよりもはやクリエイターなんだなと思いました。常に最高のクオリティでリリースされる新曲がこれからもどんな音で、どんな歌声で、そしてどんなテーマで僕らを楽しませてくれるのか、このアルバム以降のVaundyの進化と躍進に期待していきましょう。まだ聴いたことがないという方、これを読んでぜひゆっくり世界観に浸ってみてほしい。

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