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男女の友情 そして 共通の友人、のいない友人のこと

今日は、わたしの大切な友だちのことを書いてみる。

わたしは、いわゆる男女の友情は成立すると思っている。
というか、わたしは自分のことをパンセクシャルかもしれないなと思っているので、男女がどうのっていうことに疎い。

そんなわたしには、Fくんという大切な友だちがいて、彼とは、社会人2年目の夏に出会った。
わたしはその当時、1年と少し同棲していた、大学時代から付き合っていた彼とお別れをして、とにかく意気消沈していた。
いや、意気消沈なんてものではないな。
右も左もわからなくなって、自分の人生がぐにゃりと曲がってしまっていて、生きると何なのか、とか、考えていたな。
そんな状態のわたしに、新しい彼を探したら、と何人かの友だちが声をかけてくれて、それでTinderを始めたのだった。
でも、わたしは実のところ新しい彼を探すような状況ではなく、そんなときに会いませんか?と声をかけてくれたFくんに、わたしは今の状況を説明して、友達としてでよければ、とお返事をした。
Fくんは、友達でもぜひ!と言ってくれて、それで吉祥寺のハンバーガー屋さんに向かったのだ。

Fくんは当時大学院生で、わたしの1つ下だった。
彼の勉強している分野と、わたしの仕事の内容が少し似通っていたことから、話が弾んだ。
彼は「大学院にいるとどうしても交友関係が狭まるので、違う世界の人と友達になれるのはうれしい」というようなことを言った。
それが2015年のことで、あの日から、わたしたちはずーっとLINEで連絡を取り続けている。
毎日返すこともあれば、1週間あいだが空くこともあるけれど、ずっと。これってすごいことなのではないか。

もちろん(?)、Fくんと付き合ってみることも考えた。
でも、なにかが違うというか、彼に抱くスキの気持ちは、恋愛感情ではないのだ。
彼も彼で「わたしのことはもう友達すぎて、今さら恋愛感情を持つのは非常に難しい、というか、ぼくら恋愛関係になるには、お互いのことをあまりにも深く知りすぎていない?男女の仲になるには知らぬほうがよいことを、知りすぎていない?笑」という感じ。
わたしは、彼に「おじいちゃんとおばあちゃんになったときに、縁側でお茶を飲みたい」という夢を語っている。
いい縁側を見つけておこう、と彼は笑って同意してくれている。

そんなわけで、お互いに、いろいろな恋愛をして、それをその都度報告してきた。
彼は一度結婚をして、離婚をした。
お互いにパートナーができればお祝いをして、別れが訪れたらお酒を飲んで前を向いた。
彼にパートナーができることは心の底からうれしくて、嫉妬の感情が1mmも生まれないことが、この友情を生んでいると思っている。

そして、いつしかFくんは、わたしの心の友のような存在になっている。

その理由のひとつに、わたしと彼との間には、共通の知人が一人もいないことがあると思っている。

共通の知人がいないことで、自分の心情を細やかに相手に伝えることができるというメリットが生まれている。
だれかに遠慮することなく、自分の感じたことや考えたことをそのまま伝えても、誰も傷つけることがないからだ。
共通の知人がいると、どうしてもその人を慮ったうえでの会話になる。気を遣うことになる。

最近、お互いに新しいパートナーができた。
そのパートナーと4人で会ってみようか、という話になったのだけれど、共通の知人ができてしまうことのデメリットを考えて保留となった。

本来であれば、何かしらの共通点があって、初めて友情というものが芽生えるのが自然だと思う。
その共通点というのは、通常は、学校やバイト先、職場が同じであったり、サークルが同じであったり、複数人の共同体の中で生まれることがほとんどである。
そうなるとどうしても、共通の知人や友人が出てくる。
なんなら、そういった共有の知人や友人がいることに安心感を覚えて、友人関係が膨らむことも多い。
けれど、これだけアプリでパートナーを見つけることが当たり前の世の中になったのであれば、アプリで友達を見つけるのもいいと思う。(まあ、アプリでなくてもいいのだけれど。)
考え方や価値観の似た、でも別の世界の人と関われること。
共通の知人や友人がいないことで、何にも気兼ねなく、自分の状況や感情を共有できること。
そういう友だちは、心の友になる。

わたしはFくんに出会えたことは、この人生で起こってよかったことのひとつであることを、今から確信している。

あなたには、心の友がいるだろうか?


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