見出し画像

「[考えることを考える]展覧会」に名前をつけたい │ 21_21 design sight クロストーク)

去年11月、当時六本木のデザインサイトの展示「FUTURES INSIGHT展」の展覧会が始まる前に行われていた、オンラインクロストークにちゃっかり参加していた。なんならプロデューサーの方に質問に答えて頂けてたし、noteの下書きも途中まで書いてたけど、飽き性で途中までで中断してた(せっかく質問答えてもらったのに罰当たり)。

2022年3月12日、念願だったデザインサイトにようやく行けたので、その感想を書こう…と思った時に、クロストークの感想も蔵出ししといた方がいいかな~と思い、5か月位前のものになるけど、感想とメモを出しときます。

(概要:http://www.2121designsight.jp/crosstalk/211118/)


「面倒くさい議論をすることは分かっていた。効率よく話をしようというのは真逆だったけど、この時間が豊かだった。」

とことん時間をかけて話す議論を振り返って「豊かだった」と話せるのがとても羨ましい

時間をかけた深い議論は、充実とストレスの紙一重だと思う。「豊かな時間」が議論する全員の共通認識でないと、一気に真逆のものになってしまう。

ルール展は、大人数での議論が多かったとの話だった。大人数だとたくさんの意見が出る分、それを聞いて、リアクションして、まとめることにたくさんの労力と時間がかかる。これがストレスになった瞬間、議論の意味がなくなる。

事実、私自身自分の知識が浅かったり興味が無かったりする話し合いは本当にストレスに感じてしまう。半面、わたしは話し合いに熱中しすぎると周りが見えなくなるから、多分何回も相手にとってストレスフルなミーティングをしてしまってたと思う、申し訳ない、、線引きの判断が難しい


「未来について考えることを考える」展示に

これは、プロデューサーである松島さんの言葉。ここで通常の展覧会と今回のものの違いを再認識した。

【これまでの展覧会】

・鑑賞の際は、作品からの一方向の情報のみ

・鑑賞者とアーティストに接点はない

「形に残らない体験」
=形に残らないため、未来からその時点の人たちが何を考えているか分からない

【2121 future sight 展】

・アーティスト、鑑賞者、キュレーターの双方向で
=みんなで課題について考える、展示物よりも考えるプロセスを重視

・オンライントークなどで鑑賞者と製作者に接点が生まれる

「形に残る」体験にしたい
ぬ=100年後の人々に現時点の私たちが考えていることを示すのが可能なうえ、議論を重ね生まれた「課題」の答えあわせができる

・「作品を見る」ための場所ではなく、「考える場所」としてデザインサイトを位置づける

「美術館」ではなく「デザインサイト」という新しい定義を確立したように、今回も「FUTURES INSGHT『展』」ではなく、新しいポジションとしての名前を付けることが出来たらいいのに、と思った。


変わることを特別なことにしないためには?

最後にいくつかチャットで質問を受け付けてくれて、ラッキーなことに私のした質問に皆さんが丁寧に答えてくださったので、残しておきます。

貴重なお話ありがとうございます。
現在大学で観光まちづくりを学んでいる者です。菅さんが「変わることを特別なことにしない」という話をおっしゃっていましたが、日本人(特に高齢者)は不変を求めるものが多く、地方部では特に革新的な都市計画ができていないことが問題としてあります。
個人の意見を束ねなければならないまちづくりにおいて、「変わることを特別なことにしない」ためにはどうすべきなのでしょうか?

速攻で送ってしまったので文章ぐちゃぐちゃですが、要するに

保守派と革新派がどちらも存在している場面で、「変わることを特別なことにしない」革新派の意識を保守派にも持ってもらうためには?(そもそも強要にはならないのか?)

ということ。

せっかくキュレーターをしているような多角的な視点を持った方たちからの意見を頂けたので、メモになっちゃうけども全部書いておきます。

松島さん:
年配者が保守派なのは当然のこと。だから、意思決定の重心を若い人にすれば「変わることが当たり前」の風潮に変化するのでは?

菅さん:
できることの積み重ねでしか大きなことはできない。だから、小さな成功体験を何度も積み重ねていくしかないのでは。いきなり巨大な問題を掲げたところで、「変化することを当たり前に」は実現不可能。

「変わりたくない」は、つまりは「心地よい状態でありたい」ということ。だから、「変化するとこんなに心地よい状態になる」ということを示す必要があるよね。毎日のちょっとした変化、食べ物とかでもいいから。だから、地道な、時間のかかることだし、一気にやることは不可能。

前村さん:
これは、田中さんの言っていた「変わらないことをどう変えていくのか」ということに通じますね。課題性が高い。

田中さん:
菅さんの言っていた、「小さな成功体験を何度も積み重ねていく」というのは、前回の「ルール?」展でも大事にしていた。

前回の展示では、若い世代の人たちが集まっているのにも関わらず「もっとルールを厳しくしてほしい」等、規制の強化を求める保守派の声が多く上がり、少し怖いと感じた。これって、自由であることに夢を感じさせられてない。

だから、変わりたくないと思っているのはもしかしたら若い世代も同じ。一概に、「若い人が~」とか「高齢者が~」とは言えない。自分たちが変えていかなければ

菅さん:自分で変えていくっていう練習をしていないってことですよね。


変わることが当たり前、それが未来をつくる、大きなテーマに見えるけどこれを他人事じゃなく自分事にしないとそもそも何も始まらない。そこに気づくための展示なのだろうか。「未来について考える」ことを考える展示。わくわく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?