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一緒にいることについて

その夜、私は街で映画を見ていた。

映画のあとお腹が空いたので、
大好きなお店でパスタを食べた。
そしてふらっとお酒を一杯だけ飲んで、帰った。

夏が消えかけた8月末の夜道である。

なんと自由なんだろう。
自分自身でいる、ということは。
私のために生きるということは。と思った。

誰にも期待せず、失望させず、
自分の心と腹を満たすことだけに集中する。
あまりにもシンプルだ。



私は何がうれしくて、
人と一緒にいるのだろう。


今日の映画を思い出す。
ひとりの男性を愛し、家庭を育み、
そして突然失う女性の話だ。

彼女は、寂しさで狂っていた。
けれど少し羨ましさもあった。

晴れの日も雨の日も人と向き合い、
やがてお互いが「帰る場所」となった。
それが人生を狂わすまでに
大切になってしまったのだから。


私はそんなふうになれているのか。
嫌われたくなくて、
本当のことを
言葉にすることから
逃げてしまっていないか。


自分ひとりでいるときが一番楽など、
そんなくだらない真理に
何度も、何度も、気づく暇はあるのに。


私は「帰る場所」を作ることができるのだろうか。
誰かにとって、そんな存在になれるのだろうか。



「私のために、私を生きたい。」


それは、孤独に自由でありたいというより、
「あなたを理解し、私も理解されたい」
そんなふうに訳す方がしっくりくる。

伝えなくてはね。



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