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9022 東海旅客鉄道

東海旅客鉄道はJR東海とも言われている、誰もが聞いたことはある企業でしょう。そうでなくとも東海道新幹線を乗ったことがない方は少ないのではないでしょうか。現状は鉄道会社の例にもれず、コロナウイルスの影響で大幅に減益となっていますが、長期的にその価値はほとんど失われないでしょう。そのため現時点株価は割安といえるため購入を行いました。

基本情報(2/3時点)

 時価総額:3兆2579億円
 EV:7兆6740億円
 営業利益(過去5年平均):6,452億円
 2020/3 有形固定資産:49,251億円(中央新幹線分8587億円含む)
 運転資本:-2,140億円

評価

コロナウイルスによる緊急事態宣言や外出自粛により、今期3Qの売上高は前同四半期比で58%減、営業利益は赤字となっていますが、1〜3Qと見れば徐々に回復しています。
長期的には、この先も3大首都圏間の交通需要がなくなることはないでしょうし、多くの人にとって速さと快適性で代わりがなく、第一の選択肢であり続けたことを考えれば、東海道新幹線の需要は数年のうちに回復すると見込んでいます。

JR東海を評価するうえで難しいのが中央新幹線(リニア)の価値ですが、運行開始は2027年予定と5年後であり、建設もまだまだ途中であるため評価のしようがありません。無理にしたとしても的外れな結果になるのは間違いありません。ですのでここでは中央新幹線に関わる資産・負債等全てまとめて0円として見積もります。これは将来稼ぎ出す収益の現在価値が投資額と同じということですが、これは中央新幹線への投資価値がマイナスでない限りは保守的な見積もりといえるでしょう。

コロナ前の水準に利益が戻ると仮定して、過去5年の平均営業利益から利回り(営業利益/EV)を算出すると8.5%であり、この数値自体はさして割安ではありません。但し、固定負債に「中央新幹線建設長期借入金」が3兆円計上されており、これは使途をリニア建設に限定した借入金です。その分をEVから引くと利回りは14%となり、この規模と競争優位性を持つ企業としては悪くない利回りとなります。

同じ営業利益を仮定すると資本利益率は約16%となります。純有形固定資産からは中央新幹線関連分の8587億円を除いて算出しています。他の大手鉄道会社が約4〜8%ですので、JR東海は2〜3倍も高く、それだけの資本利益率を生み出す競争優位性があることを示しているといえます。

懸念

リスクとして、コロナウイルスの収束期間と回復水準、中央新幹線の成否があります。

コロナウイルスの影響について、収束までどのくらい掛かるのかと、どの程度まで利益が戻るのかの2点があります。時間が掛かればそれだけ株価の回復は遅くなりますし、中央新幹線の建設にも影響が出るでしょう。またここ最近でテレワークや電話会議が普及したため、収束後における新幹線需要が減少するかもしれません。

現在のワクチン普及や利用状況を鑑みて。2年以内に90%ほどに利益が回復するのではと見込んでいます。これらの値に根拠はないですが、保守的に見積もっています。価値の計算にあたってはさらに保守的な2年で50%の回復のケースを考慮しておくべきかもしれません。

もうひとつが中央新幹線の成否です。2〜3年という期間で見ればほとんど影響はないと見込んでいますが、莫大な追加費用の発生や計画の撤回等の予期しないネガティブな事象が発生した場合は大きな影響があると思われます。

期待リターン

割引率8%、実効税率30%として現在価値を求めると、
①利益が90%まで回復する場合、
 → (6,452億 × 0.7 × 0.9) ÷ 0.08 ≒ 50,809億円
②利益が50%までしか回復しない場合、
 →(6,452億 × 0.7 × 0.5) ÷ 0.08 ≒ 28,227億円

ざっくりと可能性が①が80%、②が20%として考えると、50,809億 × 0.8 + 28,227億 × 0.2 = 46,292億となり、現在の時価総額が32,597億円のため42%の期待リターンとなります。

まとめ

2年以内に期待リターンが42%として、1年目に実現すれば年率42%、2年目でも年率19%となり私にとっては充分に投資対象です。

またこのような大型株のメリットとして、流動性が高く価格が効率的であり、比較的に株価が価値を反映するのが早いことです。この特徴により、期待リターンの実現が目立たない小型の株に比べて早く達成すると思われます。

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