ワクチンの効果を最大化するために始めた禁酒だが、体調にも好影響があるのではと期待していたところがある。

　だが、今現在、体重減少以外これといってない。胃は相変わらず痛いし、腸の調子も改善していない。つまり、長年悩まされてきた胃腸の不調は飲酒と関係なかった、と思わざるを得ない。

　もちろん、数十年積み上げた習慣による悪影響がたかが十日やそこらで失せるはずなどない、だけなのかもしれない。ただ、何にせよ期待外れだ。

　一方、飲酒を止めたデメリットはあきらかに暮らしを侵食しつつある。

　生活にメリハリがなくなったのだ。その結果、ちょっとしたことでイライラがつのる一方、容易に解消されなくなった。要するにストレスがたまり始めているのである。

　これが飲酒への欲求不満ではないことは明らかだ。禁酒したとはいえ、うちには買い置きの酒がふんだんにある。その気になればいつでも飲酒を再開できる。それなのに、一向にそうする気が起きない。もし、私にアルコール依存の傾向があり、今のストレスがそれに起因するなら、間違いなくストックに手を伸ばしているはずだ。

　鑑みるに、どうやら私はお酒と結構いい付き合い方をしていたらしい。もっとも、酒での失敗は数あるので、パーフェクトな飲酒者と驕るつもりはさらさらないが。

　なんにせよ、もっとも簡便なストレス解消法を失った今、別の「自分の機嫌取り法」を探さなければならなくなっている。ちょっと面倒である。