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シナリオライターの仕事の思い出 下読み編

私がシナリオライターの仕事をしていて、何より苦戦し、ストレスを感じ、体調まで崩したのは下読み案件でした。

内容は某文庫社のコンテストの予選の判定をするために、小説を読み、レビューとランク付けをするというもの。

報酬は1本うん千円と安価でしたが、小説を読んでお金まで貰えるなんてラッキー、と8件ほど引き受けました。

が、私はシナリオライターしてるのに小説を全く読まない人間なので、読むのが非常に遅い。

読んでも読んでも1作が終わらないのです。
まだ7作あるのに。

しかも最初に読んだ小説は昼ドラのようにドロドロで、また主人公が自分が飽きたからと恋人を振って周り、最後は金持ちと結婚して幸せになるという、正直私的には読んでいてつらいもの。

それがページで言うと300Pありました。

その1作を読む間にレビューの納期は半分過ぎてしまいました。

絶望し、体調を崩しつつも、素直に謝り、下読みを8件から3件に減らして貰いました。

その次の作品はミステリーでした。
作中2つの世界が登場し、どちらが本物かは聡明な読者なら分かるだろう、というもの。
しかし私は余裕のなさに加え、聡明でないので分かりませんでした。
ただミステリーのトリックはもちろん、叙述トリックも見事な物で、A評価にしました。

その次はIT企業の社長が異世界に転生するというもの。

これが一番面白かったです。

主人公は異世界に転生し、3つの試練をクリアするよう要求されるも、社長故のビジネススキルで試練をクリアするというもの。

しかしこの異世界は実は造られた物で、ここは現代の北海道。それに気付いた途端主人公はスーツ姿の男に狙われ逃走劇が始まる…と言うもの。

これは素直に皆さんにも読んで欲しいなあと思うほど面白く、文章も読みやすく、キャラも魅力的でした。

作中主人公が俺は何度も絶望し、立ち上がった、と言ったら、立ち上がれるのは絶望ではない、挫折だ、と言われるシーンとセリフは印象的でした。

そしてA評価と、推薦文を書きました。

下読みは割に合わない仕事ですが、凄く良い経験にはなりました。

またやりたいかと言われると微妙ですが…

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