第19段 折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。

徒然なるままに、日暮らし、齧られたリンゴに向かいて云々。

季節の変わり目は浮き足立つ、というが、まさにその通りだなァ、と思うことが多々ある。というよりも、人付き合いの中で、お互いのエネルギーが変わり、すっきりさっぱりとその関係が清算されたりすることがあると思う。最近自分の身の回りでもそんなようなことがあったし、人の話を聞いていてもそうだ。なかなかに渦中にいるとそれがわからないものだが、やはり、人間というのは『出会うために別れ、別れるために出会う』ということを繰り返しているのだと思う。その時にはひどく悲しいものに思えるが、結果としてみれば、それは決して悲しいことでもなんでもないというのが事実だ。そしてこの世の真理なのだとも思う。私は今、『Lの世界』というドラマにはまっている。何か一つのことにハマりだすと身を滅ぼすまで没頭するのが私の常だ。寝ても覚めても四六時中、このドラマを再生しては自分自身の生活とリンクさせている節がある。このドラマは御多分に洩れずアメリカのドラマなのだが、いわゆる『レスビアン』の世界を中心に描いた作品である。レズビアンの女の子たちが主人公で、その中には性同一性障害の青年だったり、ゲイだったり、はたまたストレートからゲイに転向したりその逆も然りな人たちが出てきたり、そしてそれにまつわる『差別』の問題もはっきりと描かれている。私はいわゆるセクシャルマイノリティーだ。自分自身の性自認をノンバイナリー としており、公言している。しかしながら、見た目を男のように変えたいとはおもわず、いわゆる、フェミニン系のままにしている。(通称フェミと呼ばれる。)去年から実際にレズビアンバーにも通っており、フェミ系の人や、ボイ(見た目を男性ぽくしている人)さんにもたくさん会って色々と交流させてもらっている。彼女たち、彼らと話していると、『性別って何かな』と改めて感じさせられることがある。ビアンバー(レズビアンバー)に通ってくる人の中には、私のように男関係に疲れたり嫌な思いをしたりして、『元々男の人が好きではなかった』ということに気づいたり、『男の人と恋愛している時の自分が嫌い』という理由でボイになったという人もいたりする。みんな理由は様々だが、それでいてその傷を舐め合うのではなく、本来の自分に気づいて開拓していくというところに立っている人たちが多い。いわゆるみんな、パイオニアだ。私はこの感覚がとても好きで、そして居心地がいいなァと思ったりもしている。私自身、まだバイかノンケ(ストレート)かわからない感覚もありつつ、探っている途中なのだが結果として思ったのは正直『どちらでもいいな』という感覚だった。簡単に言えば、愛している人、好きになった人がたまたまどっちかだったというだけの話で、『好きになる』ということがとても大切で美しいことなんだなァ、と改めて感じ直している。もちろん世の中には『好きになる』という感情を持たない人もいる。それはそれで美しいことだなァと思っている。結局は『自分自身が幸せ』であることがやはり大事で、人間は幸せになるために生まれてきたのだと思うことも事実だ。それ以上もそれ以下もない、と思っている。カメラを持つ生活をしてから、とてつもなく大きな因果のようなものに引き寄せられ、運命の歯車のようなものに乗っかっている感覚がある。神や天があるならば、いよいよ『みなみ、幸せというものに突っ込んで行く時がきたのだぞ』と言われているような感覚だ。とは言え、ルーキーなので、苦しみも多く、思うようにいかない自分の能力などに歯がゆさを感じながら結果的には非常に楽しんでいる状態である。目指すものがあるということはこんなに幸せなことだったのかと改めて感じている次第である。写真家というのは、その人の人生に非常に密接に関わる仕事だ。その人の命というものに突っ込んで行く、時に、もしかしたら土足で踏み込んで行く時もあるのかもしれない。私の曽祖父は肖像画家だった。きっと彼も、同じような気持ちになったのだろうかと思いを巡らせる時がある。話が極端に逸れてしまったが、とにもかくにも、エネルギーというのは常に流れ、巡り、そして循環している。ある意味で万華鏡のようだったり、回廊のようだったり、走馬灯のようなものでもある。その中で、人間同士として出会うというのはやはり不思議でエキサイティングであることに変わりはない。そしてそのエネルギーを見極め、何か変化が起こった時には天が何を知らせようとしているのかを受け取ることが大事だ。私はこの人からこれを受け取ったんだ、と少しでも納得ができればそれはとても大きな叡智となる。日本は四季のはっきりとしている国である。最近はめっきり熱帯化しているような節もあるが、それでも私たちは四季を感じ取り、そして海に囲まれた島国らしく、『水に流す』という潔い習慣も持っている。生きるということはやはり波を乗りこなし、そして潮の満ち引きを感じ取り、泳いで行くことに他ならないのかもしれない。そう思うと私は、まだまだ旅の途中である。道中何が起こるのか、これからも意欲を持って楽しんでいきたい。






コギト・エルゴ・スム

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