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古書店の本は枯れてなんかいない。なかなかしぶとい本たちばかりだ

今日は所用があって、久しぶりに街に出た。その帰りに古書店を2件訪れた。
古書店と言っても昔ながらの、古書がうず高く積み上げられて気難しいオヤジのいる店ではない。若い店主が独自の視点で選んだ本を販売する古書のセレクトショップのような店だ。

雑誌の特集で見て、この2店が近い距離にあったので行ってみた。
店の雰囲気は対照的だった。
1店目は2階にあって、本がゆったりと整然と並んでいる。並んでいる本は作家性の強いものが中心で、写真集やアート系の本も充実していた。傾向的に私の好みにあっていた。ここで、2冊買った。「映画作家は語る」(D・ブレスキン/柳下毅一郎訳/1994年)と妻が買った「消滅世界」(村田沙耶香/2015年)だ。

2店目は1階にある路面店だった。こちらは本がぎっちり並んでいる。さらに雑貨やCDも置いてある。ヴィレッジヴァンガードのような感じだ。ここにはあらゆるジャンルの書籍、雑誌がある。1店目の本が、たとえて言うとすました感じなのに対して、こちらはおしゃべりな感じである。そういえば、店主の佇まいにもその差は表れていた。
ここでも2冊買った。「和田誠イラスト集:SF大会」(1982年)と「別冊太陽:アメリカンニューシネマ」(1985年)だ。

私としては満足のいく買物だった。大型の新刊書店とは比べ物にならないほど品揃えは少ないがあまり迷うことなく、これらの本を買えた。書店の個性が自分にフィットすれば、本が少なくても欲しいものに出会える。むしろ効率がいい。

古書店で出会う本には、知らなかった本、買いそびれた本、今日まで価値に気づかなかった本などがある。新刊の時は在庫も多いから、今買わなくてもいいという気持ちになるが、古書になると1点ものになるので、このタイミングを逃すと二度と会えないかもしれない。
買うべきか買わざるべきか?この悩ましさが古書店巡りの大きな魅力だ。

古書は一度、誰かに価値を認められて買われた経歴がある。読んでみたらつまらなかったから売られたのかもしれないが、ここの店主は価値を認めて買い取ったはずだ。それを私が買うことで、本は何度も生き返ることになる。本はなかなかしぶとい存在だ。

私は1冊でも多くの本を蘇らせたいから、これからも古書店巡りを続ける。

※写真は本日の収穫であり、本を蘇生させた実績。

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