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⑤フェリーに夢をのせて モンキー125で巡る九州(大分県臼杵港から上陸)

風の音が心地よく、フェリーデッキから望む空と海の青さに酔いしれていた。空気にほのかな潮の香りが漂い、遠くを行く汽笛の音が、何処か懐かしい安心感を呼び起こしてくれた。

雨模様から一変し、今朝は太陽が輝いていた。いつものように、朝の街を歩き回る習慣が、気分を高揚させた。昨夜は八幡浜センチュリーホテルに泊まり、ぐっすりと眠ることができた。大切な相棒であるモンキー125も屋根の下の駐車場で安全に保管されていた。

「よし、出発だ!」ウインカーを点滅させ、ホテルを後にした。今日の目的地は鹿児島県の垂水市だ。そこから明日は桜島を周り、九州一周ツーリングの締めくくりにしようと考えている。八幡浜港へとモンキーを走らせた。

フェリーターミナルに到着すると、すでに長い列ができていた。係員に声を掛けられ、二輪車専用スペースへと誘導された。チケットを渡し、乗船手続きを済ませる。

フェリーを待つ間、船を見るとワクワクしてきます✨

「いよいよ旅の夢が広がっていく」
開放的なデッキで潮風を浴びながら、船内に続く階段を見上げた。遠くの山々が霞む景色を最後に眺めると、ゆっくりとフェリーが岸を離れていった。

八幡浜港から対岸の大分県臼杵港までは、このオレンジフェリーに乗って約二時間半の船旅だった。フェリー内部の客室は二階建てになっていた。荷物を置いた後、船内をぐるりと見て回ると、やはりフェリーはいいなと感じた。

たかが二時間半とはいえ、船に揺られての移動は格別で、日常とは異なる空間に身を置いているようだった。船内の展望室でエナジードリンクを飲みながら、ここまでの旅路を思い返していた。

船内の展望室より。目を瞑り旅の前半を思い返していました。

到着予定時刻通りに臼杵港に着いた。降りてすぐに、記念撮影もそこそこに、再び南下の道を走り始めた。九州の風景は新鮮であり、未知の土地を走ることで高揚感を覚えた。

臼杵港を出発してしばらく走っていると、前方を赤いモンキー125が走るのが目に入った。ライダーの荷物の積み付け方を見ると、長距離ツーリングのようだった。同じモンキー125ライダーとして、無性に親近感が湧いてきた。

ツーリング用の荷物からしてかなりの長距離を走っているライダーのようだ。私も似たような旅の仲間なのだろうと感じ、信号で止まった際にすぐ後ろに並んだ。しかし、その後ナンバープレートに目がいった時、驚きの事実が判明した。私の住んでいる隣の市だったのだ。ふと気づけば、このライダーは私の住む町からそう遠くない場所に住んでいる、ということになる。

思わずその男性に声をかけてみると、実際に隣の市からだと答えた。そして更に話を進めていくうちに、なんと同級生同士だったことが分かったのである。同い年だから当然かもしれないが、この出会いに私たちは心が躍った。

男性の提案で近くのコンビニに立ち寄り、約1時間ほど歓談させてもらった。お互いの自宅も意外にも近かったことから、また地元でも会えるかもしれないと期待に胸を膨らませた。

偶然の出会い、これもまたソロツーリングの楽しみである😊
楽しいひとときはあっという間に過ぎ去り、気がつけば一時間が経っていた💦

彼は非常に気さくで、温かい笑顔が印象的な男性だった。安心して話しかけられる人柄に、私も打ち解けることができた。

予期せぬ出会いを経て、有意義な時間を共有できた。改めて偶然の出会いがもたらす温かさを感じ、ツーリングの魅力に心が満たされた。きっとまた、風に乗って新たな出会いが待っているのだろう。そう願いを込めながら、私は再びモンキーを走らせた。

しかし、その喜びに浸る間もなく、荷台に固定していたリュックが道路に転がり落ちるアクシデントが起きた。バイクから荷物が落ちることはツーリングでは時折あることだが、今回は私が油断してしまった。急いで引き返し、落下物を回収した。幸い、何も傷つけることなくすんだが、この出来事をきっかけに、今後はより慎重に運転することを決意した。

落下物を無事に回収し、ほっと胸をなでおろしたものの、そのアクシデントの余波か、集中力が欠けたのか、しばらくの間、道に迷うことが何度もあった。ナビを頼りにしても、細かな分岐に迷い込み、行き止まりに出くわすことばかりだった。そんな最中、偶然にも素晴らしい景色に出会うこともあった。

ある細い道を進みすぎてしまい、辿り着いたのは絶景の高台だった。目の前に広がる大パノラマに、うっとりと見とれた。緑の山々に囲まれた大地に、川が静かに流れていく。光と影が織りなす美しい光景に、思わず息を呑んだ。まるで絵画の中にいるかのような錯覚を覚えた。

霞がかった眼下には静かな風景が広がっていた。

人里離れた場所に迷い込んでしまったことには不安もあったが、この景色を最後に目に焼き付けることにした。深呼吸をして、空気の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。どれだけ長い旅を続けていても、そんな驚きと発見に出会えることがあるからこそ、ツーリングは楽しいのだと実感した。

迷路のような分岐した道を進んでいくと、また奇妙な出来事に遭遇したのだった。目の前に現れたのは、まるで別世界からの迷い込んだかのような怪しげな景色だった。一本の道が遮るように立ちはだかり、そこから煙のような白い靄が立ち上がっていた。

「もしかして、ここに妖怪が棲んでいるのかもしれないな」
そんな冗談めかした思いを抱きながらも、ゾッとするような気味の悪さを感じずにはいられなかった。戸惑いつつも、ふと横を見ると、そこに古びた小さな道すら現れていた。ならばと思い、その道を曲がってみると、またしても異界のような光景が広がっていた。遠くに水田の青々とした風景が見え、農夫が働いているような有様すら目に映ったのだ。

そして目を凝らすと、丘の上に小さな社が佇んでいるのが視界に入った。周りの風景があまりにも鮮明に浮かび上がり、夢でも見ているのではないかと疑わしくなるほどの不思議な光景だった。思わずカメラを手に取り、この世にも奇妙な情景を記録しようとしたものの、現実を写し出しているはずなのに、まるで幻想の世界に迷い込んでしまったかのようでもあった。

ファンタジックな風景の前に立ち、虚実の区別がつかなくなってしまっていた。目に映るものすべてが非現実的で、しかし同時に生々しく存在していたのだ。私はカメラのレンズを通して、この矛盾した世界を切り取ろうと試みていたのだった。

社のある場所まで行くと、周囲はかなり濃い霧に包まれていた。

<筆者 自己紹介>
私は現在40代後半に差し掛かり、子供たちも徐々に自立し、自分の時間を満喫できるようになりました。免許を取得したのは30代後半でしたが、仕事と家庭のバランスで中々バイクに乗る機会がありませんでした。しかし、最近になってようやく自分の時間を楽しむ余裕ができました。大型バイクは維持にお金がかかりますが、手軽に乗れて維持費も抑えられるバイクを模索していました。そこで私が出会ったのがモンキー125です。このブログでは、私のモンキー125にまつわるエピソード、ツーリングの思い出、カスタムの詳細など、私自身が体験したことを共有していきます。

それに加え、私のYouTubeチャンネルでもいくつかの動画を公開していますので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。🏍️✨

モンキー125の走行シーンと独特のサウンド、そしてツーリング体験を、まるで現地にいるかのようにお楽しみいただけます!ぜひご覧ください👇

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