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グリーンバーグ批評選集 備忘#4 終わり

 全部読み終えたグリーンバーグ批評選集。
 もちろんある程度の絵画知識が必要な本ではあるけれども、あまり絵画史の勉強をしていない私でも追いつけたので極端に難しい本ではないのだろう。

 第1章らへんは批評家グリーンバーグの小難しい授業を聞いているようで文体に慣れずに最も苦戦したところであったけれども、そこを読み込んでおくといつのまにかグリーンバーグおじちゃんとお話ししている感じ。

 ただし知識を持っているからいい絵が描けるようになる、とは思っていない。だけれどもニューマンやロスコといった画家の絵を見てかっこいいなぁと思ったときに、その外見的特徴を真似するのか背景理論を学んでいるうえで追従するのかは本質的に異なるから図書館で借りてよかった1冊。

 現代に生きるものとして1点考えなくてはならないのは、グリーンバーグの論ずる美術はモダニズムであってその論理的延長線上に現代美術がないということだろう。ただし全く無関係ではなく、基礎知識として必要であるはず。少なくとも私はそう認識している。モダニズム芸術はそれ自身を確固たる学問として確立した素晴らしい分野であるけれども、現代美術のような現代という時間に対する認識があったのかは分からないところである。
 もちろんモダニズムの動機を考えると、近代という時間性はあるはずなのだけど、昨今の現代美術のような現代に対する猛烈な批判性というのはないように思う。

 図書館で借りた際には読めるか不安だったけど、頑張って読んでよかった本。


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