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僕が住むロンドンのタワマンの話

僕はロンドンのタワマンに住んでいる。

上階からはアーセナルのホーム「エミレーツ・スタジアム」が一望出来る、19階建の超高層マンション!

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と言えば聞こえはよいが、まぁ、ぶっちゃけ団地である。

「カウンシルフラット」と呼ばれる、ただただ強引にスペースをギューン縦に伸しばしただけの公営のウサギ小屋 (ウサギさんさーせん)。

今でこそ「EU離脱万歳!」という保守党の躍進により「世界一ビザの獲りにくい国」になりつつあるイギリスだが、実はこの国、こうみえて移民大国だった。

これまで散々世界を荒らしまくった罪滅ぼし...なのかどうかわからないが、第二次大戦後の経済成長期には「労働力確保」の名目で英連邦諸国からガンガン移民を受け入れてきた過去を持つ、移民ラバーの国だったのだ。

故に必然的に貧困層の人たちが街に溢れるわけで、そういった人たちの受け皿としても、このような公営の団地が必須となった。

もちろんそれだけが理由ではない。1875年制定された、土地の価値を上げ地方都市からスラムをなくそう!という「スラム解体政策」の一環として、また、核家族化に伴う住居不足を補うという意味合いもあったようだ。

とはいえ、ロンドンは狭い。とにかく狭い。(ロンドン中心部は東京23区の半分ほどしかないらしい)

となると、限られたスペースを有効活用するには縦に伸ばすのが手っ取り早い。その結果がこの画期的な「タワマン風団地」というわけだ。
(イギリス人は天才かもしれない。シンガポール人はもっと天才)

しかし、誤解してもらっては困るが、タワマンではない。

あくまで “風”。

中身はタワマンと呼べる代物ではなく、姉歯物件の足元にも及ばないほどのズサンさである。

ご記憶ではないだろうか?2017年死者70人を出し戦後最悪と言われた「ロンドン高層マンション火災」を。

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当時、日本の報道では「ロンドンのタワーマンションで大火災発生」などと報じられていたが、実際火災が起きたのはスプリンクラーの設備すらない、タワマンとは見せかけだけの、そんな高層団地だったのである。

そんなデンジェラスなタワマンである。言うまでもなく、高いところが好きそうな高所得者層は皆無。(階数でマウント取る大金持ちはこの国には存在しない。基本こちらのお金持ちは広い庭付き一戸建てに住みたがる傾向がある)。

かといって、労働者階級すらも、好き好んで住んでいる人間はあまりいないと思われる。

そもそも論でいうと、カウンシルフラットは、区が低所得者層に対し激安で貸し出している物件であり、失業者、シングル・マザー、生活保護対象者などが優先。自分のような多少なりとも稼ぎのある人間は基本拒否られる。

とはいえ、高額物件しかないロンドン。自分の稼ぎではなかなか選択肢がないので、イズリントンのカウンシル(区役所)に申請に逝ってみた。

「僕にカウンシルフラットを貸してください!」

くらいの熱量で乗り込んだものの、そんな野望は窓口のお上品なマダムに一撃で粉砕された。

「何かお仕事されてるの?じゃあ無理ね。イズリントンからお出になられたら?」

働いてると住めない。それがカウンシルフラット。

なのに何故ここに潜り込むことが出来たのか?

という話はまた次回。

とにもかくにも、カウンシルフラットという物件は敬遠されがちなのは確か。特にロンドンにおける「カウンシルフラット」の負のイメージはマジハンパない

以前、日本から来た方から、こんな質問をされたことがあった。

「観光ガイドさんから聞いたんですけど、ロンドンで治安が悪い場所を見極めるには『カウンシルフラット』が多いエリアは気をつけろって言われたんですけど、ホントですか?」

いやいやいや、そんなことないよ!大げさ大げさ!そんなこと言ったらその震源地に住んでるオレどーすんのよ!!

と言いたいところだが、ウソかホントかっつったら、

残念ながら「ウソに近いホント」。

自分が潜り込んだこの団地も「ギャングがスカウトに来る」みたいな話は聞くし、東のカウンシルフラット郡では、通りすがりのキッズに突然買い物袋を蹴られたこともあるし(卵が入ってなくて命拾いした)、あとカムデンのカウンシルフラットの前では子供にコンクリの塊みたいのを投げられたこともあったなぁ...(遠い目)。

あと、ここじゃないけど、近くのカウンシルでは刺されたかなんかで「立ち入り禁止」の規制線が張られていたことも何度か目撃している。

全てのカウンシルフラットがそうではないけれど、観光で来た人にざっくり治安を問われたら、そう答えてしまうガイドさんの気持ちもわからいではない。

まぁ、そんなど底辺のど真ん中で、僕はなんとか生きている。

いや、生きられている。

何故なら、部屋の窓からは、聖地「エミレーツ・スタジアム」が拝めるから。

そんなスラムでも、僕にとっては最高の「ウサギ小屋」なのだ。

↓続く
https://note.com/monkey_gooner/n/n7668d0e8b273


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