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イスラエル、グルメツアーの傍らで私の頭の中を埋め尽くしたもの。

神戸で知り合ったホルヘさん(アルゼンチン生まれ、イスラエル育ち、日本人と結婚して大阪在住の建築家)と一緒にグルメツアーをするためイスラエルにやって来た。ことの成り行きは以下記事にて。

そもそもホルヘさんがイスラエルで育ったということを今回の誘いを受けて初めて知った。アメリカとカナダで建築をバリバリやっていたという話を聞いていたので、てっきり生まれも北米かと思っていた。

「てっきり北米出身だと思ってました」と言うと。

「僕の家族はユダヤ教で元々ロシアに住んでいたんだけど、ロシア帝国によるユダヤ人集団迫害を受けて、当時移民誘致を行っていたアルゼンチンに移住したんだ。僕はそこで生まれたわけ。その後、アルゼンチンの軍事政権が始まってそれに伴ってユダヤ教の迫害が激化して、今度はイスラエルに移住したんだ。僕の青年時代はイスラエルで過ごしたよ。アメリカに住み始めたのは社会人になってから」

そうサラッと言って、スタスタ歩き始めたホルヘさんは「朝ご飯食べた?こことか良さそうだね。Let's try!」とカフェへ入っていった。

スパイスとハーブがたっぷり乗った目玉焼きと、ヨーグルトとオリーブオイルのソースを乗っけて食べるトーストがめちゃくちゃ美味しかった。コーヒーのクオリティも高い。

「オーマイゴッド、美味しすぎるぅ〜!」

が、私たちのグルメツアーの決まり文句である。ふらっと入ったカフェは大当たりだった。

さっと食べ終わると今日の目的地であるエルサレムへ向かうべく、まずはメインの駅までトラムに乗った。

「あ、くれぐれも車内で忘れ物しないようにね。持ち物のわからない不審な荷物があると、テロの可能性を踏まえて、厳重チェックするためにトラムが止まるから」

テ、テロ(°_°)
よく周りを見てみると本物の銃を持った兵隊さんが普通に街の中に居た。(ほとんどが兵役中の若者。ホルヘさに曰く、週末だから家に帰るんじゃない?とのこと。兵役中も週末は家に帰れるのか。)

イスラエルでは18歳になると男子は3年、女子は2年の兵役義務がある。(ただしユダヤ系住民に限る)

トラムを降りるとホルヘさんは少し小洒落た小道に寄り道をした。
「これは絶対食べといた方が良いよ。トルコ料理だけど」

この軽くてサックサクの生地!
このガスパチョみたいなピンクのものも美味しすぎる・・・。名前を思い出せないのが悔やまれる。

「オーマイゴッド、美味しすぎるぅ〜!」

エルサレムに着いた。
「旧市街は城壁に囲まれていて、東西南北にキリスト教地区、ムスリム地区、ユダヤ人地区、アルメニア正教徒地区と別れてるんだ。エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地で、このことからエルサレムの帰属を巡って争いが絶えない。パレスチナ問題の解決を困難にしている原因の一つでもあるかな。」

名だたる宗教の聖地だと言うことを知らずに現地までやって来てしまった・・・。

「本当はアラブ側(ムスリム地区側)の岩のドームも案内したかったんだけど、今はちょっと危ないからやめとこう。厄介なことに昨日アメリカのトランプ(訪れた当時大統領だった)がイスラエルとパレスチナの長年の紛争を解決するための独自の中東和平案を発表してね。ニュース見た?これがイスラエル寄りの内容だもんだからパレスチナ側と緊張が高まっていてね。でも安心して、イスラエルの軍隊の頭脳とテクノロジーは世界一だから」

トランプよ。何も私が到着したタイミングで出さなくても!無事に帰れるのか・・・。

"ここが聖書でかの有名な〜"とホルヘさんが色んな有名スポットを案内してくれたが、宗教の知識が絶望的な私にはその凄さが全然わからずとても惜しいことをした・・・。

相変わらずスタスタと歩いて行くホルヘさんは道端の小さなスタンドで立ち止まった。
「あ、ざくろ好き?栄養たっぷりで最高だよ。僕は健康のために毎日生搾りジュースを飲んでる」

おじさんが絞ってくれるざくろジュースはとっても濃厚で美味しかった。

「オーマイゴッド、美味しすぎるぅ〜!」

何事も無く無事にエルサレム観光を終えて、また翌日に滞在しているホテルのあるテルアビブでおち合うことにした。

翌日、朝からホロコースト記念館を訪れた。

生々しい当時の記録がどこまでも並ぶ。想像していた以上にきつく、結構ダメージを受けた。一方最後の方に向けて、当時悲劇の中ユダヤ人を救おうとした人たちの記録の数々も紹介されていて救いを求めるように読み込んだ。

社会の、政府の、「何かがおかしい」と感じたときに私はその感覚を信じてすぐに行動を起こせるだろうか。また、自分の命を危険に晒してもたくさんの人を救うために実際に行動できるだろうかと自分に問うてみたりした。決して簡単なことではない。

記念館室内の"長く重たい悲劇の記録"を見た後、最後の出口部分が急にパーっと外の光を目一杯受けた解放的な空間になっていた。
これはまさに記念館を訪れた人が実際に感じるように、"長かった。あぁ、ようやく外に出られた"と、ようやく得られた自由、外の世界への解放を表しているらしい。

兵役中の若者の姿が多かった

記念館を後にしてランチをすることにした。

ふわっふわのピタパンと共にサーブされる野菜とスパイスたっぷりのお惣菜の数々
スパイスの効いたレンズ豆のスープ

「オーマイゴッド、美味しすぎるぅ〜!」

ここのレストランのご飯が今回のイスラエルグルメツアーの中でぶっちぎりの一位だったと思う。特にそのナス使いとスパイス使いには感動!

こうしてホルヘさんとのグルメツアーinイスラエルはここで終了。明日からは別行動だ。
相変わらずホルヘさんの食のアンテナはピカイチだった。ここイスラエルにまで誘ってくれて案内してくれて本当にありがとう。でも何よりまず出てきた言葉はこれだった。

「ホルヘさん、私イスラエルのこと、世界の宗教のこと、政治情勢のこと、全然知らなくて恥ずかしくて・・・」

グルメツアーを終えて、私の頭の中を埋め尽くしたのは、"当たり前に本物の銃が自分の周りにある日常、自分の日々の身の安全を守るため嫌でも注視しておかないといけない政治事情、宗教がこんなにも争いを生むこと、パレスチナ側の意見はどういうものなんだろうという疑問"だった。

ホルヘさんは私を真っ直ぐに見つめて言った。
「日本に住んでいたらまぁ考える必要もないからね。それは日本の素晴らしいところでもあるよ。頭の中になぜ?どうして?がたくさん浮かんできたかな?何かを知るきっかけって大体そうじゃないかな。実際に触れてみて、少し自分ごとになって、なぜ?が生まれて。まだ若いんだし、なぜ?と思うことに従って学べばたくさんのことが身に付くよ」

ホルヘさんにたくさんのありがとうを伝え、今度帰国したら神戸のピザ屋にグルメツアーに行く約束をして別れた。

私は宿に向かう前に本屋に直行し、私の中に溢れるなぜ?に対する答えを求めてまずは一冊本を買った。たかが一冊の漫画本だけど、ここから初めてみようと思う。


"約60日間でイスラエルを理解する方法" 

残念ながら日本語版は無いですが、主人公サラさんがイスラエルを訪れて素朴に感じた疑問を元に展開するストーリーでとても読みやすい漫画なので英語でぜひご一読を。

 現地の本屋で買った本と私のお土産たち

つづく

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