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#001 チャーリー・ヘイデンとパット・メセニー「ミズーリの空高く」

30代前半、結婚を誓った女性と暮らしていた。

いろいろ厳しい人だった。特に金銭面には厳しく、1円レベルで節約をしていたし、それを相手にも求めていた。それにこたえようと、自分も自分なりに頑張ってけれど、まぁ、それまでの散財生活が直るはずもなく、だんだんと、息苦しさを感じるようになり、結局別れた。

そのころに買ったのがこのCDだ。ブックオフで買った。500円だった。それでも、当時からすれば贅沢なものだった。このジャケットの空がよかった。僕も、ミズーリへ、逃げてゆきたい気持ちだった。

彼女は神経質な人だったので、音楽も夜かけられなかった。それをこっそり破って、このCDを小さい音量で聞いていた。チャーリー・ヘイデンのベースと、パット・メセニーのギターだけで奏でられる静かな音楽は、その時の僕の心に親密に寄り添ってきた。時々、シンプルなシンセサイザーがオーバーダビングされるが、これが効果絶大で、無限の広がりを感じさせてくれた。

「the moon's a harsh mistress(月は無慈悲な女王さま)」がやはり当時も今も好きだ。これを今の妻と結婚する前に夕焼けを見ながらカーステレオで聞いた。ミズーリとまではいかないが、遠いところに来たことは間違いなかった。


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