世界を変えなかったUFOの技術

ものぐさ太郎α

 前回の「UFO手帖」においてイオノクラフト(イオンクラフト/リフター)について触れた訳だが、それが出た直後の2018年11月、MIT(マサチューセッツ工科大)のチームが、ついについに複葉の無人機にイオン推進機構を組み込み、12秒間飛行する事に成功した。
 今までのイオノクラフトと大きく異なるのは、機体に諸々を積み込んで飛行させたという点である。諸々と言ってもイオン発生装置の事であって、コントロールできない真っ直ぐ飛ぶだけの代物だが、今に見なさい、自立飛行するようになるから。

 さて、表題はふざけているが、イオノクラフト以外でUFOの飛行原理として考えられた仕組みには、どんなものがあるだろうか? 噴射推進については前にも書いているので、それ以外について今まで出ていた話をまとめると、いくつかに分類できる。

 一つ目はイオノクラフトや実験船「ヤマト1」に近い、電子やプラズマなどの流れの力で推進するというものである。
 既に空飛ぶ円盤騒動の前、第二次大戦前に、ソ連のウリンスキが電子流で飛行する乗り物を考えており、これが後の「空飛ぶ円盤」そっくりである。ただしこの方式は実際には作られた事はない。強い電磁波が「光子ロケット」のように推力になるとしても、環境その他に与える影響を考えなくてはならない。
 ロジャー・ショーヤーの「EMドライブ」はマイクロ波を密閉容器内で反射させるものであるが、現在の所、推力は発生させてもごくわずかであるようだ。

 プラズマ推進はジャン・ピエール・プチやクロード・ポエルによるMHDエアロダインが知られる。ウンモ星人はこれを使っているのだろうか?
 人工的に荷電粒子の流れ、太陽風みたいなものを作ってそれに乗るような考えだ。どこか大槻きょーじゅの考えに似ているのだが、太陽風が秒速700kmとかに達するとしても、プラズマを発生させるのは簡単ではない。それにこれもまたイオン推進同様「プラズマ化できる物質」を別に持っていく事が必要である。 

 二つ目は磁気推進、これは歴史が長い。ジョナサン・スイフトの「ガリバー旅行記」には磁力の反発で浮く「ラピュタ」という浮島が出てくる。
 この方式だとUFOが現れた時に起こる「EM効果」をなんとなく説明できる。アラゴの円盤(コイルの回転につれて上に吊ったアルミニウムの円盤が回転する)やトムソンリング(コイルに対してアルミニウムのリングが飛び上がる)の実験、それに超伝導体による反磁性の実験(マイスナー効果とピン止め効果により空中に静止する)やら、リニアモーターカーなんかの話を聞いていると、なんとなくできそうである。

 具体的に空飛ぶ円盤との結び付きは、アズテック事件の時の怪しげな話から始まる。墜落したUFOは磁力線に乗って飛行していたというものだ。なんだそりゃ。宇宙からのリバースエンジニアリングの発端でもある。

 そしてカナダの「プロジェクト・マグネット」のウィルバート・B・スミスがかなり真剣に研究している。
 他にブリンズリー・ル・ポア・トレンチらも装置で発生させた磁場と天然磁場との反発による浮上を考えている。 

 この方式の問題点は、一体磁力を何と反発させて浮上するのかである。確かに地球は磁石であるが、せいぜい方位磁針を動かす程度の力しかないのである。
 超電導物質の反磁性を用いて浮上する事ができたとしても、推進手段は別に必要となる。
 真剣にこの方法に取り組むとしよう。浮上用の電磁石(コイル)は機体側のコイルだけでなく、地上側にもコイルが必要となってくるのである。コイルを並べればリニアモーターカー式に進むことができるだろう。
 だからUFOと地上施設であるHARRPを結びつける考えが生まれるのかもしれない。

 三つ目は重力偏向推進とでもいう方法である。
 重力を打ち消す物質としてはSFの世界では、既にその初期にH.G.ウェルズの「月世界最初の人間」に登場する「ケイヴァーライト」がある。
 空飛ぶ円盤の流行った1950年代にはレイモンド・F・ジョーンズの「騒音レベル」で、反重力式の浮上装置を開発したら円盤型になってしまった様子が描かれている。

 人工重力とUFOに結びつける考えは、1950年代にUFOの観察結果からへルマン・オーベルトの導きだしたものがあり、UFOは内部に重力場発生装置を備えていると考えていたようだ。
 この考えだとUFOが無茶な飛び方をしても「中の人」が無事な理由が説明できたり、UFOが見えなくなるのは重力で光を曲げているからとか、UFOが無音なのは周りの空気も一緒に動かしているからとか、UFOが回転している例が結構ある理由とかが説明できそうである。

 反重力そのものは1948年に起業家で「バブソン大学」で知られるロジャー・バブソンが財団を設立して、研究を援助していた。結局は「反重力はムリ」となったようだが。

 重力を発生させる装置としてよく言われるのがノーマン・ディーンの考案した「ディーン・ドライブ」である。重力に打ち勝つのに遠心力を用いるアイディアで、SF雑誌である「アスタウンディング」誌編集長のジョン・キャンベル・ジュニアが絶賛したというが、実態はどうやら「装置を昇りきったら終わりの木登りマシーン」とか「水の入ったバケツをぶん回して飛ぼうとするようなもの」だったようで、装置そのものが地上から離れた事は無かったという。

 他にエリック・レイスウェイトやT・B・ボーリッキーがジャイロスコープを用いた浮上装置を考えている。映画「サンダーバード6号」にも回転式の重力発生装置で飛ぶ飛行船が登場した。
 日本でも東北大学の早坂秀雄博士が右回転ジャイロによる重力減衰について発表している。
 コマにかかる重力というのは興味を引くんだろうな。
  
 重力を発生させる方法として、「ぶん回し系」以外には、電磁気力と重力との統一を目指す統一場理論方式がある。電気から磁気が、磁気から電気が生み出せるような感じで重力が発生させられる考えで、アインシュタインを越えたいという願望を満たすのにもぴったりなのだが、具体的にどう人工重力場を発生させるのかはなかなか聞かない。
 レナード・クランプやジョン・サールなどがここに含まれる。テスラの弟子という オーティス・T・カーも電磁石とコンデンサから反重力を生み出すという考えだからここか。
 ビーフェルド・ブラウン効果もこの理屈だったはずなのだがしかしこれは、実際にはイオノクラフトと同じ理屈であって、重力を発生していた訳ではなかったようだ。
 日本では清家新一氏がいたが、ついに浮上までは至らなかった。皆神龍太郎氏によると「最初の式が間違っている」という。

 これ以外の方法でUFOの推進方式に結びつけられるものとして、NECの南善成氏の飛翔体特許がある。
 これは強力な磁場で空間そのものを歪ませ、その力を推進力として利用しようというものである。
 どれだけの磁力が必要かは別として、清家氏の研究あたりとは分けて考えた方が良いのではないかと思う。

 他にもハチソン効果のように作った人間にもよく分からないもの、トーマス・ベアデンのように電磁気からスタートしているんだろうが分からない方向に行ったもの、ジョン・W・キーリーのようなエーテル系などがUFOの推進原理に結びつけられるが、ひとまず置いておくとしよう。

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ものぐさ太郎α

同人誌サークル「かんきゅう舎」代表。「Spファイル」「UFO手帖」参加者。台湾のオート三輪「鐵牛車」の他、ブルートレインブーム、文化的側面からの空飛ぶ円盤など研究しています。
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