デニケン症候群

(無料記事に変更しました)

 ウルトラマンに「バラージの青い石」というエピソードがある。これについて作家の山本弘さんが「ウルトラマンのオーパーツ」というタイトルで、確かmixi日記で書いていた。

 このタイトルの上手さに感服した。「オーパーツ」、アウト・オブ・プレイス・アーティファクツ、場違いの工芸品。意味は分からなくても聞いた人は多い言葉だと思う。

 この場合タイトルの一つ目の意味は、「バラージの青い石」には太古の昔にもウルトラマンに似た存在が地球に来ていた事を示す石像が出てくる所。もう一つ、有名なオーパーツ「パレンケの宇宙飛行士のレリーフ」が出てくる所。さらにもう一つ、この本来パカル王の石棺の蓋に描かれていたものが「宇宙飛行士」とする記事が日本で出る前に、「ウルトラマン」が放送されていた所である。

 こういう「太古に宇宙人が地球を訪問していた」というのはエーリッヒ・フォン・デニケンの本で日本でブームになり「タンサー5」とか「大空魔竜ガイキング」(宇宙にムー大陸に飛んでいる話がある)とかにデニケン要素があった。「プリンプリン物語」でも太古の黄金のロケットが出てくるなどした。
 デニケンの話から宇宙人要素を取り除くとグラハム・ハンコックになったりして、時々思い出される。

 さて、この「デニケン症候群」を患うとどうなるのか?

 1980年代、自分もこの考えにハマっていた。きっかけはテレビで「日本のピラミッド」とか放送していて、学校図書館で「愛鷹の巨石文化」という本も読んで、その関連から「ムー別冊」などを通して行きついたのだ。いわば「ムー」系と言っていい。

 その頃、静岡県の今の清水区三保に行った時に御穂神社の参道が、海に向かってのびているのを「発見」してしまった。これは降臨した神の通り道だという。そしてその参道が尽きる所には「羽車神社」という石の祠があった。

 資料館のような所にいた人に、清水区(当時は清水市)の図書館にある「駿河史料」という本を教えてもらい、「羽車」は御穂神社の神輿の事で大己貴命の乗り物であるとわかった。羽車神社沖には岩礁があって、本来はこれがヨリシロのような役目をしていたが、波間に消えてしまった為に、代わりに松をヨリシロとしたような事も書いてあった。

 ここで自分の「デニケン脳」が発動した。「羽車」は過去にここに降りた宇宙人の乗り物であるのだと。それを象って神輿にしたのだと。そして、今も行われる筒粥神事は、南方のカーゴ信仰のごとく神の再びの降臨を願うものだと。神の通り道はいわば「滑走路」であると。

 そういえばデニケンの本に出てきた変形ヘリコプターは、なんとなく神輿にも似ていた。

 でも後で知ったが、御穂神社へは半島の道を歩くより、浜辺に向かって舟で行った方が早いから、参道が海に向かってのびていても、何も不思議は無いのであった。

 一歩間違えたら、自分も「ムー」のライターになっていたかもしれないというお話だった。

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