鉄道趣味の閉鎖性について

(拙ブログ「俗世界の車窓から」より一部加筆)

 例えば飛行機雑誌でファントムやトムキャット、イーグル、ホーネット、あるいはジャンボジェットの特集を毎回次々やっても文句は来ないだろう。クルマの雑誌でフォードGT40や427コブラの特集をやっても同様だろう。

 ただ、鉄道雑誌に関しては「アメリカネタ」、もっと言うなら「海外ネタ」を快く思っていない勢力が間違いなく存在する。実際感じるし、Wikipediaの鉄道雑誌の項目を見ていてその思いを強くした。
 だいたい国内ネタなんか、ファン、ジャーナル、ピクトリアル、レイルマガジン、RMライブラリー、そしてネットの情報で充分だろうに。何が足りないというのだ。

 もっともアメリカでも海外ネタが人気ないというのは聞いているので、日本だけの問題ではないかもしれない。

 鉄道に関しては、どうも「地域愛」みたいなのがまずある人が多いようなのだが、「自分が知らない鉄道」を知りたい自分には邪魔なだけだ。

 確かにまず自分の知っている鉄道からこの趣味に入るのは確かかもしれない。ただ、自分が鉄道雑誌を買ったのはブルートレイン、つまり「今まで知っていた鉄道とは違う知らない部分」がきっかけなのは間違いない。
 そこからさらに、工場の中だけで走っている鉄道とか(製材所で、地元の自動車屋に作ってもらった機関車を使った話もある)、昔あった鉄道とかに興味の対象を伸ばしたからこそ、飽きずに続いている。通勤電車だけじゃ一年くらいで飽きるだろう。

 そして海外の鉄道にも興味を持っているのだが、以前、いのうえこーいちさんが書いていたように、日本的な部分に引かれていたりする。
 それは例えば、日本の電気機関車や電車はアメリカに多くを学んでいて、GE、アルコ、ボールドウィン、ブリルなどアメリカのメーカーの車体や部品を使った車両が結構あり、結果的にアメリカの古い車両の写真に「日本的」を感じたりするのだ。

 これは戦後になってからも、向こうのバッド社のステンレスカーと日本の東急車両の製造した車両が似ているというのもある。
 蒸気機関車になるとさらに輸入が多かったので、ヨーロッパ型についてもそれを感じる。

 また、日本の鉄道産業の発達で、海外に輸出した例も結構ある。「国鉄そっくり」、「小田急そっくり」、でもちょっと違うというのが興味深い。
 日本からの中古車が海外に渡った例もある。

 台湾の駅に(昔、日本領だった為に)日本風な物があるが、大陸にも南満州鉄道時代の車両が残っていて、日本的な部品を感じたりする。

 もっとも実際にはなかなか現地には行けないのだが。
 しかし、「乗り鉄」「撮り鉄」という言葉に代表されるように自分が実物を見なければ済まないという在り方も、どうかと思う事があるのだ。

 以前、レイルマガジンの名取さんが、北ドイツの島に渡る軌道の話を書いていて、漁船みたいなトロッコで島の民宿の人が走らせたりしているという事だけど、これなんか日本にあったらどんな感じになるだろうと、時々妄想している。

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