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隠しきれない秘密兵器!!Soundtheory Gullfoss

今回は巷でもチートなEQとして話題のSoundtheory Gullfossをご紹介。僕も導入以来お世話になりっぱなしです(笑)。Gullfossを一言で表すと、インテリジェントなオートEQですね。つまり、自動でイイ感じにしてくれるEQ!けど、誤解のないように言っておくと、自動と言ってもどう補正するかの設定は自分でしなければならないので仕上がりの良し悪しの判断も自分でしなくてはいけません。GullfossはAIを使ったオートEQではなく、人間の知覚アルゴリズムをモデル化したEQとのことです。要するに、人間が良い音だと感じるように絶えず動作し続けるEQということですね。ちなみに「Gullfoss」は本国アイルランド語読みで「グトルフォス」、英語圏では「ガルフォス」と読みます。

さて、どういうときに使うかと言うと、ありとあらゆる用途に使えます(笑)。声や楽器単体にも使えるし、ミックスの最終段階やマスタリングなどにも使えるでしょう。僕がよく使うのは、レコーディングしたピアノの補正や、おまかせMAで入稿されたナレーションやダイアログの補正が一番多いですね。つまり、そのままではちょっと問題あるなと思う素材をベストな状態にしたいときに一番活躍してくれます。

では、主要なパラメーターの解説しましょう。Gullfossの画面上部には「RECOVER / TAME」「BIAS / BRIGHTNEN」「BOOST」というパラメーターがあり、これらで補正の方向性を決めていきます。

RECOVERは、その音に足りてないと思われる要素を足してやるパラメーター。試しにNEUMANN U87で録った女性ナレーションにRECOVER 100%を適用するとこんな感じ。(実際に使うときは100%までいくことはほとんどありません)

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かなり極端な例ですね(苦笑)。200Hz以下の低域と、15kHzあたりの超高域がグッと持ち上がってます。もちろん、元のソースによってこの具合は違うし、音の変化に合わせて絶えず動き回るんですが、どんなソースでも大体こんな感じで低域と高域がブーストされます。つまり、中域に音が集まったような音に対して、太さと明るさを足してやる感じですね。

お次はTAME。これは、その音にとって過多な部分を減らすパラメーター。同じく女性ナレーションに100%で適用したものが下の図。

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これも極端な例ですが、中低域を削って中域〜高域をまとめて持ち上げてます。中低域は一番音が渋滞しやすい周波数帯。そこを削ってスッキリさせるとともに、明瞭度を上げてくれる感じの働きをします。

BIASRECOVERとTAMEのバランスを調整するもの。プラス方向でRECOVER寄り、マイナス方向でTAME寄りになります。BRIGHTENはその名の通り明るさを調整するものです。RECOVERかTAME、またはその両方を上げてないと変化しません。最後のBOOSTは、低域を上げつつ中域〜高域を削り、超高域を少し上げるような効果があります。女性ナレーションを30dBブーストするとこんな感じ。

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BRIGHTENとBOOSTはマイナス方向にも設定できるので、その場合は当然逆の動きになりますね。ちなみに、RECOVERを使うと超高域や低域が持ち上がりすぎてイヤな場合があるのですが、そういうときはグラフの両サイドにある赤いラインを動かすと、その周波数より上、または下にはEQがかからないようにできます。

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さて、最後に僕なりの使い方をご紹介しておきましょう♪ まず最初に触るのはズバリTAMEです!やはり素材を並べた時に一番多いのが中低域がモコモコして明瞭度が低い音なんですね。そこそこちゃんと録られた素材なら、TAMEを30~40%にするくらいでほぼ解決します。そこにちょっと太さを足したいなと思ったらBOOSTを適当に上げてやります。大体はここまで使える音になってくれるんですが、それでもしっくり来ない場合はRECOVERとTAME、そしてBIASでバランスをとって、BRIGHTENで中域〜高域を調整する感じですね。前述の通り、素材がある程度まともに録られてれば、ほんの少しの補正で済みます。

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上の図は実際にAston MicrophonesのSpiritでピアノ録音した音にGullfossをかけたときの設定です。

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この程度の設定でも中低域がスッキリしつつ明瞭度が上がり、ぼんやりと散漫だったステレオイメージも定位感のしっかりした音になります!音域によって現れる嫌なピークもほとんど補正してくれますね。ピアノは普通のEQでピークを探してガッツリ削ると、それによって他のピークが目立つようになり、またそれを削って……ということを繰り返して魔のスパイラルに陥り、結局、色気もクソもないスッカスカな音になってしまうということがあるので(←自分が悪いw)、そういう無駄な時間を回避できるのは大変ありがたいですね!

というワケで、Gullfossの魅力がお分かりいただけたでしょうか?とても優秀なEQですが、CPU負荷がそこそこ高い点と、かけすぎると当然ながら良い音からかけ離れていくのでご注意を!音色的な着地点をしっかりとイメージして使うことがコツだと思います♪

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