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ネパール山行記録 vol.3

3日目。

約束の朝4時に目覚ましが鳴る

昨夜はなんだかなかなか寝付けず 雨の音やロバの鈴の音を聞きながら、雲がかかっていた山の天気を祈った

深い眠りにつけないまま目を覚ます

ぼーっとしたまま、まだ真っ暗な外に出る


・・・・・!

明るい月に照らされ、稜線がくっきり

雲ひとつない 息を呑むほど美しい白い山が 目の前にでかでかとあった

これ以上撮影できないのが残念

怖いくらいに美しかった

月も、濃いまんまるの月がくっきりあって

もう、すでに神様ありがとうという気持ちだった。

山の神様 ありがとう。

今から2時間。泊まった山小屋に荷物を預けて、
マルディヒマールベースキャンプを目指して歩く

月の明かりに照らされて 足元だけヘッドライトをほのかにつける

ベースキャンプを目指す人が何人かいて 暗闇の中、ナマステ〜と挨拶をする

右も左もまるで宇宙にいるかのように美しく 
白い山と明るい月と 少しずつ明るく染まる空の色に見惚れそうになるけれど 
足元を見ないと石や動物のフンがコロコロ転がっている。

稜線の形がくっきり見えてきた
少しずつ空が明るく
染まってくる
明るくなってきた

ガイドのブバンさんが 途中分かれ道があり、呼ばれた方に行った。

他の登山者はみんな逆に行く

なんだかとても急な 突然の険しい岩を登るような道
暗闇の中ヘッドライトで足元を見て、必死に付いていく私

もう、景色を見る余裕はない

ブバンさんは犬が好きだ。
いつも、犬の為にビスケットを買って山で出会ったらあげているそうだ。

ブバンさんは毎回たっぷりビスケットをザックに詰める

犬もわかるのか、急登を登ってきて ブバンさんが2ガイド、と笑って犬と自分を指差した。

なかなかの急登を登り切ると、稜線に出て一気に開けた

またまた、ため息が漏れるほどの感動

目の前に現れたアンナプルナサウス
まだ月が輝いている
一番高い山がマチャプチャレ
魚の尾に見えることから、フィッシュテイルと呼ばれているそう

月と朝焼けが混ざり合って 眼下に雲が見え あまりに近い雪山が少しずつ明るく照らされる 

しばらく座って見る私たちの横で 犬も大人しく座ってた

ガイドしてくれた犬も座っている
眼下に山小屋が見える
ずっと月を見ていたい
明るくなってきた
あまりに美しい
すごいところに来てしまった
雲が近い
早く行くよ〜とブバンさん
もうちょっとここにいたいよね。
(まだ座ってる犬)
稜線は細い道なのに 何度も振り返ってしまう
まだ月はいる
何度も振り返らないと すぐに景色は変わるから
二度と見れないこの一瞬

ブバンさんに、みんな違う道から行ったよ、と言ったら もう一つの道はeasyだけど遠いから、朝日に間に合うようにこっちから来たと教えてくれた。

その後登り進めると 少しずつ雪が増えてきて、宿で借りた軽アイゼンをつけた

今回 長期の旅だったので、私はトレッキングシューズではない
旅の靴はメレルのジャングルモック
また振り返る
どの瞬間も美しい
月が濃い

人も増えてきた。

標高も少しずつ高くなり、ゆっくりゆっくり足を進める。
ナマステと挨拶するのにも お互い少し 息切れがする

いよいよ明るくなってきた
山も照らされてきた
あっ 動物の足跡
はぁ…  美しい。
山が近い
石段を登る

太陽が顔を出した。真っ白な雪が一気に輝く

おはよう!太陽
タルチョが似合う
雪が輝く
山小屋があんなに遠くに
歩いてきたなぁ。
またまた、動物の足跡が

ありがたいくらいに、天気がいい。

一歩ずつ 一歩ずつ 登る

あと少しで、4500m

雪山と馴染むような色だった空が 段々と青く染まってきた

すっかり足元は雪
あと少しだ。
360度ずっと美しい
青空に 白い山が映える
一歩ずつ
なんでこんなに美しいのか

時刻は6時半。 

着いた。

見たかった景色が目の前に現れた。

着いたー!
マルディヒマールB.C.

大勢の人がいる   

ティーハウスと書かれた小屋もある

ティーハウスと書かれた小屋がいくつかあった

ブバンさんと、賑やかな場所から少し離れて、もう少し稜線を歩くことにした

人ひとりしか歩けないような稜線で、一休み

まだ少し歩くことにした
こんな標高の高いところにも犬はいる
先を行くブバンさん
ここで休憩
ここは他に誰もいない
歩いてきた道を振り返る
横を向くと この景色
目の前の景色
反対側には連なる山々

もう、ありがとうって言葉しか出なかった。
手を合わせて しばらく 今を味わった

ブバンさんがキットカットをくれた。
山で食べるキットカットは格別だ

こちらのキットカットは 日本のキットカットよりチョコの味が薄く少しパサっとする
でも これ以上に贅沢なキットカットはない

本当はここでコーヒーを淹れたかったけど 持ってきたシングルバーナーと海外のガス缶の規格が合わず、お湯が沸かせずコーヒーが淹れられなかった。

次回、リベンジだ。

帰り道、ティーハウスと書かれていた小屋が気になって、ブバンさんに聞いてみた。

こんな、山のてっぺんでティーハウス??

ブバンさんがお茶を飲もう、と中に入ると 薪を燃やしてチャイを作っている女性が。

山の上のティーハウスに立ち寄った
チャイを作る笑顔の素敵な女性

女性はヒンディー語しか話せないので、ブバンさんにやり取りしてもらい、思わず色々質問してしまった

シーズン中はここで寝泊まりしながら営業しているという

奥に寝床のようなところがあった。

荷物はロバが運んでるのかな?
吹雪の日とかはどうするんだろう。寒くないのかな
聞きたいことは山ほどあるが できる英語も限られている。

そんな話をしていたら、頼んだチャイが出来上がった

ここで座って チャイを作ってくれてるんだなぁ
なんて味のある鍋。
カップにたっぷり
飲む前から、満たされる

はぁ...美味しすぎる。

山の上って特別だ。 そしてこの店の雰囲気と彼女の笑顔や生き方が なんだか魅了された。

私の感動が伝わったのか 彼女が何か言っていて、ブバンさんが翻訳してくれた。

この店で助手をして一緒に寝泊まりして働かない?って言ってるよ!って伝えてくれた。

それはまた、大きく人生が変わりそうな話だ(笑)

チャーミングな彼女と別れ 外に出たら天気は一変 
霧で真っ白。

素敵です。とても。
外はいつの間にか真っ白だ
かわいい人。
いつか、また。

振り返ると霧に隠れそうなティーハウスを見ながら、幻のような時間だったけど たしかに彼女はあそこでチャイを淹れてくれたんだ。

まだ口に残るスパイスと甘さの余韻に浸りながら やっぱりお茶の時間は特別だなと
珈琲に想いを寄せた。

ティーハウスが霧に包まれそう

また、犬が2匹いた。
1匹はベンチで寝てた。寒くないのかな。

えっ こんなところで(!)
寝てるの??

私たちが下ろうとしたら、犬もじゃれながら下りてくる。時々ふざけて滑って 面白い。

着いた時、あんなに晴れてた一面は霧に覆われ 少し先も見えないくらいに真っ白

しばらくして、犬たちはそこにいることにしたのか 下りてこなくなった。
顔だけ見える。かわいいなぁ。ありがとう 山の犬。

一緒に下りてきた
振り返ると また青空
バイバイ。ありがとう。
前を見ると 真っ白
なかなかの道を下る
こんなところにも花は咲いている
今日はトライアスロンの大会らしく、
その準備をしている人たち
ブバンさんが雪に何か書いて待ってくれていた
私の名前だ(涙)
雪が少なくなってきた
石段がどこまでも続く

だいぶ降りてきたところで、朝の分かれ道を発見。

朝は暗くて見えなかったが、2つの矢印にeasyとdangerと書かれていた。

ブバンさんがdangerと指差して笑う。

そりゃ、なかなかに急だった訳だ。

朝は暗くて見えなかったよ!
めっちゃdangerって書いてある
だって矢印上向だもん。(笑)
昨夜泊まった山小屋が見えてきた
もう、山は半分雲に隠れてしまった
泊まった山小屋
預けていた荷物を受け取る
山は一体どこへやら
山の人は すごい。
このバランスで下りるなんて、山の人はほんとにすごい。

しばらくして、少しだけ痛んでた右膝の異変に気付く

結構、痛い。曲げられない。

階段を横向きに一段ずつ降りないと降りられなくなってしまった。

足を引きずる私を見て、ブバンさんが痛み止めのスプレーとバンドを巻いてくれた。

そして、ヒルに悪い血を吸わせるといい と言う。
絶対に嫌だと笑う私に、ヒルはmountain giftだ、となかなかの本気モードのブバンさん(笑)

私のザックを持つと言ってくれ、それは申し訳ないのと右膝以外は全て元気だったので遠慮したけれど、mountain manと自分のことを指差して、半ば強引に持ってくれた。

甘えよう。優しいなぁ。

荷物を背負ってくれたブバンさん

そして結局、横歩きでゆっくり下ることに。

ブバンさんも、slowly slowlyと言ってくれ、道ゆく人もare you ok? と気にかけてくれたり、slowlyとかbe careful など言葉をくれる。みんな、優しい。
中には飴をくれた人もいた。

普段飴は食べないけれど 山で食べる飴はいつも特別
大きい荷物を背負う人たちが追い越していく
山の人はすごい。
あっ 鮮やかな花!
カランカランと霧の中音がしていた
よくよく見ると バッファローがいた
こんな近くにも
かっこいい。
踏まないように気をつけないと
白い馬もいた!
花ってなんでこんなに可愛いんだろう

日本人には出会わず、ネパールの人と欧米人が多い。

昼食の時、タイのチェンマイから来られていた皆さんに会って、チェンマイと聞くと嬉しくなり 少し、話をした。

皆さんは1ヶ月以上、ネパールでいくつかのエリアをトレッキングしているそう。すっかり顔は日焼けをしていた。
すごい体力だなぁ。

食堂では何やら盛り上がっていて、
聞けば今日はトライアスロンの大会の日だから、朝から水泳と自転車の競技を行った人たちが、そのままこの山を走るらしい。
もうすぐこの山小屋の前を先頭の人が走りそうだという

世の中すごい人がいっぱいいるなぁと 右膝の痛みを感じながら宇宙人の話を聞いているようだった(笑)

お昼ご飯のスパゲッティ
焼きそばよりだったけど 美味しかった
先月は花が咲き乱れていたらしい
霧の中の花も好きだな。
花の絨毯も 何度見ても綺麗
花の写真ばかり撮ってしまう
黄色い花
こちらも可愛い
あれ 私の珈琲屋のロゴみたい
石造りの山小屋が素敵。
色使いや細部が可愛い
あぁ素敵!この遊び心。

再び出発。

ブバンさんは、前後にザックを背負い、いつの間にか捨ててあった米袋を拾い、
私より早く行っては山に落ちてる空き缶を拾い集めて、私にくれる石を探してくれて タバコを吸ってはむせている。 
口笛を吹いて どこにいるか知らせてくれる。

待たせて謝る私に、don't say sorry,  slowly slowly,  no problem と言ってくれる。

米袋を拾って空き缶を拾うブバンさん
空き缶を拾って
私を待ってる間に潰してコンパクトに。
正真正銘の mountain man
石が好きだという私に sorryと山に言いながら
山の石を探してくれる
森が深くなってきた
ふと 昨年登った光岳の深い森を思い出した
次は感動を分かち合える人と またアンナプルナに来てみたい。
気配を感じる
やっぱり いた
少し先に行ってはタバコを吸って
 待っててくれるブバンさん
なのに花の写真を撮る私
あっ タルチョ
おっ 山小屋が見え始めた
畑が見えた
雨が降ってきたので 休憩しようと食堂へ
またビスケットをあげるブバンさん
一気に食べる犬
晴れてきた
再び 出発
わぁ!すごい棚田!
道も見える。山小屋に近付いてきた。
階段を作ってくれてる人がいる!
全て手作業(!)
ここで寝泊まりして作業しているとのこと。
水道のホースは道中ずっとあった
また工事をしている
こうやって手作業で全て作ってくれている人がいるんだ
足元につるはしが落ちていた
見上げると歌いながら作業をする若者たち
この階段も彼らが作ってくれたんだろうな
横歩きで一歩ずつ下りる
山小屋が近くなってきた
今夜のホテルは立派だなぁ。
車がある!
ここまではjeepで来れるらしい
ブバンさんが 野苺を採ってくれていた


今日も6時間歩き 最後の山小屋泊

この山行はブバンさんなしでは行けなかっただろう。

ブバンさんのおかげで、標高4500mの世界を見れた。
ありがとう ブバンさん。

夜ごはんのダルバートを食べ終わると、ブバンさんに呼ばれ 行ってみたデッキの端からは満月が。 

夜ごはんのダルバート
遠くに町の灯りがぽつぽつ見える
今夜もずっと見ていたいような月
今夜が満月

遠くには町の灯りが見え ロバの鈴の音も遠くから聞こえる。

振り返ると、15時間に渡る交通渋滞のバス移動から始まったけど、
雨に、虹に、晴天に霧
山頂は青空で 気にしてもなかったけれど、毎日月がくっきり明るく 最後の夜が満月だった。

これ以上にない、山行だった。

ガイドのブバンさんも 出会った人も、犬も 記憶に残るだろう。
もちろん、山の上のティーハウスも。

全てにありがとう。

それしか言えない ネパール、3泊4日。
マルディヒマールトレッキングでした。

明日は、最終日。

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