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Web制作業界は、まともなHTML/CSSを書けないコーダーで溢れかえっている?!

本記事では僕がWeb制作業界でコーダー兼エンジニアとして働いた経験から、Webサイト制作業界におけるHTMLコーダーの技術力について思うことを書いていきます。

また、HTMLコーダーとして技術力を高めるために僕が必須だと考えることも述べていきます。

HTMLコーダーとはHTMLとCSSという言語を使って、Webサイトの見た目を作る作業(コーディング)をする人たちのことです。単にコーダーと呼んだり、Webコーダーやマークアップエンジニアと呼ばれることもあります。

HTMLコーダーという仕事そのものの将来性については本記事の本筋とは外れるのでとくに言及していません。

また、所々毒を含んだ表現・内容になっていることをご了承ください。

業務歴半年のひよっこコーダー vs 業務歴10年以上のベテランコーダーたち

僕が正社員としてWeb制作会社に入社したとき、僕のHTMLコーダーとしての実務経験は半年程度でした。それまでは外注とアルバイトのダブルワークでコーディングの仕事をしていました。

入社したWeb制作会社は、多くのサイト制作の実績がある会社でした。
しかし、まもなく気づいたのは、社内や外注のベテランHTMLコーダーさんたちのコーディング技術が実務半年のひよっこの僕よりも低いという衝撃の事実でした。
業界歴10年以上の人たちでも、新人の僕よりも下手な人たちばかりだったのです。
(ディレクターもそのことに間もなく気付いて重要な仕事は僕に優先的に回すようになっていました。)

まともなHTMLコーダーの希少性

そこからさらに働き続けてわかってきたのは、僕の周辺だけでなくWEB制作業界のHTMLコーダーの平均的な技術レベルは決して高くないということでした。
大半はパッと見は問題ないものの中身の品質に問題があるコードを書くコーダーたちで、保守性や拡張性の高い高品質なHTML/CSSをかけるコーダーが圧倒的に不足しているということです。

逆に、もししっかりと設計された高品質なコードをかけるコーダーであれば、コーダーとして仕事に困ることはありません。顧客のためにできるだけしっかりしたサイトを作りたいと考えているWeb制作会社はそのような人材を喉から手が出るほど欲しがっているからです。
(実際僕は外注として働いていた会社から何度か社員にならないかと誘いを受けました。条件が合わずに断りましたが…。)

でも見た目さえできてればWEBサイトのコーディングはオーケーなんじゃないの?

残念ながらそう考えているWeb制作会社やWebディレクターが存在するのは事実です。だからクソコーダーでも納期が守れさえすればなんらかの仕事にありつくことは可能なのです。また、使い捨てのランディングページ制作であれば、このような考え方でも問題ないかもしれません。

しかし、まともなWeb制作者であれば、上記の問いに対してはNOと答えるはずです。
なぜならWebサイトは作って終わりというものではなく、継続的に運用していくものだからです。
実際Webサイトが一度完成したらその後に全く手を加えないなんてことは稀で、普通はあとからコンテンツを追加したり部分的に変更を加えたりする機会が発生します。
その時もとのコードがクソだと後に改修作業をするコーダーが地獄を見ることになり、その分作業のコストが余分にかかります。
実際僕はクソコードの修正に多くの時間をとられました。
頑張って修正するよりも書き直したほうが効率が良いような場面も多く、そのような時は既存のひどいコードをドバっと消して書き直すこともありました。

技術は年数を重ねるだけでは決して上達しない

今まで述べたことから示唆されるのは、技術は年数を重ねれば自然に向上するものでは決してないということです。
意識的な学習によって理論や原則などを学び、新たな知識を取り入れて実践することによって向上するものなのです。

コーダーが技術向上のために絶対にやるべきこと

では、コーダーは技術力を向上させるために何を意識的に学ぶ必要があるのでしょうか。
結論を言うと、「CSS設計」を学ぶべきです。
CSS設計のスキルの有無が、上手いコーダーと下手なコーダーを分ける重要なポイントになっていると僕は考えます。
経験が少なくてもCSS設計が身につけば良いコーダーになれますし、いくら経験を積んでもCSS設計が分かってないコーダーはずっと下手なままです。

CSS設計について

CSS設計は堅牢で保守性・拡張性が高いHTML/CSSを書くための方法論や手法のことです。

CSS設計の技術は仕事の場数を踏んだら自然に身につくものではありません。しっかりと書籍などで意識的に学んで理解し、その上で実際に使いながら身につける必要があります。
CSS設計は「CSS設計完全ガイド」や「Web制作者のためのCSS設計の教科書」などといった書籍で学ぶことができます。とくに「CSS設計完全ガイド」は実例が豊富で非常にわかりやすいのでおすすめです。

CSS設計には様々な設計方法が存在していますが、その中でも「BEM(ベム)」という設計手法が最も普及していて、なおかつ汎用性が非常に高いのでおすすめです。(書籍「CSS完全ガイド」でもBEMについては詳細に説明がされています。

僕の今までの経験上、上手いコーダーは皆CSS設計を理解して実際に使っており、逆に酷いコードを書くコーダーは皆、「CSS設計」の原則を知らない、もしくは多少知っていてもちゃんと理解して使うというところまで至っていないという共通点があります。

すべてのHTMLコーダーはCSS設計を習得すべき

コーダーだけではなく、本業がサーバーサイドエンジニアやデザイナーである人もHTMLを書くことがしばしばありますが、彼らは必ずしもCSS設計を使いこなせなくても良いと思います。(もちろん、使えればそれが一番良いですが。)
しかし、HTML/CSSが専門分野であり、それで飯を食っているHTMLコーダーがCSS設計を使えないとなると話は別です。
繰り返しになりますが、Webコーダーを名乗る人は、必ずCSS設計の技術を習得すべきです。
そうでなければその人のプロとしての存在価値は無に等しいです。なぜならその人の仕事はHTMLを書ける他の職種の人(サーバーサイドエンジニアやWebデザイナー)で簡単に代替できてしまうからです。
CSS設計によって裏付けられた、保守性や拡張性が高く堅牢なコードが書けてはじめてコーディングのスペシャリストとしての優位性が生まれるのです。

初心者であってもCSS設計を身につければベテランコーダーを簡単に抜かすことができる

以上を踏まえると、初心者や新人のコーダーやWebデザイナーでも、CSS設計を勉強して実践すれば、あっというまに多くのベテランコーダー達を圧倒できるスキルレベルになれると言うことができます。(これは業界にとってはある意味ではとても残念な状態ですが。)つまり、Webコーダーは未経験者、初心者でも十分に勝負できるチャンスがある分野だということです。

筆者のその後

このような状況だったので案の定、僕はHTMLコーディングにはすぐに飽きてしまいました。
それでも会社のコーディングガイドラインを作成して指導するなど一応状況の改善のために自分のできることはやりました。
コーディングよりも以前からプログラミングの方に面白さを感じるようになっていたため、プログラミングや開発系の仕事の比率を徐々に増やしていき、後にWeb開発会社に転職することになります。

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