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映画『PERFECT DAYS』を観てきました。

映画『PERFECT DAYS』を観てきました。


今年初めて観た映画がこの映画で、なんて最高な”PERFECT YEAR”なんだろうと喜びをかみしめています。

以下、感想「てんこもり」に書きます。
事前情報なしで映画体験したい方は読まないでください!

滝田さん:
小津安二郎を敬愛するドイツ人ヴィム・ウェンダースが監督し、役所広司が主役の平山という東京都のトイレ清掃員を演じ、田中民がホームレスのダンサー役で出ているものです。ヴェンダース監督はフィクションの映画を撮る時も、現場の撮影はほとんどがワンテイクのドキュメンタリー形式で、その場生まれるものを映像にしていく手法をとっています。
「こもれび」を映像的に描くという裏テーマもあり、こころに染み渡るような映画でした。〜〜この映画は毎回ほぼ満席で、見て感動した人たちの日常はきっと変わっていくのだろうな、多分、いい方向へ、などど感じています。

まみーた:
気功を学んだことがあるのですが、気功にも通うじる感覚というか、内側に流れるものと、外で表現されるものの一致感がある。同じようなことを映画『ドライブ・マイ・カー』でも感じましたが、ヴェンダースの作品の方が、一致感がより感じられた気がします。

大好きなお二人の感想を事前に聞いていて、「みなきゃ。」と思っていたのですが、「今だ。」と思い立ったのが、目覚めたての8:50でした。
寝転びながら、最寄りの映画館(車で40分ほど)の上映スケジュールを調べると、10:20〜の回が一回のみとのこと。
光の速さの情報入力で「ログインせずに予約」を済ませ、腹筋を最大限につかってベッドから飛び起き、全速力でシャワーを浴びたにもかかわらず、昨日の残りの野菜たっぷりスープとレーズンパンとヨーグルトの朝食はしっかりと味わい、食後の熱いコーヒーまで煎れて「ふぅー」といいながら、スマホの画面をみると、9:40。「出なきゃ。」
愛車をかっ飛ばし、なんとか5分巻いて、巨大迷路みたいな駐車場で迷わず車を停めることに成功し、沖縄では誰一人歩いたりしてないエスカレーターを光の速さで駆け上り、チケット購入者の長蛇の列を横目にQRコードチケット画面を開き、上映時間ぴったりの10:20にシアター9の最後列の左から3番目に着席しました。

「他の鯨たちには聞こえない周波数で泣く鯨がいる。52ヘルツの鯨。その鯨たちは『世界でもっとも孤独なクジラ』といわれている」
予告宣伝された映画の内、その映画がとくに興味を惹きました。
2024年3月1日に公開予定とのこと。監督は成島出さん、主演は杉咲花さん。

そうして、いよいよ『PERFECT DAYS』の上映がはじまりました。
これまで観た映画の中で一番セリフが少ない映画なんじゃないかと思います。特に、主人公のセリフ。
役所広司演じる平山さんは無口で、表情がものすごく豊かで、仕事はめちゃくちゃ丁寧で、音楽の趣味が良い。
自分のことを多く語らないかわりに、周りをよくみている。世界をよく観察している。周囲に広がる空間・スペースを感じている。
それは「自分の身に次に何が起こるだろうか?」という防衛反応からは程遠く、「今日の世界はどんな風景だろう?」という純粋な好奇心の眼差しのように感じました。

彼は無口だけど、喜んでいるのか、戸惑っているのか、悲しんでいるのか、表情でわかる。
何か問いかけられても、ちょっとの「間」と、表情と、動作と、「うん」とか「え」という発声や、首を縦や横に振ることで、応答する。
そこには、スペースが生まれて、問いかけた側にもそのスペースが与えられる。
シアター9内のあちこちに座って映画を鑑賞している、観客それぞれにもスペースが与えられる。
それぞれが自由にスペースを感じながら、そのスペースに自らを映しながら、共に一つの場(作品)を共有している。

あの時間に、シアター9内に居合わせた人たちが、それぞれのタイミングで呼吸したりため息をついたり、思わず声をあげて笑ったりすすり泣いたり。
上映開始前まではバラバラだったはずの人たちが、『PERFECT DAYS』という作品(場)に包まれて、いつのまにか、その場を、今日のこの時を、共に過ごす「共存在」になっていたように感じます(清水博『共存在の居場所:コロナによって生まれる世界』※電子書籍で無料で読めます)。

映画が終わって、シアター9を出た後も、共存在感覚は続きます。
映画館を出たら、まずトイレにいく。これは結構いつものこと。
でも『PERFECT DAYS』を観たあとだから、ぜんぜんいつも通りじゃない。
清掃員の方に感謝しながら、トイレをつかいました。
トイレを出ると、ちょうど清掃員の方がお見えになって、心で感謝を伝えました。

『PERFECT DAYS』が、今年一番最初に観た映画で、本当によかったです。
去年は、『君たちはどう生きるか』『怪物』『THE FIRST SLAM DUNK』『すずめの戸締り』など、私にとっての映画 of the Yearでしたが、『PERFECT DAYS』は結構最近の映画ランキング史上No.1になっちゃったかもしれません。私的に。

古本小説が読みたくなって、安いお酒が飲みたくなって、掃除がしたくなって、銭湯に行きたくなって、神仏に手を合わせたくなって、運転しながら80年代音楽を爆音で聴きたくなって、友だちの木を探したくなる。そんな映画でした。

You know how I feel.
I'm feelin' good.

「見て感動した人たちの日常はきっと変わっていくのだろうな、多分、いい方向へ、などと感じています」(滝田さん)

私も、そう思います。

このような素晴らしい作品が生み出されたことに感謝します。
ありがとうございます。

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