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320【ひとりぼっちのススメ】

子どもが休み時間にひとりで遊んでいると、ちょっと心配になります。「友達からいじめられているのではないか?」「人とうまくやれないのではないか?」など心配してしまうのが大人でしょう。みんなが一緒に遊んでいる状態がいいように思ってしまいますが、実際に子どもたちに聞いてみるとそういうわけでもないようです。

 「みんなで遊ぶと疲れる」「苦手な子がいて、いつも喧嘩になるから」「ひとりが好き」「絵をかきたい」「本を読みたい」など、ひとりひとりが人間関係や自分の意思を考えながら過ごしていることがよくわかります。合わない友達と無理に遊ぶこともないし、喧嘩中の友達と少し距離を置くのも、よく考えれば、当然のことと思います。それでも心配ですよね。ひとりに自分からなっているのであれば、様子を見てもいいと思いますが、状況によって自分の意思とは別にひとりきりになっているのであれば、大問題ですが。

 学校でみんなと一緒でなければならないという見えないプレッシャーを同調圧力といいます。過度にみんなとつながろうとして疲れたり、悩んだり、そういう子は多いです。ひとりで過ごす人は「ぼっち」などという言葉とともに、否定的なイメージで語られる風潮もあります。子どもたちは、無意識のうちに、「みんなで過ごさなければならない」「ひとりでいるなら読書をしなければならない」という心の中の他人の声に疲れ切ってしまっています。親や教師、友達からの評価や視線を気にして、心の中の他人の声に振り回されてしまっています。私たちが思っている以上に、影響を受けてしまっている場合が多いようです。一時的にでも、ひとりでいる時間を持つことで、子どもの中に子ども自身が何か気付くことがあるかもしれません。落ち着いているとき、そっと聞いてみて欲しいです。「どうしたいの?」「どうなりたいの?」子どもたちの自由意思を尊重し、心を開放する時間を積極的に持たせることは、心にも体にも重要です。ひとりの時間に何をするか、マイペースで、のんびりした時間を見守ってみましょう。


おすすめの絵本紹介

「かないくん(ほぼにちの絵本)」谷川俊太郎(著)、松本大洋(イラスト)

 ある日、ともだちのかないくんが学校を休んだ。かないくんは親友じゃない。ふつうのともだち。日常に訪れた、はじめての死。死ぬって、ただここにいなくなるだけのこと?

 年齢を問わず、時代を問わず、場所を問わず、長く読み続けられて欲しい一冊です。


「ドミトリーともきんす」高野文子

 不思議な学生寮「ともきんす」お二階には寮生さんが4人。朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹、テーマは科学者たちの言葉。架空の学生寮を舞台に、「科学する人たち」と一組の母娘の交流を通じて、丁寧に描いています。「道具を持ち替えることから始めた」と著者が語る通り、画面を行き交う線はさらなる進化を遂げ、フィクションとノンフィクションのあわいに、唯一無二の世界が生まれています。

 ひとりぼっちのとき、ぜひ読んで欲しいです。とても愉快な友達が君を待っています。

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