見出し画像

「詩」夕焼け

遥か遠く
暗い闇の中で
故郷はぼんやり祭りのように
あたたかい

思い出の中
薄明かりの下で
母が破れた服を繕っている

貧しかったはずなのに
貧しいと感じなかったのは
お金に代えられない
豊かなものがあったから
比べることの出来ない
豊かなものがあったから

人々の一日の疲れを労うように
日の沈んだ西の空には
夕焼けがひときわ明るさを増している

母は重い足を引き摺りながら
家路につく
疲れを笑顔で隠して
休む間もなくゆうげの支度に取り掛かる

愚痴ひとつ口にしないで
いつもと同じ事を
いつもと同じように
休む日もなく繰り返えした母

夕焼け空が
暗い闇に変わると
故郷を思い出す

ばんやり明るく
母のあたたかさを思い出す


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?