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コタン小路

私が学生の頃、ラジオでユトリロ展が開催されていることを知りました。池袋だったか、デパートでの開催でした。白の時代、見たいと思いました。
ユトリロの描く白は様々でした。ユトリロは私の好きな画家になりました。私はアルバイトで貯まったお金で一冊の画集を買いました。

大学卒業を前に私はヨーロッパに行きました。パリにも行ったのはユトリロの絵を見たかったからです。
私はフランス語は一言も話せません。ユトリロ、とい言葉だけで、オランジェリー美術館や市立近代美術館に行きましたが思うような絵には出会えませんでした。市立近代美術館にいたスタッフの方に身振り手振りで四苦八苦しながら訪ねると、ユトリロの絵はポンピドゥセンター美術館にあると教えていただきました。
やっとやっとたどり着いたポンピドゥセンター美術館。

そこで目にした一枚の絵。
画集の中にあったこの絵。何度も何度も画集で見た絵。
本物が今目の前にある。
やっと本物のあなたに会えた!
絵の具の盛り上がり、筆の勢い、本物から伝わってくる迫力に圧倒され、思わず泣きそうになりました。

「コタン小路」

今、上野の西洋美術館でポンピドゥセンター展が開催されています。どうしても行きたかった展覧会でした。

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