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37「詩」春のフーガ

凍りついた山の頂の
ずっと奥深く

かすかに
ほんの一滴
溶け出した水滴が
斜面を滑り落ちはじめ

滑り落ちる水滴は
春の陽射しを溜めはじめ
小さな水の流れになる

春の陽射しは水面に映りながら
正確な量になると正確に
季節を変えていく

季節を変えていく時期を
誰も変えることは
許されない

誰も変えられない
誰も触れられない
方則を守り続けて

悲しい心を抱えて
立ち止まったままの人たちにも

花をちゃんと
咲かせてくれる

(写真 O.Mikio)

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