見出し画像

【 電子ノキロク《日常編》】03「お仕事へご出勤」|守護電子ミーロ&お客様・ご家族・職場の皆様


■ 場所:お客様自宅の来客用駐車場
■ 時間:午後5時頃

守護電子ミーロ/担当のお客様〈 夜職接客:30代女性 〉

____

【 記録開始 】


ほんま何やねんアンタ!誰が稼いだお金で遊んでる思っとんねん!

お客様のご家族/旦那様「はいはいきましたまたそれや
あげる時には『気にせんでええから』言うといていざとなったらいっつもそれやなぁ?!」

アンタが『今回だけや』言うから信じて渡したったんやろ!
気ぃつこうたってんのくらいわかれやハゲ!


〈 スマホの音 〉


「 はい。」


お客様の就職先/チーフ『あれ、蔵式君?って事は…
…あーまたやってんねー』


「今回の文脈から分析すると、おそらくあと15分少々で奥様が旦那様を家から閉め出すカタチで終了すると思われますよ。」


チーフ『それじゃギリッギリ間に合わないんだよねー
今日もきっちり枠埋まってんだけど どうしたもんかなー…』


「では、奥様が個人的に予約を取りつけていたもの、
通称〈姫予約〉の日付を振り替える事で処理しましょう。
あとで、対象のお客様へLINNEするよう伝えておきますので。」


チーフ『いつも助かるよ~…あ、ちょっと待って?
そっちに車ついたっぽいからアッシーにも状況伝えてもらっていいかな?』

「アッシー、とは?」

チーフ『新人の芦屋っていうんだけど「送迎」から始めさせてるんだよ.
なんせうちは【 高級ソープランド『バブル♡人妻』 】
イコール「車係のアッシー君」ってなわけで☆』

「1階来客用駐車場に車種〈Molded-Venz〉の黒色を確認しました。
向かいますね。」

チーフ『あ、うん、よろしくね。』


***

「奥様がお世話になっております、蔵式です。」


アッシー「ちーっす、ってあれぇ?
旦那さん髪の毛ガチ滑りしちゃってる人って聞いてたんスけどぉ?」


「ええ、当方は旦那様ではなく《守護電子》ですので。」

アッシー「はあ…?
つかさっきパイセンから電話きたんすけど なんかややこい事なってんス?」

「いつもの事です。」

アッシー「いつもぉ?
なるっほどなー.
いやパイセンが言ってたんすけどぉ、この仕事 嬢は基本色々あるから気引き締めろってぇ.
つかこの姐さんの“いつも”って何なんス?
知らねーと色々ゴチャってオレのせいになるの嫌じゃないっスかぁ~」


「『旦那様の金銭の管理体制に問題がある』といった議題の討論です。
当方がここへ配属されてから、同じ内容の議論が通算5回行われていますので“ いつも ”と定義付けられるかと。
もっとも、今回は自身のタイムスケジュールを考えずに始めた奥様にも問題があるように感じますが…」


何よ アンタまでクソ旦那の肩持つ気?


「お疲れ様です。想定の5分早く切り上げましたね。」


当たり前でしょ、あたしを誰だと思ってんの!
プロよ!しかも店のNO1!
ほら、扉開けて


アッシー「あ、えっとぉ…? 」


「どうぞ。
容量が大きい方の荷物はトランクに入れてきますので。」


さっすが腹は立ってもあたしの守護電子くん♡
てかアンタ新人?
大丈夫なんでしょうね運転


「確認しましたがゴールド免許でしたよ。
個体名称は 芦屋 啓介 。
3次元における25歳、男性の人類です。」


アッシー「はへ?いつのまに!?」

「それに、身だしなみや口調は砕けていますが、仕事に関する情報はよく覚えている様子です。」


なにそれ、どういう事よ?

「要所見受けられましたよ。
例えば『旦那様は当方ではなく、毛髪の量が平均より少ない方であるため違うのではないか』、と。」


きゃっははははアンタ気に入ったわ!
じゃ、出して
思いっきり早く、けど安全に運転すんのよ


アッシー「え~無茶っスよぉ~!?」


〈 遠ざかる車の音 〉



「午後5時10分/定刻通りの出社。
帰宅は午後11時50分前後。
定義Aのルーティーンで過ごした場合入浴後すぐに就寝し、夕飯を接種しない。
となれば…」


旦那様「ったくふざけんじゃねーよクソ女!」


「旦那様。」


旦那様「うわぁっ ななななななんだよお前いつも気配ねえんだよっ
つかどこからきた!?」


「本日の帰宅は何時を予定していますか。」


旦那様「あ?喧嘩うってんのかこらぁ?
見てわかんだろ締め出されてんだよこっちはよぉ!」

「という事は、夕食は必要ありませんね。
今夜は急激に気温が下がるそうですよ。
タンクトップとトランクスだけの装備は認識が甘いかと。
そうですね。
金銭管理に関する失態は過ぎた事ですが、体調管理を徹底する事で挽回を図る事を提案します。」

旦那様「好きこのんでこんな格好してんじゃなくて、このまま蹴り出されたんだよ!
わかったらジャケット取ってこいやぁ!」

「承りかねます。
【守護電子派遣サービス「 デンクラ」】において、契約中のお客様に断りなく物品を持ちだすのは禁止されておりますので。
それでは。」


〈 ドアを閉める音 〉

旦那様「畜生がーーーーー!」



【 記録終了 】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?