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【IDと教員研修30】学ぶこと・教えることを分解する

先回は,完全習得学習について考えました.完全に習得することというより,完全に習得すべき内容とな何なのかを考えることの重要性について考える機会となりました.

ブルームはなぜ分類学を?

先回の記事で,ブルームといえば!ということで,学習目標の分類学について触れました.本稿では,この分類学について掘り下げて考えていきたいと思います.

1970年代初頭に公開された考え方ですが,この結果に至るまでには10年以上の年月が費やされています.

なぜ,分類学としてこのような理論を,長い年月をかけてまでつくりだしたのか.ぜひブルームの分類学を活用していくときには,その理論の背景とともに押さえておくとよさそうです.

その背景とは,「知識」から「理解」への,学習観の転換です.

今や,「丸暗記だけではダメ」ということは当たり前になって(?)きました.漢字ドリルや計算ドリルを繰り返して基礎的な力を付けていくことも大切だけれども,そのような知識を生かしていく場面を設定したり,仕組みを考えたりしていくことの重要性が指摘されています.

ブルームらが直面していた教育的な課題,それは,「知識」を学ぶ重要性は踏まえつつ,より高次な学習目標を考えていくための設計理念であったのかもしれません.

あたま・こころ・からだの3領域からなる枠組み

ブルームの分類学は,この3つから学習目標を階層的に分類しました.
・・・と,この3つ,見覚えがありますね.【IDと教員研修4】で取り上げた,ガニェの学習目標の5分類で出てきました.ぜひ,時代の関係を考えながら,つながりを想像してみると面白いかもしれません.

ブルームの分類学も,この3つからなります.
あたま=認知的領域
こころ=情意的領域
からだ=精神運動的領域
です.

あたまについては,6つのレベルからなります.
知識→理解→応用→分析→統合→評価 です.
こころについては,5つのレベルからなります.
受け入れ→反応→価値付け→組織化→個性化 です.
からだについても,5つのレベルからなります.
模倣→巧妙化→精密化→分節化→自然化 です.

階層的な分類は,使ってみようとしてこそ力を発揮する

さて,このいくつかのレベルをみて,何が「知識」的で,何が「理解」的な要素になるでしょうか.

学習目標を分類できるようになると何がよいのか?
これが,ブルームの分類学を教員研修に扱うヒントだと考えます.つまり,まさに言葉通り,「知識」として分類学を知っていても,実は何にも使えません.それを「理解」するための活用イメージが大切です.

教員研修で授業の学習課題づくりを行う時,あるいは学習評価を考えるとき,みなさんだったらこの分類学をどのように提示し,どのような活用を促しますか.

ある学習課題について,これがあたまなのか?こころなのか?からだなのか?を考えたり,そのレベルを考えるというトレーニングもできるでしょう.

ある分類の,あるレベルを指定して,そこに合う評価基準を作成するという活動も考えられます.

「分類学を知っている」から,「使える」にアップデート.まさに何を知っているかより,何ができるかへと転換することとつながる視点ですね.

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