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絹100%の一年中使えるショールを作ろうと思います

ツイッターの方ではちらっとお知らせしていたのですが、今度絹100%の夏でも使えるショールをオリジナルで作ろうと思います!

ムーンプランナーではこれまでも、何度かシルクに草木染めでオリジナルのキャミソールやタンクトップなどを作ってきました(エシカルファッションブランドのリブラさんにご協力を頂きました)。
去年は書籍販売記念で、シルクのはらまきも作ったのですが、これらがとにかく褒められます。手帳より褒められ率が高いのではないかというくらい褒められます。

「余計な金具や飾りがないのがよかった」
「絹がこんなに肌触りがよくて気持ちいいと思わなかった」

などなど、「でしょーー!?」って前のめりで言いたくなるくらい、褒められました。

そう、絹ってすごいいいのです。触り心地の良さは本当にストレスが溶けていくかのようです。そして軽いし、たたむと本当に小さくなるので旅行にもぴったり。いつもの収納にもかさばりません。
そしてお手入れが大変なのかもという思い込みもあったのですが、洗面器でちゃぱちゃぱっと手洗いして、脱水に1分くらいで湿った状態で吊るすだけでサーッと乾きます。下手に洗濯機の方が時間がかかるくらいなので、洗面器でちゃぱちゃぱ洗いおすすめです。楽ちん。

軽い、肌触りだけでストレスが溶ける、暑い時はサラッと、寒い時は暖かくしてくれて、エアリズム兼ヒートテックな機能で、しかも化繊のように肌がピリピリ乾燥しないでむしろ潤いを与えるという、ものすっごい機能的なのが、シルクです。
機能的すぎて、着ているもで低体温症を引き起こす汗冷えを防げるかどうかが命を左右する登山ウェアにも、シルクインナーはよくあります(あとウール100%も登山服に多いです。天然繊維ってすごく機能的なんです)。

ということで、満ち欠けのおすそわけシリーズから作り始めたシルクのシリーズですが、今回はちょっと特殊な、そして特別なショールです。

江渡時代よりずっと前から続く結城紬

結城紬(ゆうきつむぎ)ってご存知でしょうか。お着物に詳しい方はよく知っているかも。
茨城県の結城市周辺で生産されている絹織物です。糸を蚕の繭から手つむぎでとって、それを手織りで織り上げるという技術はユネスコ無形文化遺産にも登録されているそうです。

たまたま通りかかったブースでその結城紬に触れることがあり、見せてもらったのですが、大判ショールが1枚5~8万円くらいでしたでしょうか。
色味も、ぱっと見お地味です。
それが結城紬の特徴でもある、ということなのですが、素人目には「ぽそぽそした厚ぼったい地味な生地なのに、すごく高いなあ」という印象でした。

なにも知らない……

でもちょっと気になって、触らせてもらったのですが……
軽い!しっとりしている!でもサラッとして…ほっこりあたたかい。抱きしめられるようなふわっとしたあたたかさ。
思わず「やっぱり絹はいいですね」とつぶやいてしまいました。

とはいえ、結城紬は名前だけは知っているくらい有名ですし、そのブースは結城紬の中でも老舗中の老舗、社屋内に結城紬の資料館まであるという奥順さんです。
そりゃあ、お高い……それに、当店みたいな小さいお店用に作ってもらうなんてとても敷居が高くてダメだろうなって思っていたのですが。

いくつか見せて頂いたところ、手紡ぎで大判のものは当然値段がすごいのですが、織り方にもいくつか種類があり、またサイズを調整することで1点あたりの価格を抑えることも可能ということを教えてもらいました。

「で、でも、うちみたいな小さなお店にオリジナルで作っていただけるんですか?」
「機織り機が1台分で大体30枚のショールが作れるんです。なので、機織り機1台分をまとめてお買い上げ頂けるなら、お作りは可能です!!!」
「えっ、本当に?」
「はい大丈夫です!色も、織り方も、ご相談に乗れます。ただ、どうしても作るのに時間がかかるので、納期が60日はみておいて欲しいんです。それと1台分は全部お買取頂くことになります。色も何種類もあるんですけど、ただ、オーダーの色によっては職人さんがその染めはダメっていうものもあるかもしれない…」
「そ、そうですよね、そうですよね、でも染めのない絹をそのまま織ってもらうということはできるんですか?」
「と言いますと?」
「あの、白い、絹の素材の色そのままの…」
「できますよーー」

ほんとですかーーーーー!?

夏でも使える薄手で軽くて巻き心地のいいシルクのショール

伝統工芸品というとどうしても身構えてしまうところがあります。ちょっと怖いというか、どう扱っていいか分かりかねるというか。

ですが、素材だけでいうとシルク100%のショールです。
これが本当最高で、機能的で使いやすくて、シルクの高級感と伝統工芸の技術も一緒に手に入るというもの。
ミニマリスト的な、良いものをひとつだけもつというスタイルに人気も集まっていますが、それでいくなら私は今までカシミアのショールだったところをこのシルクのショールにしたいと思いました。

お値段も色々と相談して、薄手でサラッとした少し透け感のある織りで、通常販売されているものより少しだけ短く仕上げることでお値段をぐっと抑えることができそうです。送料も込みで、2万円は切りたい。ということで17000円くらいでお作りできそうなのです!超特価!!(でも素材や織りの質が変わることはないです)
ただし、織り機1台分なので、30枚限定です。
色も、染めのないシンプルな白になります。

しかし問題が。
特注品なので、出来上がるまで画像が無いのです…

色はこの画像のショールの白い部分です。織りもこれと同じです。
なので、全部白いショールを想像してみてください。透け感もご覧の通りで、非常に軽やかに巻いていただけます。

サンプルの既存商品よりも長さを少し短くしたのですが、それでも巻くのには十分ですし、ちゃんとドレープも落ち感もあります。
そして絹のサラッと感があって、夏場のクーラー冷え対策に一枚カバンに入れておきたい仕上がりになると思います。もちろん、冬場も大活躍。もこもこになるのが嫌だという人には本当に一年中使ってもらえます。

織り機1台分をみんなでシェアするショール

一反を織り上げて、それを使って着物などいろんなものを作り出す。本来、布ってそういうものなんでしょう。でも、私たちの今の生活の上では、出来上がった洋服や布製品になっていることが多いです。
織り機1台分が布の単位だということは、なかなか実感がありませんし、また技術の進歩で織り機もすごい進化を遂げていることでしょう。
そんな中で、もう一度古いスタイルの布=伝統工芸を手にするというのは、とても豊かな物語がその裏にあることを思い出させてくれます。

歴史としてはしあわせなことばかりではなく、とても地味で陽の当たらない、時に非常に貧しく過酷なエピソードもたくさんあると思います。
でも、それらを通り過ぎて、手に残るもの。

結城紬を見に本場結城市に行った時、「この会社に入るまで、実は結城紬のことはよく知らなかったんです」と私を案内してくれた若い女性のKさんが、運転しながら言っていました。
「この地域に育ったのですが、会社に入ってはじめておばあちゃんがやってた事がわかりました」

糸を繭から紡ぐ人、それを染める人、図案を考えて、それを織り上げる人。
さらに、織る時に糸を小麦粉の糊で硬くしているので、仕上がった反物は専門の洗う加工をするそうなのですが、それもまたふつうの人が洗うときちんと糊が落ちないとか、沢山の人の手が重なって作られていく。

今回お作りするショールは、伝統的な結城紬の技法をきちんと踏襲した奥順さんのものになります。

沢山の人の技術を使い、それをまたみんなでシェアする。

「色もちょっと地味だけど、本当は触るだけじゃなくて首に巻いて欲しいんですよね。見た目とちょっと触った感じで、趣味じゃないわーってなるものわかるんですけど、首に巻いて肌で沢山触れた時に一番真価を発揮するので、店頭に立つ時はなるべくいろんな人に触って巻いて欲しいなって思っています」

ちょっとみただけ、聞きかじっただけでは、本当は伝わらないです。だから、こんなに文章を書いても、本当は何にも伝わってないのかもしれません。
できれば出来上がったものを触ってもらうのが一番なのですが、まだこの世に存在していないので、ご予約いただいて60日+αお待ちいただける、という方に、おすそ分けできたらなと思います。

ということで、ご予約についてはまた次のnoteでお知らせしたいと思います。

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