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想定した未来がいつもくるわけじゃないけれど、未来を想像することは魔法のような力だ

しばらく続けて満月摘みのサクランボと、満月摘みの柿の葉茶をお作りしてきましたが、今年はどちらもありません。

柿の葉茶は、収穫してくれている農家さんがお倒れになったということで今年は予定通りの収穫ができないということ。
「高齢化ですからね」と仰ってましたが、本当にお大事にしてほしいです。

サクランボは、今年も美味しく作っていると思うのですが、満月のタイミングにちょっと重ならない事もあって、今年は見送りとなりました。
毎年すごくおいしいさくらんぼをお送りできていたので、ちょっと残念。

でもこれが、自然相手ということなんだなと思います。

満ちかけのおすそわけシリーズということで、手帳の上だけじゃなくて満ち欠けを体験できる商品をいろいろと考えてきましたが、難しい事もとても多かったです。

「この日に収穫してほしいんです」といっても「なんで?日曜日は休みだよ」「その日よりこっちの方が人手が多い」と、とにかく作り手の都合に全然沿っていないので、大抵お断りコースです。

そういう変わったオーダーに応えてもらえるところは、きめ細かく作業をされているところが多くて、つまり扱っているものも質がよく美味しいです。

さくらんぼやみかん、エビ、牡蠣など、いろいろたくさんやってきましたが、農家さん、生産者さんとのコミュニケーションは本当に大変で、「FAXならあるけど、メールでPDFって分からない、若いもんに聞いてもわからないって。Excelってなに?」というケースもたくさんあります。
なかなか大変です!

でもそんなふうにいろいろとやっていたら、各地の生産者さんと出会う経験になったり、伝統工芸品や新しい草木染など知らない事を知る事ができるようになりました。

これからも、またちょっとずつですが、満ち欠けのおすそわけシリーズをお届けできたらいいなと思っています。

自然のリズムは、大枠では常に安定して繰り返されています。
ぶれる事なく、同じサイクルが繰り返されているように見えて、その場その場では毎回状況がかなり変わっています。

いつも同じではありません。
今は、今しかないのです。
それがどれほど貴重なことなのか、サイクルが乱れてた時に思い知ったり、またサイクルが乱れたからこそ得られたチャンスやギフトがあったりします。

そういう事を含めて、失敗も成功も、サイクルの中で美しい模様に織り上げていけたら、いいのじゃないだろうかとたまに思います。
同時に目の前の事に命を燃やしてチャレンジすることの結果がつながって出来上がった模様も美しいと思います。

人には、時間を概念的にとらえ、未来の事を想像するという魔法のような力が備わっています。
これはもう本当に魔法のようなことです。

「猫は明日の事を心配しない。だからひどい病気で余命を宣告されても、猫には今日があるだけなんです」

飼っていた猫が余命を宣告された時に獣医の先生に言われた言葉といって誰かが書いていましたが、この「今しかない」素晴らしい輝きと、同時に未来を想像することができる魔法のような力を持っている人間は、飼い猫の余命を宣告された時に明日の心配をしないということはできません。
それは魔法のような力があるからこそ、生まれる苦しみなのかもしれません。

でも、それは「魔法のような力」と思うと、その痛みや苦しみもかけがえのない輝きではないかと思うのです。

自分の時間をどうとらえていくのか、それが自分の人生を決めていきます。
苦しみも避ける事はできませんし、納得がいかない事で喜んだりもします。

どんな経験が自分に訪れるのかは、絶対確実に分かるものではありません。

それでも、未来に思いをはせるという魔法のような力がある事は、あなたに大きな力を与えていると思います。
それをどう使っていくのか、自分を苦しめるために使うのか、楽しく生きるために使うのか、何か大きな仕事を成すために使うのか、多分いかようにも使えるんだと思います。

そして想像した未来が来ない時も、ちゃんと「今」を受け止めていく胆力のようなものも、最初から人間には備わっていると思います。
赤ちゃんの時は、猫のように「今」しかなかったし、「ママの元気がなかったし、明日もおっぱいがもらえるか不安…」みたいなことは考えていなかったのですから。

未来を想像し、想像した未来じゃない未来が来てもそれを受け止めてまた魔法のように想像していく力は、きっと私たちを強く、豊かに導いていくのだと思います。


来年、また柿の葉茶や満月に収穫したサクランボをお届けする未来を想像しつつ―――

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