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AIに負けない存在

AIの進化が止まりません。
かつて奪われる仕事は計算や統計で処理できる手間のかかる仕事だと言われていました。
創造性の高い仕事が奪われることはないのだと。
いざ技術の蓋を開いてみると、イラストや作詞•作曲などクリエイターと呼ばれる一握りの人たちの能力が万人に対して解放されました。
AIは統計的に正しい確率の高いものを集めてくる能力に秀でていますが、人の創造性も統計的に創出できてしまうということだったのです。
確かにキーワードでコラージュのように要素を集めてきて、特定の色合いや雰囲気に処理すればイラストも生成できるということでしょう。

AIの進化の波に飲み込まれないようにするのは編集する力だという話があります。
統計と計算では処理できない文脈や意図をまとめ上げる力は数学的に組まれたプログラムには構造的に無理なのだと言われています。
ところがこれもChatGPTの存在が一石を投じました。
ビジネスの挨拶メールの見本を書き出す一方で、小学生の文章レベルで読書感想文を書くこともできるのです。
インターネットを便利に使い続けた歴史の積み重ねが、文脈を読み取った結果を数多く残したからです。

定型的な仕事も創造的な仕事もAIがこなすことができるようになったら、どんな職業が残るのでしょう。
現在の想像できる残りうる職業も、その能力を想定して強化すれば技術の波に飲み込まれてしまうかもしれません。
AIに代替されるかどうかは職種ではなく、働き手にあります。

AIは高度な計算式です。
膨大なデータから統計的に正しいと思われる情報を組み合わせてそれらしい回答を出します。
統計的に正しい、つまり多くの人が学習と判断に必要な情報を提供していることによる確からしさです。
一方で人には欲や見栄や自分を信じる気持ちがあります。
世間一般にとって正しいか正しくないかではなく、自分にとっての正しさを信じる人、言ってみればナルシシストです。
多くの人が納得する妥当な回答よりも、共感する人だけ共感すれば良いという姿勢はある意味AIとは異なる方向を向いています。
例えAIに傾向を分析されて模倣されても、それは自分ではない何かによる予想に過ぎないので、自分を信じる気持ちは小揺るぎもしないことでしょう。
スピードと情報量で人類を圧倒するAIと渡り合えるのは実は矮小な個人の我欲なのです。

ナルシシストは自動生成AIに負けません。
ではマーケターはどうでしょう。
マーケティングはどうでしょう。
アンケートをとって構成比が大きいことが正しいと考えていないでしょうか。
集められる、目に見える情報に頼ってはいないでしょうか。
己の主観を殺して、客観的なデータだけを頼りにしてはいないでしょうか。
妥当性の高いデータを誰でも手に入れられる時代になったら、次の世代のマーケティングは我欲と共感によるナルシシスト•マーケティングになるのかもしれません。

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