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敵も味方も丹念に描き切った名作!!「戦神 ゴッド・オブ・ウォー」

2017年ゴードン・チャン監督、香港・中国合作映画「戦神 ゴッド・オブ・ウォー」を観た!
まず申し上げて、本当に傑作!!
観ていて飽きなかった!

最初に、友人マシマザさんからお薦めされたのだが、「戦神」というタイトル、中国の「明朝」という時代設定、それに、日本史でおぼろげに習った室町から戦国時代に、アジアで暴れたという、海賊「倭寇」の伝説的イメージ?などから、勝手に、大河ドラマか、中国の伝説的、壮大な叙事詩的のようなものを想像して、「ちょっとかったるいかなぁ・・・」と勝手に思ってしまった。。。
いやぁ、ホントに、愛する我らがカンフー映画の大兄貴、サモ・ハン・キンポーさんが出演していなかったら、すぐには観なかったかもしれない。

だがしかし!!

観始めると、その最初のイメージは吹き飛んだ。
見せ場でもある、明朝と倭寇との、中国ならではの圧倒的な人数、壮大なロケーションによる迫力ある合戦のシーンももちろん見どころなのだが、それ以上に、明朝側と、敵の倭寇=日本側の一人一人のドラマを丹念に描き切っている。
そして、もう一つの見せ場である、香港伝統のカンフーアクション映画を彷彿とさせる、一対一の闘いの美!!!
愛する我らが兄貴、サモ・ハンと、主人公戚継光将軍を演じる、チウ・マンチェクさんとの、カンフーアクションへのオマージュに始まり、地元を愛する農民リーダー、大成を演じる、ティミー・ハン(サモ・ハンの息子らしいですね!どうりでカンフーが上手いわけだ・・・)、そして、最後の見せ場は、かのブルース・リーにヌンチャクを渡した伝説の日本人アクション俳優、倭寇の熊澤将軍を演じる、倉田保昭さんとの殺陣!!
どれをとってもカッコイイ!!
そして、カッコイイだけじゃない!!
どの闘いも、将軍同士の友情、敬意や、愛する者を守る心、そして、最後の熊澤将軍は、負けたら切腹、それぞれに「武士」の魂、「武道」の礼儀、「心」がこもっているんです!!
最高でした!!

敵であり、最後は負ける倭寇=日本も、武士道の美しさや、中国の刀をも切る、日本刀の武具としての素晴らしさ、熊澤将軍の兵法を習熟した名将っぷり!!
敵までも、これほどまでに敬意をもって丹念に描いた映画は、他にあまりないのではなかろうか?

そして、中国=明朝側に至っては、史実だったらしいが、戚継光将軍の恐妻との微妙な関係を少し面白く、丹念に描く。
ボクは、強い女性は観ていて安心する。
その妻を演じるレジーナ・ワンさんも非常に美しいし、戚継光のチウ・マンチェクさんも、強いけれども、マッチョな感じではなく、人間味と優しさあふれる素晴らしい配役だったのではないだろうか。
戦で不在の夫、戚継光に代わり、家のある街、新河を守る妻の姿、ボクはボロボロ涙を流してしまった!!

そして、明朝廷の政治的腐敗を描いたり、国内の村同士の、資源を巡る争いを描いたり・・・
更には、倭寇の浪人を中国と日本を繋ぐ名優木幡竜さん!映画「南京!南京!」で大好きになったのですが、日本の浪人の「輩」っぷりも超リアル!!そして、好みは判れるかもしれませんが、倭寇の輝く扇子による映像美!!!
いやぁ、単純に「明VS倭寇」以外の部分でも、本当にお腹いっぱい!!
これだけのドラマを、約2時間に過不足なく盛り込んだ脚本にも脱帽!!

原題は、「蕩寇風雲」(←こっちの方がカッコええがな!)で、日本では劇場公開していない!!って、こんな大作が、なんで!?

え?もしかして、俳優さんのスキャンダル絡みなのかな・・・?

倭寇=日本が負けるといっても、一昔前の、日本バッシングなんて、全く感じないです!!
何度も書くけど、懐も深く、敵への敬意と、万国共通の「心」が感じられる。

この映画は、全世界の人に、DVDか配信で観て欲しい名作でした!


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