見出し画像

土を練り上げる。脳を練り直す。【陶芸を学ぶ:第二回】

初めて約半年。私は心の微妙な変化に気がつきました。それは、集中力の高まりと共に妥協心への抵抗が強まった点です。

作業時間は約3時間。とにかく集中し、目の前の土に向き合う。

その間に、どこまでこだわり、妥協しないで1つの作品の完成に近づけるか。この「こだわり」抜くという部分が精神的に鍛えられていると感じるのです。

されど土選び

そんな集中力を有する陶磁器作りは、「土」選びから始まります。性質の異なる土は、できあがった表情だけではなく、成型するアプローチも変わってきます。

まず明確な違いとして焼き物は、磁器と陶器で分かれます。一般的に、陶器は土物、磁器は石物と言われています。土物とは主に自然界に取れる粘土のこと。石物とは陶石と呼ばれる石の粉に粘りを与えるために他の粘土を混ぜて作られたものを指すようです。

さらに同じ名前の土でも細目(キメが細かい土)や荒目(砂などが入って素材感がでる土)などで成形する際の気をつけるポイントが変わってきます。

実際に土に触れて成型するまで特徴がわかりませんが、指先から伝わってくる土のクセを理解しようと試行錯誤する時間がまた楽しく感じるのです。

「練る」という行為

次に選んだ土は練り上げる必要があります。土に空気が残っていると窯入れ(器を窯に入れて高温で焼く)という作業の際にヒビが入ったり、破裂することがあるため、気泡が土に残らない様に丁寧に力強く練る必要があるのです。

まだまだ技術的に劣る私ですから土の良さを最大限まで引き上げたいという一種の「祈り」に近い想いを土へ注入していきます。

二段階で練る

この「練る」というのは陶芸では、二段階の作業を総じて指します。

まず初めは「荒練り」。粘土の塊から切り取ったブロックを手元で前後に動かしながらなじませていきます。柔らかい土に圧を加えるほどプシュという音がして空気が抜けていきます。

ある程度、なじませたら次に「菊練り」をします。この作業が初心者には難しい。オールを漕ぐように、空気を抜いていくと綺麗に粘土の塊に菊の花びらの紋のような筋が連続してできるのですが、コツをつかむまで中々できません。

頭で考えるより、体を動かせ!と思い、先生の見よう見まねで手と体を動かすのですが、未だ取得叶わず、Youtubeなどの動画を拝見しながら頭で反復するイメージトレーニングにとどまっています。

日々学び

ふと気がついたら仕事の合間に陶磁器のことを考えているから不思議です。

陶芸には人を魅了する力があるようだと実感として腹落ちしたのは最近のことです。土を練れば、練るほど、手元の土をもっと理解したい、より良い形に仕上げたいという想いが湧いてきます。執着とも愛着ともいえるものですが、これが何事にも大切な心持ちなのだと学ぶ日々なのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?