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生活の実験

2021年に東京のデザイン専門学校を卒業して
私は和紙の原料植物「楮」からジュエリーをつくる夢だけをもって
熊本県水俣市に暮らすようになりました。

山で採取した楮
楮を蒸しているところ

私は 20代 いろいろなことがあり
自分も他人も傷つけにくい手段として今の生活と仕事を心から選んでいるように思います。それは山に自生する植物を採取しに行って、それをジュエリーとして届ける仕事。生態系の一部なんだ〜って忘れないでいられる生活。

植物(生き物が好き)と向き合っている時間が私にはとても大切で
都市にいるとすっかり彼らの存在を忘れてしまい私は酷いことをしてしまうのではないだろうかという悲しみがいつもあります。

山に行けば川があり、それが海とつながる。
魚がいて、鳥がいて、樹がいて、湧水がいて、人間がいる。

生態系を頭で理解するのではなくて、現場にいることで、
自分の生活の意識が変わってくると水俣に住んで丸二年を迎えるタイミングで実感しています。

せっけん(洗濯・台所)にも関心が生まれるし、結構いろいろなところが気になってきました。なんでこんなにゴミが多いのだろう、ってストレスが最近は大きいです。


20 代は社会に合わせること(ちゃんと経験したかった)にいっぱいいっぱいで
(私は3年間は黙って毎日日経新聞を読み(笑)会社員をしました)
良くも悪くも反面教師で、自分の思想や、土台を養う時期でした。
思い通りにいかないことばかりで、足掻いていたと思います。


27歳でスペイン巡礼


不思議なことに、植物と仕事をするようになってから、
それは具体的に草木染めをすることや灰をつくること、その重量を計り実験をすること、
生活も日々の実験の繰り返しなのではないだろうかと思うようになりました。

いきなり大きな理想を掲げても、そこに達成するには色々な試行錯誤が必要で、
でも何かを少し変えてみたら良い具合になるということもあり、
ちょっぴり生きやすくなってきたなぁと思うこの頃です。

自分でやれることが見つかっていくと、主体性が生まれて、自分の頭で考えるようになります。

31歳になってこんな当たり前のようなことを言っていて恥ずかしいのですが、
最近 新しい発見の連続で驚いています。

組織に属さずに個人でジュエリー作家をしていく道を選んだことも、
20代で得た経験を土台に、人も他の生き物も優しくあれる豊かさを追求した結果であり、どんな暮らし方や生き方が生物に無理の少ないものなのか(無理をさせたりするとまわりまわって自分の精神を破壊することだと私は実感しています)、
模索しています。


おしゃら というジュエリーを水俣でつくっています

不安は人に伝染するものですし、
私も相当に不安感が強い気質なので人の不安感を受け取りすぎるし しんどいから切実に今自然と関わる仕事をしているのかもしれませんが、
自然から材料を採取して伝統工芸の技法をつかい、付加価値の高いジュエリーにするこの仕事がもっと多くの人に届いたらいいな、と思います。

安心感も、人にも他の生き物にもまたまわって自分にもぐるぐると伝染すると感じています。


暮らしの実験はつづく。

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