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SUHOが生まれるストーリー

日本を代表するカメラマンの1人、裕馬くんという僕の大切な友人がいる。
一念発起して彼が撮影スタジオを開くというので、去年、自分も神宮前で開いた撮影スタジオの経験や苦労話などもやり取りしながら、よく連絡を取り合っていた。
彼のスタジオの場所は以前建築系の資材などを扱うショールームで自分も何度か行ったことがあり、あ、あそこか!なんて話を聞きながら、条件いいねぇ!とか、
スタジオを契約した時の興奮した様子、銀行から融資を受けてホッとした話や、実際に現場にも見に行き、家具はこれがいいんじゃないか、とか、プロならではのこだわりの造作も見せてもらいながら、ENNというスタジオ名が縁や繋がりから名付けられたと聞いて、今後、益々拡がっていく縁と展開に胸を躍らせたのだった。

そんな彼から連絡が来て、
1階もテナントが空くからお店をやってくれない?やって欲しいんだよね。

彼と彼の友人たちが作り出すクリエイティブに心底惚れていたので、声をかけてくれた事が光栄でもあったし、自分がやってきたこの15年間をちゃんと見て評価して誘ってくれたのが非常に嬉しかった。
店を出すのは簡単じゃないが、やってみたいと思った。
色んな条件が揃っていないと出来ないし、とても勇気がいる。
やはりその一番の大変さは人員確保、人材育成で、そもそも今の状況で人も少ないのに何で出店するの、とスタッフに怒られそうだ。
それを信頼するスタッフに相談した時に、
「自分がワクワクすることをぜひやって欲しい」 
店は自分1人では出来ないから、あの言葉に勇気をもらい、背中を押されてやることを決めた。

後日改めて物件を見に行った時はまだ何のお店にするかは決めていなくて、自分が出している店舗に比べると非常に狭いが、形は四角で窓も大きく、凄いポジティブな物件というイメージを持った。
条件的にがっつりと飲食店をやることが難しいというのもあったが
角地で視認性もあり、外の道路も広く、目の前に信号があることで人が停滞する場所。そして、横にはお隣のマンションの木があり、そこにベンチがあるという好条件は整っていたので必然的にコーヒースタンドでしょ。と決まっていったのが正直なところ。
ただ、自分がコーヒースタンド?
というのはちょと否めなかった。
グルメバーガーショップにエスプレッソマシンなんてなかった時からいち早く導入して、ラテアートの大会を開いたり、オニバスコーヒーにオリジナルブレンドを作ってもらったりとコーヒーにはもちろんこだわってきた。
元々カフェを出したいというのは前にも書いた通りで、自分がやりたいのは美味しいものを提供するというのは大前提で、その先に何がしたいのかというとやはり空間作りなんだなというのは店をやるたびに思っていた。
スタッフとお客さん、それに関わる全ての人が気持ちのいい空間を作りたい。
人と人をコーヒーが繋ぐ瞬間を沢山見てきて、自分もと思ったのは間違いない。
ただ、それでも自分がコーヒースタンド?
と思うのはコーヒーに携わる想いや場所、人と会ってきて、その人たちの気持ちに自分が敵わないなとも思うからかもしれない。
だとしたら、その人たちを紹介するような場所にしたらいいのかもと思った。

12年前にバーガー屋にエスプレッソマシンなんて無かった

自分の大切な友人で青果ミコト屋の鉄平さんという人がいる。全国を旅して回り、生産者に会いに行き、野菜だけじゃなくて、彼らが気持ちいいと思うものや美しいものに触れてそれを紹介する仕事をしている八百屋さんだ。
一緒に仕事をしたり、色んな場所へ出店したり、フットサルをしたり、風呂に入りに行ったりと公私混同、仕事なのか遊びなのか、それが境なくシームレスに続いていき、結果的に今の自分にかなり多くの影響を与えてくれている恩人。
彼が代表で作り出す、アイスクリームがある。
形が不揃いで出荷出来ない果物やロスになってしまう食材を使って、その素材の持つ味わいを大切に仕立てて作るクラフトなアイスクリーム。
遠方の友人がポップアップで東京に出店した際に提供するはずだったブラックチーズケーキが運送時に形が崩れてしまって販売出来ないとなってしまい、どんよりとした空気の中、鉄平さんがそれを譲り受けて黒猫がモチーフの運送会社の名前をお借りして「ブラックキャットチーズケーキ」というアイスを思いつき、後日アイスにして蘇らせるというスーパーナイスなレシーブをした時は、本当に太陽のような存在だなぁと感心した。
そんな彼らが作っているアイスは本当に美味しいけど、まだ多くの人に認知されていないのが現実。
じゃあ、そのアイスを紹介出来る店になったら最高だな。

今まで出会ってきた沢山の素晴らしいコーヒー屋さんとミコト屋を中心としたクラフトなアイスを作る人たちのセレクトショップ。
今まで繋がってきた縁や出会いが沢山詰まった人と人を繋ぐ空間。
コーヒーとクラフトなアイスを軸にして店のコンセプトが少しずつ固まってきた。 

ブラックキャットチーズケーキアイス

さて、お店の名前は何にしよう。
場所は駒場東大前。
駒場とは昔、馬の牧場ということ。馬のモチーフって良いよなぁなんて漠然と考える。こういう時は考えながらアイデアは消えて、また全然別のアイデアが思いついていく。
美味しいコーヒーのお店やクラフトアイスのお店をタスキのように繋いでいくからメドレーって良いなとか、(medley coffeeを調べると既にお店があった。。)
馬といえば、自分の名前の駿介も馬が付く。この物件を紹介してくれた裕馬くん。馬が付く!
そして、自分と裕馬くんとの縁を繋いでくれた人がいる。
それが、僕の大好きな友人、河合桂馬くん。
桂馬くんは地元が一緒で持ち前の明るさから超エリート会社に入ったと思ったら
自分がやりたい事で生きる!と世界を飛び回るDJになった。
そして、闘病の末、去年帰らぬ人となった。
彼が繋いでくれたおかげで裕馬くんと出会い、そしてお店を出すことになった。
3人の共通する馬を使った名前でいこう。
そう決めた。
店は白いタイルを貼ろうと思っていたので、白い馬。
白い馬といえば「スーホの白い馬」
小学校の教科書に載っていて今も変わらず教えられている物語は、ちょうど自分の息子もこれから教わるらしい。
永く愛されるこの物語のように、地域の方に愛されるお店になればいいな。
そう思って店の名前を「SUHO」に決めた。

オープンは12月中に出来るかどうか。これからまだまだやることは山積み。
良い店になることのイメージは出来てるし、ロンドンから強力な助っ人も帰ってくる予定でそれも凄い楽しみだ。
沢山の想いが詰まったお店でこれからどんな出会いや繋がりが出来るかとてもワクワクしている。















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