[いただきました] 奥田宏司・代田純・櫻井公人編『深く学べる国際金融――持続可能性と未来像を問う』(法律文化社、2020年)

20200413 [いただきました] 奥田宏司・代田純・櫻井公人編『深く学べる国際金融――持続可能性と未来像を問う』(法律文化社、2020年)

奥田宏司・代田純・櫻井公人編『深く学べる国際金融――持続可能性と未来像を問う』(法律文化社、2020年)をいただきました。ありがとうございました。
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ドル体制」という概念を軸にした平易な国際金融のテキストの続編です。ドル体制とは、金とドルの交換が停止された現代においてもなお米ドルが基軸通貨として機能し、またそれを土台としつつドルの国際信用連鎖が形成されている体系を指します。同時に、こうした体系のもとで各国はドル体制の維持に(好むと好まざるとにかかわらず)深い利害をもっているがゆえに、IMFをはじめとした国際機関は、政策協調や国際協力の名の下に米ドルの価値の維持に努めざるをえません。

今般のコロナショックでもこうしたドル体制の強さが証明された形。ショックの序盤でこそユーロは対ドルで買われましたが(ユーロキャリーの巻き戻し)、危機が進行すると、主要通貨(ユーロ、円、ポンド等)にたいしてドルは買い戻されました。為替スワップを利用した米ドルの調達が原因です。

ドル体制の「周縁」に位置する中国、ロシア、イランは、いつこの体系から弾き飛ばされるかわからないため、金(ゴールド)の準備を増やしています。これは予想される将来に米ドルを基軸とした体制が揺らぐ可能性が低いことを示唆します。

ただしどんな体制も永遠であるわけではありません。この可能性についても目配りしている点に本書のテキストとしての独自性があります。おすすめします。

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