[寄稿] 『中部経済新聞』2018年8月30日付 | 米中の国際分業――「再版テイラー主義」の持続性を問う

『中部経済新聞』2018年8月30日付の「オープンキャンパス」に寄稿しました。その一部を転載します。

 ただし、この「テイラー主義」は、生産性上昇にインデックスされた賃上げという労使妥協の仕組みを欠いている。それどころか、先述のようにしばしば労働法すら逸脱する「無権利状態」が広がっている。にもかかわらず、こうした体制が維持されてきたのは、農村からの出稼ぎ労働者が大量に存在したという社会的条件があったからである。
 しかし、こうした条件がいつまでも続くものではない。中国社会における公正な分配を求める声と圧力は強まっている。中国共産党の掲げる「富強、民主、文明、和諧(調和)の社会主義現代化強国」(第19回中国共産党大会、2017年10月)が実現すれば、先の国際的条件も消失するだろう。

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