見出し画像

最新版 NFTコレクションのマーケティング手法とNFTの産業化【洗練】

おつかれさまです。モリプトタツヤです。

久々の独立記事です!
Google AIまかせのWeb3ニュース」のニュース解説では言い足りない、しっかりまとめた記事を不定期にお届けします。

■今回の結論

1.NFT展開には戦略が必須に。
NFTアートを純粋に作って売る、物珍しさや投機的価値だけで買われる時期は終わった。

2.NFT展開の戦略がテンプレ化。
Discordでのファンコミュニティ構築、ホワイトリストの活用、SNSを通じた一般人へのファンの可視化、二次創作への拡張が一連パッケージに。

3.NFT展開の戦略テンプレを支援する周辺ビジネスが勃興。
NFTがアートビジネスからファンビジネスに進化する中でさまざまなサポート業が立ち上がり産業化。市場規模が加速的に拡大。

ファンコミュニティ運営サポート、ホワイトリストを分配するディストリビューター、NFTのSNSアイコン化サービス、インフルエンサーのNFTアンバサダー化、二次創作シーンへの接続、権利処理や契約サポート。

既存産業がNFTと接点を持ち始める。
NFTならではの新しい仕事も生まれている。


■NFTの周辺ビジネスに1億ドルの資金調達

Pixel Vaultチームは「Punks Comic(パンクス・コミック)」のリリース以来、コミックの世界観を大切にし、同コミックのベテランアーティストを起用して、スーパーヒーローのNFTを大量に作成してきたが、これをより広いメディア世界に展開したいと考えている。
(中略)
CryptoPunksは、ハリウッドをはじめとするさまざまな分野でパートナーシップを展開するために、すでにWMEと代理店契約を結んでいる。

NFTが単品のアートや投機対象として売買されるだけでなく、二次創作として漫画・アニメ・映画・ゲーム・グッズに拡張展開されることが多くなってきました。

成功した時のNFTの出口のビジネス規模が「1点1億円で売れた」で終わらず、マーベル作品のように1作品でも数百億円規模・関係人口数百万人になる可能性も見えてきました。
出口が大きくなったおかげで

「NFTコレクションを成功させる支援をする」
「成功したNFTコレクションを周辺ビジネスにつなげる」

というNFTアートの周辺をサポート・拡張するためのビジネスが立ち上がり始め、いよいよNFTが一般の人の目に触れる機会が急加速するフェーズに入りました。

つまりNFTが産業化フェーズに突入です。


1.NFT展開には戦略が必須に。

昨年流行語大賞に入るほど急にブームになったNFTアート。

ドット絵が数千万で取引される奇異な現象だという一般認識はまだまだありますが、クリエイターにとっては新たなフロンティアの発見でした。

多くのクリエイターが参入し、「自分の絵が売れる!」ことに感動しました。しかし少し経って参入者が増えてくるとどうやったら売れるかに悩み、さまざまな工夫が始まりました。

コンセプト・ストーリーを作ること。
ミームの流行りに素早く乗ること。
コミュニティ参加の会員証にすること。
二次創作を推奨しファンを巻き込むこと。
CC0でビジネスチャンスを提供すること。
数量限定の希少性をアピールすること。
有名人に宣伝を依頼すること。

NFTクリエイターによってさまざまな工夫が模索されました。
マーケットでも工夫の組み立て方が上手なものが売れ、値上がりするようになりました。

NFTを純粋に作って売る、物珍しさや投機的価値だけで買われる時期はあっという間に終わりました。
結果的に、NFTアートは作品を作り売買されるアートシーン限定の商品からファンコミュニティを作るための装置に進化しました。


2.NFT展開の戦略がテンプレ化。

~NFTコレクションのリリース前に
Discordでコミュニティが立ち上がり、

コンセプトとストーリーをPRすること
でファンを引き付け、

コミュニティの中でファン同士
漫画化・アニメ化・ゲーム化・映画化
などの将来計画が議論され期待値を高め、

「将来性の高い有望なNFTを初期の安値で
買える購入予約権=ホワイトリスト」を
コミュニティで活躍したと認められた人や
有名インフルエンサーに配布し、

ファンは熱量を持ってファンを広げるため
インフルエンサーは仕事として
宣伝してもらい事前期待を高める。

結果、NFTコレクションがリリースされた
瞬間から「熱狂状態」を演出する~

というのがすっかりテンプレ化しました。

皆が売り方を模索・工夫していた時は部分部分が自然発生的に試されていたのですが、成功例が出てくるとあっという間にテンプレ化。合理的なマーケティング手法です。

買い手の参加者も合理的です。
Discordも当初はファンの自発的な集まりだったものが、今では初期価格で買える権利を得て値上がり益で稼ぐための待ち伏せの場所になりました。純粋な作品のファンもいますが、そうではない人も今では大勢参加しています。

おかげで詐欺師も跋扈するようになりました。
ニセの購入案内をDMで送り不正に送金させます。
公式そっくりのサイトを作り、マルウェアに感染させます。
詐欺の手口はかねりんさんが丁寧に説明しています
くれぐれも気を付けて。

これからNFTアートに挑戦する人は、このようなマーケティング手法を最大限駆使してくる作品たちとどうやって差別化するかを考える必要があります。


3.NFT展開の戦略テンプレを支援する周辺ビジネスが勃興。

本題はここです。

NFTがアートビジネスからファンビジネスに進化する中でさまざまなマーケティング手法が編み出されました。
その手法のそれぞれを支援するニーズが高まった結果、NFT展開の周辺ビジネスが多数立ち上がりNFT全体が産業化しました。

・NFTコレクションのコンセプト立案
・Discordコミュニティ運営サポート
・SNSを通じたコレクション宣伝と
 Discordへの誘致
・ホワイトリストを信頼できる相手に
 適切に分配するディストリビューター
・一般販売前にホワイトリスト所有者に
先行販売するためのNFT事前発行
 サービスとDVP決済技術の提供
・存在感をアピールするNFTの
 SNSアイコン化サービス
・インフルエンサー事務所の
NFTアンバサダー
・出版、アニメ、ゲーム、映画など
 商業二次創作シーンへの接続
・著作権処理や法務、契約支援
などなど。

これまでNFTはアートクリエイターと買い手・投資家しかいなかったのが、あっという間に周辺にビジネスが立ち上がりました。

上記のような支援業務を眺めてみると、いまWeb2.0の世界で業務展開している企業や個人も多いのではないでしょうか。
市場調査、コミュニティ運営、SNSマーケティング、インフルエンサー事務所、既存のエンタメ業界、弁護士や司法書士など。
既存産業がNFTに参入するきっかけができつつあるということです。

逆にNFTマーケティングで新しく登場した仕事を上記から2つ取り上げます。


ホワイトリストのディストリビューター業

ホワイトリストとは「新株予約権」のように決まった価格(新発売時では初期の最も安い価格)で購入する権利です。

たとえば1万枚のNFTを売り出す予定の場合、3000枚分をホワイトリスト所有者に販売します。ホワイトリスト所有者は初期設定の安い価格で買えますが、狙い通り値上がりしないと初期価格を下回って損をするかもしれません。

そのためホワイトリストを持ってほしいのはNFTの価値を高めるアクションをしてくれる人です。

告知宣伝してくれるならインフルエンサーやセレブ、芸能人がよいでしょう。二次創作のアイディアをどんどん出したりDiscordコミュニティを円滑に運営してくれる人もありがたい存在です。

NFTの価値を最大化するために誰にホワイトリストを渡すべきかを計画・実行する役割の人がディストリビューターです。

また世界戦略を打つときには狙う国それぞれにディストリビューターが必要です。海外のNFTプロジェクトを日本でも周知したい場合、日本国内のインフルエンサー事情やNFTに影響力のある人へのコネクションを持った人がいると便利です。

かねりんさんがVoicyで「日本でホワイトリスト分配のハブになることを目指す」と話されています。NFTが産業化したことで生まれた新しい仕事に真っ先に着目する先見の明が素晴らしいです。


NFTのSNSアイコン化サービス

先日、TwitterがNFTをアイコンに設定できる機能を追加したことが話題になりました。

海外かつTwitter Blueという有料契約ユーザーからスタートなので日本の一般ユーザーにこの機能が提供されるにはもう少し時間がかかりそうですが、大きな流れとしてSNS上のつながり・仲間意識や自分のアイデンティティを表現するためにアイコンやプロフィールの部分にNFTが使われるようになることは確実だと思います。

イケハヤさんもVoicy上でNFTアイコンの革命性、ファッション表現としての重要性や影響力を熱弁されています。

いまはSNSのアイコンにそれほどの影響力があると思っていないかもしれません。しかしいまでも「推し」をTwitterのアイコンにしたり、大勢が一斉に同じアイコンにする「祭り」が行われたりしています

Twitterで音声のトークを聴く「Space」を体験したことがある人はもっとアイコンの重要性を知っているはずです。同じ部屋にリスナーが集まっている様子がアイコンで表現されますので、個性・ポリシー・趣味などがアイコンに凝縮されます。

NFTアイコンメーカー「iconee」はこのトレンドを先取りしてNFTをアイコンにできるサービスです。NFTをSNSのアイコンにすることがもっと普及した時に正式・合法的にアイコンとして使用できるNFTの種類が増えるといいのにという需要の受け皿になることが期待されます。

SNSアイコンは想像力を駆使しないといけない表現力が低いアイテムではありますが、これからメタバースが普及していくと洋服やアクセサリーなどでもっと伝わりやすい表現アイテムに進化していきます。その手始めとしてのSNSアイコンです。

いろんなファンコミュニティでの「推し活」でNFTが配られることがより一般的になると、ネット上での活動を通じてたくさんのNFTを持っている状態になるはずです。

持っているNFTを眺めると何に興味があるのかがよくわかるようになります。名刺交換のようにNFTリストを見せ合うことで「仲間」であることが確認でき、つながりが可視化されていきます。NFTの所有者を検索することで「仲間」を見つけることもできるようになるでしょう。

凝ったアートNFTだけでなく、これからはネット上の「推し活」の証明書としてのバッジ型NFTが増えるはずです。

個人的にも、この「推し活」バッジNFTの仕組みを使ったとあるプロジェクトを立ち上げようと考えています。お楽しみに!


■今回のおさらい

1.NFT展開には戦略が必須に。
NFTアートを純粋に作って売る、物珍しさや投機的価値だけで買われる時期は終わった。

2.NFT展開の戦略がテンプレ化。
Discordでのファンコミュニティ構築、ホワイトリストの活用、SNSを通じた一般人へのファンの可視化、二次創作への拡張が一連パッケージに。

3.NFT展開の戦略テンプレを支援する周辺ビジネスが勃興。
NFTがアートビジネスからファンビジネスに進化する中でさまざまなサポート業が立ち上がり産業化。市場規模が加速的に拡大。

ファンコミュニティ運営サポート、ホワイトリストを分配するディストリビューター、NFTのSNSアイコン化サービス、インフルエンサーのNFTアンバサダー化、二次創作シーンへの接続、権利処理や契約サポート。

既存産業がNFTと接点を持ち始める。
NFTならではの新しい仕事も生まれている。


いかがでしたでしょうか?
NFTが話題になってたった数か月の間に大きく変化しました。
NFTアートも産業的に広がり社会実装が進んでいます。
「ドット絵が数千万」からより具体的で身近なお仕事になってきています。
一歩踏み出してお仕事に取り入れてみませんか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?