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『レビュー正常化に向け規制当局が偽レビューに罰金制度を提案。Web3のReview to Earnで解決できないか?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.4

■インターネット上のレビュー正常化に向け規制当局が偽レビュー1件につき最大720万円の罰金を科す規則を提案

Amazonをはじめとするさまざまなオンラインサービスで偽レビューの投稿が横行しています。これを取り締まるべく、アメリカにおける公正な取引を監視する連邦取引委員会(FTC)が、オンラインレビューを売買・操作する企業を対象とした新たな規則を提案しました。この規則が承認されれば、消費者が1件の偽レビューを目にするたびに最大5万ドル(約724万円)の罰金を科すことが可能となります。

偽レビューに罰金。

今回の規制案はレビューを売買し操作することを目的とした企業を対象としたものです。偽レビューを投稿する人をFacebookやTwitterなどSNSで募集し、金銭などで買収し、組織的に特定商品に偽の高評価をつけさせる行為が規制対象となっています。

個人が偽レビューを書くこと、高評価に縛らなければレビューに対して報酬を払うこと自体は今回の規制対象外です。また、レビューを掲載するサイト側も今回の規制対象外ですし、偽レビューを書く人をSNSで募る行為も規制対象外です。

ChatGPTのような高性能なチャットAIの登場により、偽レビューが今後さらに増加する可能性が危惧されています。

レビューそのものを売買しなくても、アカウントを量産または買い付けて、レビュー文言をChatGPTに書かせるという行為も危惧はされていますが、これも今回の規制対象外のようです。

明言はされていませんが、偽の悪い評価をつけるネガティブキャンペーンに関しては、金銭でレビュワーを募って低評価という指示をして偽レビューを書かせれば規制対象だろうと思います。


ユーザーレビューはWeb2.0の産物

このように規制対象や行為の範囲が限定的ではあるものの、商品やサービスのレビューが消費者に与える影響は今やとても大きく、当局が規制方法を提示したのはむしろ遅かったくらいです。

ユーザーが個々の商品のレビューを書くという構造は「ロングテール」「UGC(User Generated Contents)」というキーワードで表されるWeb2.0らしい発明です。

Web2.0時代に消費者によるレビューが実現し、影響力を持ち、だからこそ今回当局が偽レビューを規制するに至ったわけですが、その歴史的経緯を改めてさかのぼってみます。


Web1.0→Web2.0→Web3におけるレビューの歴史

かつてはメーカー自身からの製品情報の発信が主な情報源でした。また雑誌を中心に専門家がレビューをまとめて掲載し、多くの人がそのレビューを参考に購入するかを判断していました。

Web1.0時代はメーカーと権威性のある人からの情報発信と、それを受ける消費者という一方通行の構造でした。

Web2.0時代は「一般人の情報発信と双方向の情報交換」が加わり、そこでユーザーレビューという発想が生まれました。Amazonへの商品レビューもあれば、YouTubeなどで一般人が専門家としてデビューしていく道筋も作られました。

これはWeb3が登場した今の視点では「分散化・非中央集権化」に見えます。レビューが中央が認定した権威から開かれ、一般の人に民主化されていると捉えられます。そして民主化されたレビューが効果や影響をきちんと持った状況です。


不正レビューをWeb3的に解決できないか?

今回アメリカの連邦取引委員会(FTC)という権威組織が採った不正レビュー撲滅の方法は罰金を中心とした規制です。これは当局としてできる当然の選択肢だとは思いますが、非中央集権的なWeb3的なアプローチで不正レビューを解決できないでしょうか。

FTCの示した方針では「レビューに対価を払う」こと自体は規制されません。レビューが各個人の判断のみで行われることが重要で、高評価に染めることが規制対象です。

であれば、Review to Earnという構造は成立しそうです。
そのサービスはこんな感じでしょうか。

レビューすることで報酬が得られ、そのレビューが役立つと第三者に評価されればさらに報酬が得られる。

逆に不正なレビューだと見なされれば報酬を受け取る権利を失う。Earnできなくなると困るので不正なレビューはしなくなる。

商品を継続改善することにレビュワーと一緒に努めるメーカーが評価される仕組みを設ける。

クレジットスコアや信用スコアと呼ばれるような仕組みで、正直な行動をすることをスコアや称号NFTでブロックチェーンに刻み、それを証明書とすることで、他サービスでも「この人は信用できる」という評価を使ったサービスに応用する相互運用性(インターオペラビリティ)を持たせる。

eKYCしたDIDに「善良なレビュワー」である証明書をSBTで持たせることで、複垢や捨て垢で不正なレビューを量産することの対処を行う。

消費者は、Amazonに直接書かれたレビューではなく、この分散型レビューサイトのほうを参考にするようになる。

次第にECサイトなどは自社内にレビュー機能を持たせず、この分散型レビューサイトの書き込みをAPI経由で表示するInclude型に変更し始める。自社で書き込み管理や複垢対策をするコストや手間を省け、公正なレビューを参照できるECサイトとしての信用を得られる。

不正レビューで不当な商品を売り捌いていた悪徳メーカーは、ECサイトに商品を出しても、すぐにこの分散型レビューサイトの公正なレビューが参照され、淘汰される。またはこの分散型レビューサイトのコメントがない商品は売れなくなる。

結果、不正レビューが根絶される。

こんな大義でReview to Earnな分散型レビューサイトはいかがでしょう?
DIDが確立していないところで複垢対策が大変かもしれませんが、結構アリじゃないですか?

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