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『語学学習アプリ「Cambly」の成功から読み解くこれからの「to Earn」系サービスのトレンド』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.6.28

■語学学習アプリの成功例を「to Earn」系サービスの参考に

英語を人生の中で本当にまったく1mmも使うことがなく過ごしてきてしまったため、Web3にダイブするのに最も重要かつ高いハードルが英語となってしまいました。

改めてゼロから学びなおしを始めたところでいろんな教材や学び方を探している最中です。昔と違って今はWebでもYouTubeでもアプリでも教材は豊富にありますね。特にアプリは独学に便利なものが多く目移りしてしまいます。

今回は語学学習アプリを事業者目線で見てWeb3の「to Earn」系サービスの参考になるところを掘ってみたいと思います。


■苦戦続きの語学学習アプリ業界で健闘する「Cambly」の野望

語学学習アプリは、コンシューマ向けのテクノロジー業界の中でもベンチャーキャピタルの支援を受けにくい分野だ。

まずこの事実に驚きました。成功例が非常に少なく、儲かる確率が低い分野が語学学習アプリだと。

アプリは単発課金やサブスク課金の仕組みが出来上がっているので、足回りの開発は楽です。語学事業者はカリキュラムやゲーミフィケーション要素などをアプリで組んでしまえば無人で寝ていても儲けられる仕組みになりますし、リアルな英会話教室のようにスペースや講師の確保が不要です。

しかし参入障壁が低いため、多数の競合がひしめき合います
競合多数な状況では切磋琢磨の中でサービス内容が拮抗してくるため、最終的には新規獲得のための広告宣伝費やサブスク金額の割引、解約阻止のためのリワードの大量投入など資本力勝負になってしまいます。

「語学学習ビジネスの失敗事例で共通しているのは、効果を過剰に宣伝していることだ。彼らは、ユーザー獲得に多額の資金を投じて急成長したものの、結局、解約率が上昇し、投資家が敬遠するようになる」

この記事で例示されている不成功例のロゼッタストーン、オープン・イングリッシュ、Duolingoはいずれも新規獲得のための広告宣伝予算競争に巻き込まれ、キャッシュフローが悪化したようです。

サンフランシスコ本拠のスタートアップ「Cambly」は、こうしたトレンドから脱却できると考えている。同社は英語の学習に特化しており、体系的なカリキュラムよりも、講師との1対1の会話を重視している点が他社と異なる。

「Cambly」はアプリ化のひとつのメリット、「カリキュラムやゲーミフィケーション要素などをアプリで組んでしまえば無人で寝ていても儲けられる仕組みになり、リアルな英会話教室のようにスペースや講師の確保が不要」とは逆の戦略を採っています。

教室のスペースは不要で世界中からアクセス可能=立地の良さとは無関係で商圏が無限大、というのはリアルな英会話教室に勝るアドバンテージですが、講師との1対1の会話を重視するということは講師も多数必要ですし、生徒の数を増やすのも限界があります

ネットサービスではこのようなレバレッジの利かない労働集約的なビジネスモデルは嫌われるのかと思いきや、「Cambly」はシリーズBラウンドで合計6000万ドル(約80億円)調達に成功、キャッシュフローは5年間黒字だそうです。

こんな「Cambly」の成功の要因を紐解き、これからの「to Earn」の参考にすべきポイントを探ってみます。


■Camblyに学ぶこれからの「to Earn」サービスの在り方

□アプリ内で完結してはいけない。ソーシャル要素が一層重要に。

「Cambly」の場合、まず講師との1対1の会話を重視することでソーシャルな人間関係が培われます。つまり辞めづらくなります。

本来語学学習には終わりはありませんが、「習熟度」だけを目的に掲げるとアプリが持っているカリキュラムの量や生徒の語学力の伸びによって「終わり」が来てしまいます

ソーシャル性=シガラミで続けるというのはスマホのソシャゲと同じです。

「to Earn」の代表であるSTEPNになぞらえると、「稼げる」だけなら今のGSTが30円を切る状況では稼げる額に満足がいかず辞める人が増えてしまいます。

実際辞めた人も多いわけですが、今続けている人はSTEPN仲間とTwitterやLINE Open Chatなどでコミュニティを作り、運営との間にも何となくの信頼関係を作り、「歩く・稼ぐ」を通じた関係性が大きなモチベーションになっている人も多くいます。

STEPNの場合はソーシャル性の部分はほとんど仕組み化されていませんが、今後はますますソーシャル要素・コミュニティ要素が重要になってくるはずです。

そうでなければ「Earn」が成立しなくなったりゲーム性に飽きたら辞めてしまいますし、新規獲得にもコミュニティのバイラル力が使えず自社の広告宣伝費やゲームの魅力を上げる開発費だけに頼ることになります。


□企業と連携する仕組みが織り込まれる。

Camblyは、収益の約80%を個人ユーザーから得ており、残りは企業から得ている。現状、最もユーザーが多い国は、ブラジルとトルコ、サウジアラビア、日本という。Camblyのソフトウェアは、例えば、トルコ人の航空機パイロットには、航空用語に精通した講師を紹介するなど、受講生の仕事上のニーズに合わせて、適切な講師をマッチングしている。

コンシューマ向けだけでなく企業向けのサービス展開も20%を占めるとのこと。

「to Earn」の収益構造をコンシューマ8割、企業向け2割のように組み立てられれば、いわゆるポンジスキームの評判も払拭できるかもしれません。

コンシューマと同じサービスを企業向けにカスタマイズするのは別のサービスになって手間がかかりそうですが、両立できるなら面白いかもしれません。

シンプルなのはSTEPNでいう「アシックスコラボ」のようなタイアップでしょう。ソシャゲでもコラボは一般的に普及していますが、これからの「to Earn」系サービスでは企業コラボが収益とEarnの柱になる可能性が高いと思います。


□F2P2Eから熱量の高いファンを生み出すのがカギ

Camblyは、全てのユーザーに課金しており、フリーミアムモデルを採用しているDuolingoとはアプローチが異なる。

Levineは、Camblyが成功するためには、数百万人ものユーザーを必要としないと考えている。

コミュニティやソーシャル性が軸になるとしたら、熱量が高くサービスにポジティブなファンが大事になってきます。

コミュニティの形成には一定規模の人数は必要ですが熱量の薄い「数」だけの人はむしろクレーマーになったり、ちょっとした値下がりでネガティブは風評を流す人になったりする恐れがあります。

「Cambly」は全員が課金ユーザーであるため、サービスに対してポジティブになるバイアスがかかりやすくなるはずです。しかもそのサービスの根幹は講師との人間関係を培うものですから、面と向かって人の悪口はなかなか言えないものです。

「to Earn」はSTEPNやAxie Infintyのように課金しないと始められないものから、最近ではSwetcoin、Aglet、Walkenのように無課金から始められる「Free2Play2Earn」略してF2P2Eのモデルに移行してきたように思います。

F2P2Eは裾野が広がる効果は高く、Swetcoinは2016年のリリースから35か国以上で9,000万人以上のユーザーに利用されているそうです。この人数規模はF2P2Eでないと実現しなかっただろうと思いますが、SwetcoinがSTEPNのようなコミュニティやユーザーの精神的連帯を生み出しているかというとその気配は感じられません。

熱量は明らかにSTEPNの方が高く、収益性もSTEPNの方が高いと思われます。ユーザー数が絞られる分サポートもマーケティングもコストを下げられます。

Swetcoinは事実上まだEarnできないから熱量が今は低いのかもしれませんが、STEPNは今やEarnそのものだけでなくゲームとしての攻略方法の共有や運営の打ってくる次の手の分析などを楽しんでいる感があります。原資回収が遠のいたという現実がEarnより楽しもうという風潮にさせているのかもしれませんが…

F2P2Eはこれからのメイントレンドにはなると思いますので、課題は裾野広く多数のユーザーを獲得したうえで熱量の高いファンをいかに生み出しコミュニティを形成するかだと思います。


■まとめ

苦戦が続いていた語学学習アプリのジャンルで「Cambly」が見つけた成功の法則と、これからますます増えてくるであろう「to Earn」系サービスの成功の法則は重なる部分が多いように思います。

1.ソーシャル要素を組み込む
2.企業連携しやすい仕組み
3.Earn以外の軸で熱量の高いファンを生み出す仕掛け

この3点が今後の「to Earn」系サービスでもトレンドになると思います。

これらを踏まえた語学系「to Earn」が出たらいいな。稼ぎながら英語を勉強、魅力的です。でももし本当に登場しても今の力では全く稼げなさそうなので、いつか登場した時に稼げるように勉強しておきます。順序が変ですがw

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