見出し画像

『web3版TikTok「Pixie」今後のSNSのweb3化の流れを考察』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.2.12

■「web3版 TikTok」の先駆け「Pixie」とは? TikTokへの規制で突出す次世代型SNS

注目株の1つは、暗号通貨取引所大手KuCoinに上場し、同ベンチャーが投資もしている「Pixie」。イギリス発のブロックチェーン技術を組み込んだ初の本格的なSNSであるPixieは、「クリエイタークリプトエコノミー」を構築するプラットフォームと目されている。

誰もがご存じTikTokは、実は規制され使えない国が結構多く、取って代わるチャンスがありそう→web3版TikTokという触れ込みの「Pixie」が登場しましたよ、という流れの記事です。

SNSは大勢の利用者がたくさんのコンテンツ投稿をすることでSNSメディアの価値を上げ、広告費で稼ぐというビジネスモデルです。

ユーザーは投稿という労働力とプライバシーを差し出すことで無料で使用でき、プラットフォーマーは広告収益で莫大な利益を上げる、というのがWeb2.0時代のもっとも代表的なビジネスモデルでした。

web3では投稿者自身が利益を直接得る主体になれる「クリエイターエコノミー」や、プラットフォームの方針を参加者が決める「ガバナンスオーナーシップ」などがよく語られます。

そんな仕組みを持ったTikTokっぽいサービスが「Pixie」であり、他にもweb3版Twitterやweb3版Spotifyなどさまざまな「web3版」が模索されています。


「投稿者がトークンを稼げる」は原資が重要

分散型SNSであるPixieでは、ユーザーは自身が作成した画像や動画などの創作物をアップすることができ、「いいね」やコメント、共有などのインタラクションを集めたコンテンツは「良質である」と認識されて、PIXと呼ばれる暗号通貨を獲得できる仕組みとなっている。

投稿すること、投稿が良質であることでトークンが稼げる、というのが「web3版SNS」類の共通構造です。

しかし投稿すると稼げるのはなぜでしょう?
多くの人が腹落ちしないのはこの部分です。

運営会社がコンテンツを仕入れる予算を使って投稿者に対価を支払っているなら納得できます。

従来のように広告収益の一部を投稿者に還元するモデルでも納得できます。
投稿者は投稿労力×多く見られる良質さ係数で報酬を得ますし、閲覧者・視聴者は無料で楽しめる代わりにプライバシー情報を捧げ、広告収益という原資を得ることに貢献します。

音楽や映像のサブスクも納得できます。エンドユーザーのサブスク会費を原資に音楽や映像のクリエイターが再生数に応じて収益分配を得ます。

つまりお金の出どころ、原資がはっきりしていれば納得できます。

しかしweb3版SNSは広告なし・プライバシー提供なし、ユーザー課金なしなのに投稿者は稼げると謳います。

このへんが最初は取っつきづらい、怪しげに見える部分かもしれません。


多くのto Earnプロジェクトの仕組み

・稼ぎたい人は初期費で高額なNFTを購入し、そのNFT売上を投稿報酬に充てる
・払い出す報酬は独自トークン。トークン自体は運営者がブロックチェーンデータとしてゼロから発行でき、それ自体には本来価値がないため、もらって嬉しいかは最初わかりづらい。
・発行した独自トークンがIEO(暗号資産取引所に上場)され需給が発生すると金銭価値が発生し出す。

が多くのto Earn系の構造です。最後の「IEO時になぜ需給価値を生むのか」にも構造があるのですがいったん置いておきます。

STEPNの「歩くと稼げる」、Sleep to Earn系サービスの「寝るだけで稼げる」に直感的な違和感を感じるのは「歩く」「寝る」がお金を生み出すように思えないからです。

運動データや睡眠データを医療機関に売って分配原資を得ます、だとしても、1か月に何万円も稼げるようなデータ価値はないことを皆感じています。


「Pixie」は広告モデル

「Pixie」の投稿すると稼げる基本的な仕組みは広告モデルです。

1.広告掲載
広告掲載料は、Pixieのユーザー数が一定以上になるとPIXで支払う必要があります。
2.Pixieエディタ
これはPixieアプリ内のNFT編集ツールで、アンロックするためにPIXで支払う必要があります。

したがって、外部からの資金が継続的に流入することで、Pixieは経済的にクローズドループ化し、長期的に持続可能なプロジェクトとなります。特に、これから開始する広告システムについては、その傾向が強いです。

企業が支払う広告予算がPixieに投じられ、それが投稿者への分配金の原資になります。かつPIXトークンの買い圧になります。

ユーザー数が多くなり、投稿内容や閲覧内容の傾向からターゲティングができるようになれば、広告効率が上がり単価も上がるかもしれません。

Pixieエディタという事実上「投稿者になるための権利NFT」の販売の仕組みは従来のSTEPNの「シューズNFTを買う」のと同じ仕組みで、こちらは投稿者の数を抑制してしまいそうです。特にエディタNFTの値段が上がりすぎると新規投稿者が増えづらくなるうえ、エディタNFTの値上がり差益狙いで売却利確して既存投稿者もいなくなるリスクがありそうです。

PIXの使い道が広告費の支払いやPixieエディタへの支払いのみだとユーティリティが狭いのも懸念点です。稼いだPIXをUSDTなどで利確売りする量が増えればPIXは値下がりします。

独自トークンの売り圧を下げ循環を促すユーティリティの拡張は独自トークンを発行するweb3プロジェクト皆の課題です。


web3型SNSの成功モデルを皆模索中

まだweb3型SNSは成功モデルがないためいろいろ模索中の段階。ひとつ頭抜けて成功したプロジェクトが生まれれば、それを真似しブラッシュアップすることで進化します。

広告予算などユーザーの初期課金に依存しない外貨の獲得は非常に重要な要素のひとつです。

広告予算を原資に投稿者が稼げるというとYouTubeでも既に実現されていてWeb2.0と何が違うのか?と思われるかもしれませんが、どうやってweb3らしさを作っていくのか自体もまだまだ模索中で、一足飛びに純度の高いweb3には行かずWeb2.1やWeb2.0.1のような段階を踏むのかもしれません。

正解はまだ見つかっていませんが、投稿者に1円も還元がなく閲覧者はましてや収益化の方法がないWeb2.0型SNSが多い中で、投稿者も閲覧者も収益化の方法を提供する発想に向かっているのは今のweb3型SNSのトレンドです。

今年後半には触れられるweb3型SNSが増えてくるでしょう。最初は独自トークンの乱立に戸惑うかもしれませんが、乱立期を経て収益化の方法が全くないWeb2.0型SNSが古く見えてくる時期が来るはず。その中から成功モデルが現れることで既存SNSのトークン導入も含めてweb3化が加速するだろうと、期待込みで予想しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?