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『生成AI・チャットボット・生身のNPC、遠隔操作アバターまで、NPCっぽいものを集めてみた』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.2.10

先進テックで未来の生活はもっと良くなる!」と信じて、Web3・AI・ガジェットなどのデイリーニュースから毎日ひとつピックアップしてご紹介しています。

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・ゲームNPC彼女(人間)

なにげなくYouTubeを眺めていたら、ゲームNPCをまねている実在の人間のショート動画「ゲームNPC彼女」がレコメンドされていました。

焦点の合わない目、プラスチッキーな無表情さ、繰り返す無意味な動きはまさしくNPC。たぶん会話も古風なNPCっぽく決められたセリフを繰り返すのでしょう。

最近のゲームは実写ライクなものもありますので、よりNPCっぽく見えます。

生身の人間がNPCをやる面白みも今っぽいなと思いますし、ふと見ればChatGPTが流行って以後に「NPCっぽいもの」がたくさん出てきたなぁと思い返しました。

厳密にはNPCじゃないぞってものや、もっと前からあるものも混じりますが、「NPCっぽいもの」を集めてみました。

NPCやNPCっぽいものが普及するにつれ、社会は結構大きく変わると考えています。AI NPC普及によって社会はどのように変わるのでしょうか。


・多言語AI接客サイネージ

駅ナカや役所などに設置されていますね。
質問応対役のチャットボットで、人間のスタッフが忙しい時でも質問専属として稼働できるほか、多言語対応や膨大なデータベースを持っていることなど、人間ではできないことができるのがウリです。

しかし実際、使われませんよね。

だいたいのことがスマホ検索でわかりますし、人間のスタッフに尋ねる必要がある時はトラブル時や複雑な課題であることが多く、人間のスタッフの代わりにならないケースが多いと思います。

アバターを表示するのも話しやすさの演出かもしれませんが、個人的には(選択肢を選んでいるだけであっても)アバターに話しかけている姿を見られるのは恥ずかしいので、単なる質問BOXのほうがありがたいです。


・人型ロボット

デジタルサイネージの画面板にアバターが映し出されているだけだと必然性が感じにくいのですが、ペッパーくんに代表される人型ロボットはサイネージよりは必然性や没入感を感じます。

ペッパーくんは見た目が人型なだけで運動性能はほぼなく、またChatGPT登場以前のものなので応答性能も低いのですが、質問応対役としてはサイネージより稼働率が高いんじゃないかと思います。

対して、回転寿司屋やファストフード店の予約や注文の受付に使うならサイネージでいいと思います。そのサイネージにアバターも映す必要はなく、多くの店ではシンプルなUIになっています。

究極は汎用人型ロボットなのでしょう。今のところSFっぽいですが、ちゃくちゃくと実用化に近づいているようです。


・ネコ型配膳ロボット

ファミレスで急増しているネコ型配膳ロボットは、話しかけることも応答してくれることもありませんが、ネコ型の見た目であることの意味はあるんじゃないかと思います。

ネコ型の顔を持っているおかげでお客さんに怒られにくいはずです、きっと。

動きは遅いし、通路にいる時に邪魔だと思うこともあります。もしネコ型の顔を持っていなければ、店員にクレームを言う人も出てくるんじゃないでしょうか。

擬人化しやすいネコ型にしたのも効果的だった。

ベラボットは、液晶画面の「顔」に、ウインクや居眠り顔、困り顔など数十種類の表情が設定されていて、親しみやすさを演出している。

大阪にある「ガスト西中島店」ではベラボットに「とんかつ」「ぷりん」と名札をつけていて、その様子をTwitterに投稿すると29万もの“いいね”がついたという。

クリスマスには全導入店でベラボットに装飾を施したり、ハロウィーンでは独自に「コスプレ」させている店舗もあるとか。本物のネコが駅長や店長として親しまれる例もあるし、ロボットが店の顔となっても不思議はない。

サイネージに映った質問応対アバターはさっぱり愛着を持たれませんが、ネコ型配膳ロボットはすっかりアイドルです。

3カ所につけられたセンサーで、人やモノだけでなく、床に落ちたゴミといった小さい障害物すらも避ける。高性能な音声AIを組み込んであり、日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語に対応している。かわいい顔しながら、スゴイロボットなのだ。

実は、6か国語しゃべれるそうです。話しているところを見たことはないですけれど。


・向こう側に人がいる、リモート店員

お店で働くロボットという意味ではペッパーくんやネコ型配膳ロボットと同じですが、こちらは人間が向こう側で操作しています。

OriHime-D(オリヒメディー)は、テレワークをしている人が遠隔で接客やものを運ぶなど、身体労働を伴う業務を可能にする、全長約120cmの分身ロボットです。日本財団さま・ANA AVATARさまの協力の元で開発されました。

障がい者が遠隔地からカフェなどで接客する「分身ロボット」と位置付けられているOriHime-Dは、人間の目や耳、手足が遠くまで伸びているような感覚です。

MMORPGでいうPC(プレイヤーキャラクター)と同じように向こう側の人がいてボイスチャットができるのは同じ。現実世界でフィジカルなロボットボディを持っているのが違いです。

羽田空港の受付ロボット「MORK」
「MORK」を操作する様子

今も稼働しているのかわかりませんが、2020年の記事で紹介されていた羽田空港の受付ロボット「MORK」も、ゲームコントローラーとヘッドセットを使って人間が遠隔操作しています。

ローソンではサイネージにアニメ画風のアバター店員を映したリモートワーク店員の実証実験を行っていました。

かなり前にご紹介しましたが、ローソンがリモート店員の実証実験を行っています。

リモート店員が機能するなら、自宅からなら働ける人をバイト採用できたり、遠方の都道府県のスタッフを採用するなどして人手不足を解消できるかもしれません。

しかし今のところ、遠隔操作スタッフはローソンのオフィスに出勤する必要があるようです。また、都道府県をまたいだリモートバイトは店舗所在地の最低賃金が適用されるため、大都市のバイト募集に地方の人が応募するとメリットがある反面、人手不足が顕著な地方の店舗では人口の多い大都市からは働き手が募りにくいというデメリットもあるでしょう。

あと個人的な印象ですが、質問をするような会話相手なら平板なサイネージよりもロボット型のほうがいいんじゃないかと思います。


・AI NPC行動観察ゲーム「Ememe」

『Ememe』は、自動でストーリーが生成されるAI-NPCの行動観察バラエティゲーム。舞台となる街Ememe Townには、AIキャラクターたちが暮らしており、自律的に会話、行動しながらキャラクター同士の関係性を作って、好き勝手に日常生活を送っているという。

本作にてプレイヤーは、この街に住む新たなAIキャラクターを生み出し、彼らの性格を設定できるほか、時にストーリーを操作することも可能とのこと。開発元は、ジム・キャリー氏主演の映画「トゥルーマン・ショー」のように、AIキャラクターのリアリティードラマを創作できるとアピールしている。

ChatGPTをはじめとするLLMの登場でチャットボットが一気に進化しました。おかげでゲーム内のNPCも人間らしくバリエーション豊かに話すようになりつつあります。

今夏Steamで無料配信予定の「Ememe」は、NPCを観察したりNPCと会話したり新しいNPCを作ったりすること自体を楽しむメタ的なゲームです。

この動画を「ストーリー(時間割スケジュール)もAI生成、登場する人物も全部AI NPC」と思いながら見ると、ちょっとゾワッとします。アバターの向こう側に操作している人間がいないのかーと不思議な感覚です。


・メタバース過疎化対策NPC

ドコモがメタバースの過疎化対策にNPCを生成AIで生み出すソリューションを発表しました。

ゲームにもNPCがいるのでNPCだからダメってことはもちろんありません。まったく人がいないよりは確かに不安になりにくいとは思うのですが、多くのメタバースの根本的な問題は

・お城など街のランドマークを用意するだけの箱モノ発想
・コンテンツなし
・イベントなし
・集客のための広告宣伝なし

のほうです。NPCがいればいいって話じゃないはず。

AI NPCで過疎化を解決するなら「Ememe」のようにNPCと戯れること自体をコンセプトにするくらい振り切った方がいいと思います。

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■AI NPC浸透による「慣れ」が新しい仕事を生む

こうしてみてみると、オンラインでもオフラインでも、ロボットでもアバターでも、人間のNPC置き換えが試みられていると見えます。一方で、現時点での技術的な限界から、完全な置き換えにはまだまだ時間がかかりそうだということもわかります。

完全に置き換え可能なAI NPCが登場するまでの期間は、人間がNPCに慣れるために必要なのかもしれません。

ネコ型配膳ロボットに愛着を感じ、「Ememe」でAI NPC自体を楽しむメタ的体験を積み、ゲームやメタバースで賢いAI NPCに感心したりという経験を通じて、人間側がAI NPC=人ではないものとのコミュニケーションを訓練していると捉えるとどうでしょうか。

NPCの社会実装の障壁は「人間の慣れ」が大きいと考えています。
慣れてしまえば普及は早いはずです。

NPCが普及していけば、裏側で人間が操作しているけれど見た目がロボットやアバターというタイプのものも違和感を感じる人が減るでしょう。

そうなれば、OriHime-Dのように障がい者に働く機会を提供できたり、ローソンのような新しいリモートワークのかたちが生まれたり、

より高い賃金が得られるドル払い副業のリモートワークの機会も増えそうです。AIが不完全だからこそ生まれる新しい仕事形態が、AIが仕事を奪う論と同時に起きそうです。

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