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【依頼】結婚式のウェルカムボード

今はパッタリなくなってしまったが、結婚式にまつわる様々なことを依頼されることが多かった。一番多かったのが余興。Rolandのシンセを背負って前日には現地入りし、司会の方と綿密に打ち合わせをし、ホテル近くの飲み屋で地元のおじさん達と飲み明かし、本番に挑むというのがいつものパターンだった。式で流れる馴れ初めVTRも作ったし、ウェルカムボードも作った。

変わり種だったのが、新郎新婦にTシャツをプレゼントしたいという新郎のお父さんからの依頼だった。「Tシャツ作ってんすよー。」と飲み会の時に話すと、ほとんどはその場限りのリアクションで後には繋がらないのだが、時々モノ凄い反応をいただくことがある。「来月が式で息子に記念Tシャツを送りたいんだがぁ。」と全く知らないカップルが寄り添う写真を見せられた時、これはマジのやつだ。と驚いた。依頼を受ける際に真っ先にお伝えすることなんだが、俺がTシャツを作る際の工法ではあんまり細かい絵柄は作れないことを先方に伝える。マンガっぽくなるけどいいっすか?と。マンガみたいでも良いから、Tシャツをお願いしたいと承諾をもらったので早速、製作にとりかかる。依頼されたら断れないので、いつも依頼された後に悩むのだが、空想のモノだったり無形のものを絵柄にするのは超得意なんだが、似顔絵が苦手なのだ。似顔絵を描いて似たことがない。しかも、カッティングしやすいように極力少ない線で晴れの日を迎える二人を表現しないといけない。困った、本当に困った。でも、式はもうすぐなので間に合わせないといけない。人間追い込まれると未知の力が発揮できる。訳もなく、草案を送って「これどうっすか?」と確認作業が続く。


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↑写真を模写したバージョン

依頼主「うーん、嫁さんはしわが多いかなぁ。もっとスッキリさせたい。」




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↑スッキリさせてみたバージョン

依頼主「嫁さんは良くなったけど、息子は優しすぎかも。。。」

というやりとりを繰り返す。

最終的な絵柄が完成した。完成したと思ったら、式のTシャツと同じ絵柄をウェルカムボードにしたいんだが、という追加発注が入る。プリントでウェルカムボード。考えもしなかったが布にプリントすれば出来てしまう。
「なるほどぉ。」と感心する暇もなくウェルカムボード用の絵柄作成。新郎にはタキシードを着せたいと、衣装合わせの写真が送られてきた。写真を見ながら服を書き込む。Tシャツ、ウェルカムボードの最終稿を送り、了解を貰えたのでTシャツ、白い布にプリントをする。

「ありがとうございます。父親の挨拶がんばります」

というお礼のメールが届く。後日、式場の入口に俺が作ったウェルカムボードが飾られた写真が送られてきて、これは現実だったのだ。と実感した。

プリントの先代はラーメン屋の暖簾を依頼されて作っていたと話していたので、Tシャツに限らず布全般。さらにはシートをステッカータイプに変えれば車にも貼れるので、プリントの無限の可能性を感じた出来事だった。

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