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【ミャンマークーデター】ミャンマーとコロナウイルス

6月になって、コロナウイルス第3波の懸念が大きくなりました。

ヤンゴンでも200名以上の生徒が集団感染する学校もあり、コロナによるダメージも刻々と迫ってきている印象です。

(しかし、街中はコロナ対策はほとんどなく、あまり気にしている人も多くない様子)

あまり大きくは報じられませんが一部地域(インド国境を接するチン州)では
すでに学校閉鎖・ロックダウンになっているそうです。

昨年3月下旬から始まったミャンマーのコロナの約1年間を今回はまとめたいと思います。

1、ミャンマーのコロナ(第1波〜第2波)

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ミャンマーにコロナウイルスが入ってきたのは2020年3月下旬です。

フランス人観光客とそのツアーガイドによって感染が確認されました。

その後、1日1人〜5人程度、当時は、重傷者や死者はほとんどいません。

10名ほどの感染者数で、

・空港閉鎖
・ビザ発給中止
・外国人入国禁止

など、1週間で鎖国が完成しました。

アジアNO1くらいのスピード感で感染症対策が進みました。

その後4月末までには

・マスクしていないと罰金
・スーパーや医薬品以外営業禁止
・デリバリーは可能でしたが
 飲食店もクローズのお店多め
・20時以降外出禁止

・エリアごとのロックダウンで
 地区をまたぐ移動の禁止
→東京で例えると港区から品川区への移動が禁止
(ヤンゴンは地区が小さいので
 日本橋から銀座は許可無しの移動できない、
 くらいの距離感だと思います。)

・感染者や濃厚接触者のいる
 建物ごとロックダウン!
→同じマンションで感染者が発覚したら
 マンション住民全員外出禁止。

・感染者・濃厚接触者は隔離施設へ

など、強硬的な政策でした。

ミャンマーは4月はお正月で、水掛祭りで例年盛り上がりますが、お祭りは中止、街はゴーストタウンになりました。

営業停止命令をされても国からの保証は一切されません。

補助金もなく、享受できたのは電気代8ドル分の無料のみです。

これでも、ヤンゴンの治安は荒れず、大きな騒動はありませんでした。

むしろ、スーチー氏の企画した手作りマスク大会で盛り上がるなど、

経済よりも、感染対策を最優先させる流れとなり、1ヶ月強くらいで封じ込めに成功しました。

6月〜8月には、国内感染0人が続き、

・国内旅行の解禁
・高校の開校(8月のみ)
・移動の自由
・店内飲食可
・娯楽施設開業
・工場100%稼働
・24時までの外出許可

など、感染対策をしつつ、日常が戻りました。

しかし、8月下旬には第2波がインド・バングラデシュ国境より到来し
再びロックダウン。

発生元はラカイン州のインドからの不法入国者やロヒンギャキャンプ出入り者からの感染などが疑われました。

(ロヒンギャキャンプでは感染は続いていたとされますが”国民”という認識ではなかったために感染者のカウントがされていない、という話も)

第1波では封じ込め成功していたと思われますが、
第2波の変種株の陽性率は高く

陽性率10%、感染者数2000人など

東南アジアでもトップレベルの感染者数となり一気に死者数も増加。

第1波と同じくらいの厳しいロックダウンが12月頃まで続きました。

しかし、11月8日の総選挙以降、感染対策はマンネリ化し、
ロックダウン中にも関わらず、街は渋滞し、公園に人が密に集まりました。

さらに1月頃には飲食店は営業禁止でしたが2階の個室や店内の奥の方・・・
など、店内飲食可能のお店も出てきました。

喫茶店などは大々的に営業しているところもあり規制はだいぶ緩くなったところでクーデターの発生でした。

2、コロナでの日常

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ここまでで、時系列でミャンマーのコロナ第1波〜第2波を振り返りました。

2020年4月のロックダウンは本当に厳しいものでしたがやはり慣れてくると普通に戻ります。

<厳しいロックダウン時期>

・国内移動禁止
・5人以上の集会禁止
・買い物は一家に1名
(病院のみ2名可)
・20時以降外出禁止
・マスク非着用者は罰金
・飲食はデリバリーのみ、
 日用品店は営業可
・建物から感染者発覚した場合、
住民全員21日間の外出禁止
(差し入れも日時が厳しく決まる・・・)

・地区をまたぐ移動は区からの許可書!
(日本橋から銀座に行くのに、各町の
 許可書が必要と通達あるが、誰も
 取得方法も、発行方法も知らない・・・笑)

など、監視体制も厳しいものでした。

しかし緩まると
一気に緩まるのがミャンマーの特徴です。

<ゆるい感染症対策時期6月〜8月、11月〜1月頃>

・レストランの闇営業
(奥部屋の提供、2階での飲食OKなど)

・飲食店に行けないので公園に人が集まる
→公園封鎖に

・ショッピングモールの営業開始で人が集まる
・24時まで外出許可
・地区間移動可能
・国内移動OK
・一部学校の再開
・塾・日本語学校の再開
・地方に戻った学生・若者が都市部に戻り始める
・技能実習・留学など条件付き国外渡航可能
・ODA・大企業などの条件付き渡航開始
・建物ごとロックダウンはなくなる!
・マスク非着用者増える
(非着用でも罰金が安くなったため)

と、感染症対策をしつつも日常が戻り始めました。

お坊さんやボランティアによる英語のオンライン授業や
語学教室のオンライン化、企業のテレワークは一気に増えました。

GDP成長率もコロナ禍と言われながらも6%という予測もあったくらい新しい形態のビジネス、働き方にシフトし、そのやり方を受け入れて経済を立て直す方向でした。

さらに、foodpanda、Grabfood、HiSoなどフードデリバリーが増え
家にいながら快適な生活を送ることができました。

東南アジアあるあるですが、ヤンゴンの渋滞もひどく、3キロ先のお店まで行くのに30分かかることもあります。

タクシーが捕まらないことも多々あり移動が大変です。

その中、デリバリーの普及やテレワークの働き方が一般化したのは
生活者にとっては本当にありがたい変化です。

しかし、(今もですが)長い自宅待機期間があると、

その反動で外出が増え、渋滞も増えたのも現状です。

工場労働、日雇い労働も多いので出勤のための外出、
塾などの学びのための外出、
家族と過ごすための外出、
娯楽のための外出、

なども増えました。

ですので、

厳しい自宅待機措置→外出→感染増加

のループは中々なくなることはなく今の第3波に至る可能性も。

3、クーデター下でのコロナ第3波とワクチン

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まず、ミャンマーでのワクチン接種に関して。

ワクチンは、インドと中国から購入しています。

ミャンマーの財閥・銀行系企業の寄付によって購入したと聞いています。

ワクチン購入が寄付ってすごいですね・・・

ワクチンが到着し、接種が開始されたのは1月頃です。

日本よりも早くワクチン接種の準備が行われ私のような外国人にも
ワクチン接種希望表のようなアンケートが回ってきました。

しかし、その後クーデターが起きたため、軍事政権によって管理されるようになりました。

2月中旬頃からワクチン接種は進み、軍部中心に外国人含め一般市民も受けています。

今は、中国からのワクチンも到着し一般市民の多くにワクチンが渡るようになっていますが現状は余っています。

その理由としては、中国が軍事政権に加担しているため、

「中国製ボイコット」の一環。

これは、不幸中の幸いかもしれません。

まだ治験も十分でないのでもう少し接種は待っていただきたいところです・・。

というよりも、数ヶ月で開発された薬・ワクチンよりも、何十年も培った自身の免疫力を信じてほしいと個人的には思います。

ワクチン接種に関しては色々ご意見あるかと思いますが、現実として迫ってきているのはコロナ第3波による医療体制と軍事政権との経済的ダブルダメージです。

コロナ第3波の懸念がされたのは5月下旬頃からです。

インドと国境を接するチン州ではすでにロックダウン、学校閉鎖、
感染率12%となりました。

(あまり正確な統計ではなさそうですが)
今週は600人超となりました。

コロナ第1波では、たった1名感染が発生した段階でエリアのロックダウン、マンション閉鎖などほんと厳しい処置!!

でしたので、その頃に比べるとだいぶ緩くなった
(コロナが怖いものではなくなった)
という印象です。

街中ではマスクしていない人も多く、建物に入る前の体温検査も形骸化されています。

飲食店も満員のお店もあり、渋滞も戻り始め、土日はショッピングモールも人で溢れます。

「軍事政権」という状況がなければ本来の街の姿です。

しかし、そのような中で重症患者が増えた場合、

クーデターの二次被害のようになってしまいます。

医療に関しては現在は医療従事者のCDM(不服従運動)のためコロナ治療ができるような大きな病院には、医者がいません。

小さな診療所という形で医療活動をされていたり家や、場所借り、ボランティアで医療をされています。

また、大きな病院を軍が支配しているため中々気軽に行けるような場所ではありません。

その中、重症患者が増えたらどのように処置をするのか・・・

クーデターの直接的な影響ではなくても犠牲になる命が増えてしまいます。

さらに、経済的ダメージによる貧困・飢餓の可能性もさらに高くなります。

(すでに2021年末に48%が1日1ドル以下の貧困層になると警鐘あり)

22時以降外出禁止のため、飲食店の営業時間は21時までのお店がほとんどです。

もともと20時以降、外出禁止令でしたので19時までのお店も多くあります。

飲み会は16時スタート、日が暮れる19時には解散、もしくは、ランチで解散、というライフスタイルも定着している人が多いのではないでしょうか。

飲食店にとっては外資・ローカル含め夜の営業時間が短縮されることは経営に大打撃です。

さらに、ロックダウンとなれば飲食店、小売店、卸売、農家・・・
と経済的影響は計り知れません。

今週になって、日本食料理店や美容院も何店舗か休業となりました。

国際的な大手ホテルも無期限休業、サービスの縮小になりました。

激しい戦闘地区ではなくても雇用主、雇われ側両者の苦しみ、悔しさ、葛藤は表現のしようもありません。

軍政下での初めてのロックダウンがどのような状況になり、

どんなダメージをもたらすのか・・・

予測できない部分もありますが今できる物質的な備蓄や
経済的な備えと支援を進めていきたいところです。

4、(備忘録)コロナ隔離

ちなみにわたくし、

昨年4月に感染者との接触疑惑でホテル隔離を経験した時の記録があるので昨年の様子を知りたい方はこちらをどうぞ。

まだ感染者数も多くなく(60名ほど)、ボランティアスタッフや寄付が盛んに行われていた頃なので

異国の地で申し訳ないくらいとても手厚い対応(遠隔で)をしていただきました・・。

兎にも角にも、コロナとクーデターのダブルパンチによる経済的ダメージは計り知れないもの・・・

二次被害のように亡くなる命がないように願います。

そして、少しでも、経済の循環を回せるように一消費者として、一事業者としてのあり方を考えていきたいと思う毎日です。


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