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前向きなお別れ

 色々あって私物を断捨離することになった。衣類や書籍、大きな物から小さな物まで。洋服タンス三段分を占領していた着物類も二段分まで減った。
 手持ちの中には新品の浴衣や半幅帯もあるが、ほとんどがリサイクルやアンティークだ。
 着物仲間も皆無なので譲れない。メルカリに出そうにも点数が多い。私のように一人で着物を楽しんでいる人でも参加できるような、次の人に着物を譲れる場所があれば教えてほしい。
 結局、着物の買取業者に宅配買取をしてもらうことにした。一般ごみとして燃やされて灰になってしまうなら、二束三文でもいいから誰かの元に渡ってほしかった。それが「着物」という形ではなくても。
 これは前向きなお別れだ。
 こじんまりしたタンスを眺めては、しばらく着物——特に長着は増やさないと思っていた。ほんの数日前までは。

稲穂柄と、私が好きそうな鮮やかな赤

 11月12日は私の誕生日。自分への誕生日プレゼントに、夏物と木綿のリサイクル着物を買ってしまった。我ながら意志が弱い。
 本当のお別れはまだまだ先になりそうだ。

 追記。ウールやポリ、身丈の短いものは値段が付きにくいらしい。仕方ない。

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