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衣被(きぬかつぎ)

里芋が無人市に並ぶ頃になった。
最初に食べる時は、きぬかつぎにする。
皮つきのまま蒸して、塩で食べるシンプルな料理だ。
塩とオリーブオイルでもおいしい。

 庭にひょっこり

平安時代の女性は、外出する際に顔を隠すため被りものをする。
皮つきで蒸した里芋の、上だけ皮をむいている形が、ひとえの着物を被っている姿と似ているのでつけられた名だ。
被づく(かづく)から被づき(かづき)に転じてかつぎになったらしい。

韓国ドラマの時代物で女性が被っているのはチャンオッ、チャンウィというそうだ。

「鉢かづき姫」という御伽草子にでてくる物語がある。
母親が死ぬ時のお告げにより女の子は大きな鉢を頭に被せられ、取れなくなってしまう。
継母にいじめられて追い出され、入水するが、鉢で沈まず、公家に助けられその家の下女になる。

そして、公家の息子に求婚されるが、息子の母親に反対され無理難題を押し付けられる。
その時鉢がとれ、美しい顔があらわになった。
学識も優れていることがわかり、結婚を許されしあわせになったとさ、というおとぎ話である。

なんか連想で違う話になってしまった。
里芋に戻ろう。

中秋の名月は芋名月とも言われ、ススキ、団子と一緒にお供えする。
南九州では、関連して綱引きの行事もあり、島でも集落ごとにやる。
事前に各戸からススキの束を集め、そのススキで綱をつくるのだ。
ススキを持って行き、これは違うと言われ、しょげた移住者もいたっけ。

道路の真ん中に綱を置き、中心から西の住民と東の住民で引っ張り合う。
一度行ったきりなので不確かだが、休憩を挟み何度もやる。
中心の前には演台があり、浪曲のような語りうたが交代で延々と続く。

歌の内容が島のことではなく、ある男の女性遍歴のようなものなので不思議だった。
違う集落では、嫁姑の話だったというので、ますます変だ。
昔は相撲もやっていたらしい。
この行事も各集落で微妙に違うようだ。

二十三夜という月が出て沈むまで、朝まで飲んだり食べたりして、眠れない過酷な行事もある。
秋の行事は盛りだくさんである。

今朝の海岸 友人から
私は怖くて行けない

台風は大した風雨にならないで通過してくれた。
心配をおかけしました。
今日も読んでくださってありがとうございます。




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