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【安曇野から発信する潤一博士の目】32~アカマツの年輪は語る~

 前回、お話しましたように、森のおうち周辺のアカマツ切り株は86才と最年長のもの(図ー1、図ー2)では、①中心部分が粗く(幅広く)て、28±2年、②その外側が密で(幅狭く)、34±2年、③最も外側が再び粗く、29±2年でした。
 80才の切り株(図ー3、図ー4)では、①中心部分が粗く、17±2年、②その外側が密で、33±2年、③最も外側が再び粗く、29±2年でした。
 上記の年輪構成は、中心部分は幼木~若木時代で日当たりが良く、成長が早いので年輪の幅が広くなっています。その外側は、木が成長し、森が混んできて、日当たりが悪く、成長がゆっくりだったことを示しています。
最も外側は、共に、29年間を示し、再び成長が盛んになったことを示しています。その転機となった29年前とは、1984年にあたり、森のおうちオープンの年でした。
森のおうちの建設は、1983年に始まり、何本かのアカマツが伐採されました。残ったアカマツは、日当たりが良くなり、再び成長が促進されたことを物語っています。
 植物に対する、環境の影響が、いかに強いかを実感した次第でした。
 再び、更地となった森のおうち周辺では充分な日差を受けて、実生のアカマツの幼木がたくさん育っています(図ー5)。この幼木たちの行く末は?


図ー1、86才、最年長のアカマツ(直径62㎝)
図ー2
図ー3、80才(直径60㎝)
図ー4
図ー5、実生のアカマツ幼木

 


(地質学者・理学博士 酒井 潤一)


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