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【安曇野から発信する潤一博士の目】22~木曽ヒノキと赤沢自然休養林

   上松町西方の山地(海抜1080m~1558m)に、赤沢自然休養林(728ヘクタール)がある。ここには、1980年当時で、平均樹齢280~300年のヒノキ、サワラ、アスナロを主とする森林が広がっている。この三者に、ネズコ(クロベ)、コウヤマキを加えて、木曽五本と呼ばれる。この平均樹齢は、現在(2022年)では320年~340年ということになる。
 赤沢をはじめ、木曽谷のヒノキ林は、江戸時代初期に、一度は伐採されており、その後に成立した自然林である。平均樹齢が、1980年当時で、280~300年とそろっているのは、その歴史的な反映である。長野営林局による調査では、昔の切り株には1000年を越えるものも多く、江戸時代初頭には、樹齢1000年を越える原生林が広がっていたものと推測されている。
 私は、1977~1978年に、長野営林局の依頼により、ヒノキ林がどのように成立してきたのかを解明する調査・研究を行い、大変面白い成果を得た【酒井潤一(1980):木曽ヒノキ林の花粉分析・層位等の研究調査報告書、長野営林局】。次回に紹介したい。

遊歩道

木曽五本

*ヒノキ:ヒノキ科ヒノキ属
*サワラ:ヒノキ科ヒノキ属
*アスナロ:ヒノキ科アスナロ属
*ネズコ(クロベ):ヒノキ科ネズコ属
*コウヤマキ:コウヤマキ科コウヤマキ属(一属一種で日本にのみ分布)

園内に入った所。ここまで車で来られる。
ヒノキ林(左端はアスナロ)
サワラの裏側(X字模様)                                 ヒノキの裏側(Y字模様)

赤沢の河床に残る「床堰(トコゼキ)」の跡

   江戸時代には、川をせき止めてダムをつくり一気に流して材木を共に流した。道路も林鉄もなかった頃の、唯一の運搬方法。

「床堰(トコゼキ)」の跡
観光用に走る森林鉄道
観光用に走る森林鉄道
奥地に残る林鉄の線路跡
線路脇にカモシカが見える(写真左側)

(地質学者・理学博士 酒井 潤一)

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