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スティーヴィー•ニックス Rock a Little

最近、カセットテープが、再評価されてるらしいです。レコードのようなアナログの温かい音や手書きのプレイリストみたいな手作り感が人気の理由のようですね。

カセットテープ、昔はたくさん持ってましたけど、遠の昔に処分しました。ただ、人からもらった「お気に入り曲テープ」は今でもいくつか持っていて、これは人の気持ちなので捨てられません。(捨てたのもあるけど)

1984年頃の学生時代、私、レンタルレコード店でバイトの店員をしていました。そのレンタルレコード店の常連客で、帰国子女のフジコという大学生がいまして、イメージとしては「しば漬け食べたい」のCMの山口美江さんです。(古い)

フジコは、えいペラです(英語ペラペラ)。お店に来て「エックスキューズミー、クリスマスのパーティー向けのグッドレコードありますか?」「ホイットニーヒューストンってNYの方?orキャリフォルニア?」って感じの話し方ですけど、気取ってる訳ではなくて社交性がある大学生です。私や店長先輩ともすぐに親しくなりました。

ある日、私が彼女に「本場外国の洋楽ってさぁ、どんなの聴いてたの?」「うーん〇〇とか〇〇とかです」「へぇ、ぜんぜん知らないなーどんな感じ?」「んもう、知らないんですか、じゃあ今度聞かせてあげますよ」と言って、後日彼女からもらったカセットテープがコレです。↓

最近実家で古いラジカセが出てきたので、30数年ぶりに、このテープを再生してみたら驚くことに想像以上にカセットって良い音です。サブスクと比べるとすぐ分かります。高音は抜けない感じですが、低音のレンジがサブスクより広い気がします。
そしてフジコミックスの曲はどれも、残念ながら私の好みではまったくありません!笑
例えばこんな感じ↓

どの曲も洒落たジャズダンス曲といった趣きで、私には全然だめでした。
でもフジコ手書きによる、Bon Voyage(良い旅を!)の文字がカッコイイので捨てられなかった…いやウソ、彼女と二人で一日過ごした日があったからだ。

レンタルレコード店がつぶれて間もない頃、始発駅で停車中の電車の中で偶然彼女と出くわして、私たちは二人でその日の学校をサボりました。
途中で電車を降りて喫茶店に向かい、日が暮れるまで、将来の事や就職の事を話して、別れました。

彼女には将来の計画があって目標がありました。聴いてる音楽は薄っぺらなのに。
私はというと、聴いてる音楽は濃いのに、将来の目標が薄っぺらでした。そんな甘っちょろい歳上の私に対しても、彼女は礼儀正しく向き合ってくれた一日でした。

お店にいた頃、このフジコ’Sミックステープをもらったので、私もお返しのカセットテープを作りました。
そのタイトルは、「ロック•ア•リトル」 
ちょっと残念だった彼女のジャズダンスカセットに対して「もうちょっとロックしてよ」という思いを込めた、アンサーテープです。

この手作りテープの一曲目は、スティーヴィー•ニックスの、「Talk to Me」↑
当時、新譜「ロックアリトル」が出ていたタイミングですし、80’sダンスビートがフジコさんの趣味に合うかなと思うので片面はそこから。あとの片面は自分の好きな曲、マリアマルダーの「真夜中のオアシス」ボニーレイットの「ラブバズノープライド」等です。
そして手書きで曲名を書きます。カセットテープは、この手作り感がイイですよね。

スティーヴィー•ニックス Rock a Little

1985年

本作はソロ前二作に比べると、やはりちょっとロックしています。私はレンタル店時代を思い出すのでこの本作が好きです。
彼女のソロで良いのは何と言っても1stの「麗しのベラドンナ」でしょう。そして2ndではリトルレッドコルベット…じゃなくてスタンドバックが印象的です。
でもソロよりバンドの方がイイかな。なんといってもフリートウッドマックですもの!

初めてフリートウッドマックを好きになったのは、S•ニックスが歌う、ドリームス。
彼女の声と雰囲気が好きでした。ランドスライド、サラ、ジプシー、艶があって風のようなニックスの歌が好きです。
その後「ソングバード」に惹かれてクリスティンマクビーの曲が好きになったり、リンジーバッキンガムこそ中核だと思って聴いていたり、ミックフリートウッドのソロがブルース調で良かったり、本当に長い間、フリートウッドマック様にはお世話になりました。

とりわけ、S•ニックスが一番気になる存在です。それにニックスのファッショナブルな姿勢は、いつもオシャレな姿で来店していたフジコ様を連想します。


ラジカセの固い再生ボタンを押すと、柔らかな音が流れてきました。カセットテープの回転が、遠い過去へと誘います。

手書きのタイトルが躍動しているように、
見えてきました。
Bon Voyage!人生 良い旅を
そうだね テープをありがとう

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