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PA(プロジェクト・アドベンチャー)を通して師匠から場づくりを学ぶin神山

徳島県神山町を訪れた。
桜がようやく咲きだした軽井沢とはまた違い、季節がぐっと進んで、桜は散り藤の花が美しく咲いていた。

ワークショップ会場のキャンプサイトにて かまパンをほおばる

風越学園でお世話になったKAI(甲斐崎博史)さんに同行しての神山入りだ。
ちなみにKAIさんに弟子認定はされていないけど、師匠であると思っている。

KAIさんは、学校現場を中心に、かれこれ30年間、アドベンチャー教育の実践を続けるプロフェッショナルだ。

↑こちらはアクティビティ集 
自分が教室でPAのアクティビティにチャレンジしていた時期、大変、お世話になった本。

↑ PA(プロジェクトアドベンチャー)の情報はこちら

↑KAIさんの実践の源流は、こちら長野県に本部のあるOBS


神山の高校でのワークショップ

今回、神山にある某高校1年生の関係づくりのためのPA(プロジェクトアドベンチャー)のワークショップがあり、そのワークショップのサポートで入らせてもらった。

風越時代にはなかなかたっぷりみることのできなかった、KAIさんの場づくりを間近で体感する素晴らしい体験になった。

野外でワークショップ中のKAIさん


今回は2日間+3時間のワークショップ。

先生方との事前ミーティングから「知り合う」ということを重きにおいたシークエンスがつくられて、テンポよくワークが進んだ。

フィクションの力を使う

特徴的だと思うのは、KAIさんのアクティビティーの導入は物語があることだ。

定番アクティビティの「パイプライン」では「これはビー玉…ではなくって、学びの種です」「学びの種は落としてはいけないし、あと戻りしてもいけない」といった具合だ。

「ビー玉を落としてはいけない」というのと「学びの種」というのとでは、些細なことのように思うが、アクティビティに入っていく導入としては、見逃せない要素だ。

パイプラインのワーク中のひとこま

「カレーライスは失敗したっていい」が基本的姿勢

今回、キャンプサイトでグループで火をおこしてカレーライスをグループでつくるという活動があった。

「カレーライスづくりだって、チャレンジの活動。教師にあれこれ言われてつくれても意味がない。自分たちで試行錯誤することが大事。結果、失敗したって価値があるんだ」

ここがKAIさんの基本姿勢。


「どのように失敗体験を積むか」

ワークショップの最初は、とにかく失敗をたくさんして、「失敗しても大丈夫」「失敗しても、またやり直せる」をたくさん経験するアクティビティを行う。

いきなり、ペアワークやグループワークで失敗するんじゃなくて、ファシリテーターとのやりとりの中で、まずはたくさん失敗する経験を積む。

「失敗オッケー!」「またチャレンジできる!」ということを体験とフィードバックから、「ここでは、これでオッケーなんだ」という安心・安全の感覚がつくられていった。

最後のアクティビティ 課題解決型の「一番星」にチャレンジ

アセスメントの視点

アセスメントは、大きく2つあるように思う。
1つはチームのアセスメント。
もう1つは個々のアセスメント。
この2つを視点で、アクティビティのシークエンスをつくっていた。


チームに焦点をあてすぎると…

PAは基本的にはチームビルディングで使われるので、「チーム」だけにアセスメントをしがちだ。

振り返りの視点も「チーム」に視点をあてがちだが、KAIさんはチームの中の「個人」をとても大切にする。

チームの成果に焦点をあてると、成果を出すために、一部の人が力を発揮して、他の人はモヤモヤしてても、「成果出てるからいいじゃん!」となりがち。
それって、みんながハッピーにいられるコミュニティーではないよね。

「いつの頃からか、オレは学級目標をつくらなくなった」と聞いたことがあるが、そのエピソードからもKAIさんが何を大事にしているのかが伺えた。

はっとした振り返りの時間

振り返りの前の「体験の共有」

「やっていたとき、何を感じましたか?」
「アクティビティが終わった、今、何を感じていますか?」
それは「感情」についての問いだった。

生徒たちは、最初は、やや困惑しながらも対話をしていた。

「やってみてどうだった?」という行動についての、振り返りをすることはだれもが経験あるだろうけど、なかなか感情にフォーカスあてた振り返りって経験はあまりないんじゃないだろうか。


行動に焦点をあてると、どうしたって、先生から求められている、いいこと言いがち。そこには評価(ジャッジ)が入る。

しかし感情は評価しようがない。

しるらないカードを使ったおしゃべり

行動の根っこには「感情」があるよね

「協力が大事なんて、みんな分かっている。
で、協力が大事ですって振り返りで言うけど、できないんだ。

「その時、どんな気持ちだったの?」
って、聞くと、「だって、あいつのあれがすげーやなんだもん」ということが出てくる。

事後ミーティングでのKAIさんの言葉がとても印象に残った。

「個人の感情」を扱うことで、行動につながっていく。
行動の根っこには、感情があるんだね。


「自分はどのように在りたいか」

「1年後、自分はどう在りたいのか」を1人で考えて紙に書いてください。
達成目標じゃないよ。在りたい自分だよ。

たっぷり2日間、体験したことをもとに、しっとりと自分に向き合う時間が流れた。

「達成目標」もわるくはないけど、学校は会社じゃない。
やっぱり、どこか嘘っぽさや評価が入ったような言葉がならんで、それは立てっぱなしの目標になりがち。(経験済み)

「在りたい自分」って自然でいいよなあ。
「大人もそんなふうに聞かれると、やるぞー!って気持ちになりそうだなあ」
そんなふうに思った。

在りたい自分を実現するための学級

「在りたい自分が実現できそうな、チームってどんなチーム?」
次に、チームに対する視点で問いが投げかけられた。

最後の最後に、チームのキーワードがたくさんならんだ


「いいチームをつくりたい」
「いい学級にしたい」
と言うけれど、でも、それは一体、何のため?

チームや学級を上位におくと、どうもおかしなことになる。
振り返りでの、KAIさんの視点は、特にハッとさせられることが多かった。


「中学ではあんまり友達ができなかった。でも、ここなら、友達づくり、関係づくりをやっていけそうだと思う」と発言していた生徒がいた。
そんなふうに思えるコミュニティーは、どんなコミュニティーなんだろうなあ…と、高校生の姿からも、さまざま刺激をもらった。


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