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【報告】プラムヴィレッジ・マインドフルネス日本ツアー2024 Being Peace 「マインドフルネスの実践と智慧」


ティク・ナット・ハン師の書を神父様に手渡すシスター・リン・ニェム


 「あなたが真に幸福なクリスチャンであるとき、あなたは仏教者でもあるのです」
ティク・ナット・ハン師
 
 来日されたプラムヴィレッジ僧侶団が、広島の修道院でマインドフルネスの実践をシェアする機会があるという。

  会場の「イエズス会聖ヨハネ修道院 黙想の家」は、キリスト系の建物にしては珍しく和風建築で、会場の聖堂も和室だった。建設された1938年ごろは戦時色が濃くなり、安芸門徒や近辺の建物との調和に配慮して、和風を基調とした建物になったそうだ。

 シスター・リン・ニェムは気づき(マインドフルネス)の大切さと、その実践方法を微笑みを絶やさずにお話しされた。マインドフルネスの実践は宗教に関係なく誰でもできると言われ、キリスト者を考慮されたのか慈悲だけでなく、「慈悲と愛」という表現をされていたのが印象的だった。
 質疑応答では、シスター・キンがすぐにさまよう心をカエルに例えてユーモラスに回答された。

 原爆投下時、爆心地から4.5キロ離れていたこの建物も大きな被害を受けた。その中でも聖堂を被曝した人たちに解放し、当時の院長で医学の心得もあるアルペ神父が治療に当たったそうだ。

 実践は歌う瞑想と座る瞑想、そして最後はシスター・チャイがバイオリンで奏でる「アベ・マリア」で聞く瞑想をした。被曝をこえ、祈りの時を刻んできたこの場に慈悲と愛、マインドフルネスのエネルギーが満ちていく。

 私は仏教瞑想の修練を続けながら、東京の「イエズス会無原罪聖母修道院 せせらぎ」で柳田神父からキリスト教的ヴィパッサナー瞑想を出稽古(?)として学んでいた。教会のシスター・ブラザーに混ざり10日間に渡る合宿に2回ほど参加している。
 今回は得難い機会と申し込んだが、「あなたが真に幸福なクリスチャンなら、あなたは仏教者でもあるのです」
というタイの言葉、もしかしたら「「あなたが真に幸福な仏教者なら、あなたはクリスチャンでもあるのです」」とも言えるのかもしれない。この言葉の深いところに、少し触れられたような気がした。

 プラムヴィレッジの僧侶方やマインドフルネス実践仲間、そしてキリスト教の神父・シスター、黙想実践者の方々と、このような時間を過ごせたことが、心からありがたい。


(おまけ?)
 この日はツアーのスタッフで、翻訳者の島田啓介さんの継続の日(お誕生日)でした。終了後、シスター・チャイがバイオリンで「ハッピーバスデー」を弾きだされ、サプライズのおめでとうタイムに!

……………

10年前、フランスのプラムヴィレッジにて。シスター・リン・ニェム、真ん中がシスター・チャイ


 ここからは個人的なことですが……
 私がフランスのプラムヴィレッジのサマーリトリートに参加したのは2014年で、ちょうど10年前のこと。
 今回、リトリート中の4週間、私が所属していたファミリー(20人ほどのグループ。作務やダルマ・シェアリング、イベントの演し物などはこのファミリーで行う)で指導を担当されたシスター・リン・ニェムも来日された。
 真ん中に花を置いて輪になって座り、シスター・リン・ニェムとその側でシスター・チャイが通訳をされるという、10年前と同じシュチュエーションが図らずも体験できた。しかも、当時は在家で一緒のファミリーだったシスター梅田とブラザー徳本が、母国日本のツアーに僧侶としては(たぶん)初参加されて同じ場にいる!

 感慨深いとともに、それぞれの10年後のあり方を見ると、自分の実践の心許ないこと……とは言え、歌う瞑想の「幸は今ここ」の歌詞が、当時は今ひとつピンとこなかったが、今はしみじみ「そうだよねぇ」と思えるように。それだけでも、十分すぎます。

「幸は今ここ」

幸は今ここ
悩みは捨てた
どこにも行かない
することもない

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